令和の若者に聴いてほしい70年代フォークソング特集[記事公開日]2021年9月9日
[最終更新日]2021年09月10日
[ライター]kato

「フォークソング」と聞くと、今の若い世代の人たちは、「古臭い」「ダサい」「お父さんの世代の歌」そんなイメージを抱いているのではないでしょうか。

確かに、サウンドの面では明らかに昔のフォークソングは今っぽくないですし、古さを感じると思います。

しかし、そのメロディラインだったり歌詞は本当によく作り込まれていて、今ヒットしている楽曲のベースには昔のフォークソングがあることも珍しくありません。

 

今回の記事は令和の若者に是非聴いて欲しい1970年代のフォークグループ、フォークシンガーを5組紹介していきたいと思います。

「名前は聞いたことある」というようなアーティストもきっといると思います。

 

 

①チューリップ(TULIP)

THE LOVE MAP SHOP

かつて「日本のビートルズ」とも呼ばれたバンドです。

フォークソングや歌謡曲が中心だった当時、日本語のロックをミックスさせ一時代を築きました。

「心の旅」「青春の影」「銀の指輪」「サボテンの花」などヒット曲は多数。

 

メンバー全員が作詞作曲、ボーカル、コーラスを担当しており、「日本のビートルズ」と呼ばれる所以でしょう。

このメンバー全員が歌唱するというスタイルは今の日本のバンドでは殆ど見かけなくなりました。

 

チューリップの魅力は何と言っても美しいコーラスワークと、耳に残るキャッチーなメロディライン。

そして、切なくもどこか優しい歌詞でしょう。

その楽曲の多くを手がけるボーカルでリーダーの財津和夫さんは現在もソロ活動を行なっています。

財津さんは和製ポール・マッカートニーと呼ばれるほどのソングライターですので、是非チェックしてみて下さいね。

 

一番最初に大ヒットした「心の旅」

 

沢山のアーティストにカバーされている名曲で、どこかで一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

この曲は財津さんではなく、姫野達也さんがメインボーカルを務めています。

異なるボーカルでヒット曲があるというのは本当に凄いことです。

②オフコース

yes yes yes

シンガーソングライターの小田和正さんが在籍していたことでも有名なフォークバンド。

先程紹介したチューリップと同時期に活躍し、個性の強いボーカルを持つフォークバンドとして並んで評されました。

小田和正さんとチューリップの財津和夫さんは古くからの友人で、財津さんは「オフコースは自分の憧れだった」とも語っています。

「さよなら」「Yes-No」「愛を止めないで」など数々のヒット曲を生み出しました。

 

オフコースの魅力はやはりボーカル小田さんの圧倒的なハイトーンボイスと、老若男女に愛される王道ポップな楽曲でしょう。

小田さんの曲は歌詞カードを読むとわかりますがとてもシンプル且つ、普遍的な言葉選びをしているように思います。

 

「あなたに会えて本当によかった 嬉しくて 嬉しくて 言葉にできない」

 

代表曲「言葉にできない」の歌詞ですが小学生でもわかる言葉しか使っていません。

これだけシンプルなソングライティングで数々のヒット曲を生み出すというのは本当に凄いことです。

「愛を止めないで」オフコース

 

ボーカルの小田さんは今年でなんと74歳。

今もその歌声は全く衰えを感じさせず、日本の音楽業界の第一線を走り続けるレジェンド的存在です。

③かぐや姫

かぐや姫 BEST

日本を代表するフォークバンド。

リーダーの南こうせつ、伊勢正三、山田パンダから成る三人組。

 

「神田川」「妹」「22歳の別れ」「なごり雪」など数々の名曲を残していきました。

「なごり雪」はイルカさんが歌っていることで有名ですが、元はかぐや姫の曲なんです。

 

かぐや姫の魅力は「これぞ日本のフォークソング!」という哀愁溢れるメロディ、情景を切り取った美しい歌詞でしょう。

 

また、南こうせつさんと伊勢正三さんの二人ともが凄腕のソングライターでそれぞれヒット曲を生み出しています。

日本を代表する名曲「なごり雪」は伊勢正三さんが初めて作曲した曲だというのだから本当に驚きです。

そして更に代表曲「22歳の別れ」は人生で2番目に伊勢さんが作った曲だそうです。

 

大ヒットした「神田川」で、紅白歌合戦への出演オファーが来たのですが、歌詞の「クレパス」というワードが商標であるため「クレヨン」に変えて歌唱して欲しいという要求で、出演を断ったという逸話もあります。

代表曲「神田川」

 

語りかけるような口語の歌詞と秀逸な情景描写で瞬く間に歌の世界に引き込まれてしまいます。

時代を超えて愛され続けているフォークの名曲です。

④吉田拓郎

Long time no see

日本を代表するシンガーソングライター。

当時はまだあまり浸透していなかった、フォーク、ロックを世に広めた先駆け的存在です。

アマチュア時代、フォークコンテストで全国3位に入賞し「和製ボブ・ディラン」と評されました。

シンガーソングライターのあいみょんも自身のルーツとして吉田拓郎の名をあげています。

 

 

当時、日本では「反体制」「反商業主義」こそがフォークだという風潮が強く、日常生活や恋愛体験を歌った彼のフォークはなかなか世間に受け入れられませんでした。

ライブでは「帰れ」コールを浴びせられ、石やビール瓶を投げつけられたこともあったそうです。

 

そんな中1972年にリリースした「結婚しようよ」がオリコンチャートで3位を記録。40万枚以上を売り上げる大ヒットとなりました。

これにより、長髪の若者が「反体制」を叫ぶというアンダーグラウンドなフォークが主流だったのが一転。

恋愛や日常をうたた叙情的なフォークソングが一気に世間に浸透していきました。

「J-POPの原点」と評される程、日本の音楽の歴史を変えた曲です。

代表曲「結婚しようよ」

 

今でも結婚式の定番ソングとして愛され続けている名曲です。

 

現在、日本を代表するレコード会社「フォーライフ・レコード」がありますが、この会社を立ち上げたのは吉田拓郎、井上陽水、泉谷しげる、小室等というミュージシャン達なのです。

当時、現役のミュージュシャンがレコード会社を設立するということはあり得ないことで、J-POP史に残る大事件でした。

吉田拓郎さんはフォーライフ・レコードの第二代社長も務めています。

 

日本の音楽史に多大な影響を与えた偉大なシンガーソングライターの楽曲、是非触れてみて下さい。

⑤さだまさし

4000&4001 in 武道館

フォークデュオ「グレープ」としてメジャーデビュー。

ソロシンガーになった後に、「案山子」「関白宣言」「道化師のソネット」「北の国から〜遥なる大地より〜」など数々のヒット曲を世に送り出しています。

かぐや姫の南こうせつさん、オフコースの小田和正さんとも親交が深く、ライブイベントやテレビ番組での共演も多いです。

 

 

2013年の7月の時点で日本で最も多くのソロコンサートを行った歌手という記録を持ち、何とその数は4400回を越えているそうです。

 

元々ヴァイオリン少年だったこともあり、西洋のクラシック音楽にも影響を受けているさださんの楽曲はメロディラインが本当に美しい。

そして、物語のような歌詞はたった1曲の中でまるで一冊の小説を読み終えたかのような気持ちにさせられます。

 

さだまさしさんといえば、コンサートでのトークが面白いことでも有名です。

本当にさださんのトークは芸人さんと比べても全く引けを取らない程面白いです。

時には歌より長い時間MCを繰り広げることもあるといいます。

本人談ですが、とある落語家がその弟子に「さだまさしのコンサートに勉強しにいってこい」と言ったそうです。

 

また小説家としての一面も持ち、「精霊流し」はNHKの連続ドラマ化、「解夏」はフジテレビドラマ「愛し君へ」の原作となっています。

 

代表曲「関白宣言」

 

ユーモアもあり、とてもインパクトのある歌詞ですが、最後の最後に妻への愛が真っ直ぐに綴られていてグッときてしまいます。

日本を代表するフォークシンガーであり、その楽曲は次世代のアーティスト達にも多大な影響を与えています。


いかかでしたでしょうか。

70年代のフォークソングはそれまでの「反体制」のフォークからの転換期に当たる時期で、今回紹介した5組のアーティストは正に新しい時代を作ったミュージシャンたちなのです。

 

音楽は形を変えて繰り返すといいます。

今の時代の音楽の根底にはやはり昔流行った音楽があり、そこに常に新しい時代の「何か」が掛け合わさって、新しい音楽のメインストリームを作っていると思います。

 

「古きを温(たず)ねて、新しきを知る」「温故知新」という諺がありますが、古い音楽はどこか「ダサい」というイメージを抱く方も多いと思いますが、やはりそこから学べることは多いと思うのです。

 

今回紹介した以外にも素晴らしいフォークソングは沢山あります。

興味を持っていただけたら、是非調べて聴いてみて下さいね。

ライター:kato

2020年よりフリーライターとして活動。 @kato1155ka

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