どれがおすすめ?エピフォン・アコギの選び方[記事公開日]2022年2月4日
[最終更新日]2024年03月8日

エピフォン・アコギ

ギブソンの廉価版というイメージが強いEpiphone(エピフォン)ブランド。実は非常に長い歴史を持つ会社で、現在ではギブソンの廉価版モデル以外にも魅力的なオリジナルモデルがリリースされています。そんなエピフォンの魅力に迫ってみましょう。

エピフォンの歴史

エピフォンの歴史は1873年ギリシャ人コンスタンティノス・スタトボウロにより、トルコのイズミルに弦楽器のリペアショップが開かれたことに始まります。彼の息子アナスタシオは同時期に楽器のルシアーとして修行し、その後独立した工房を立てるに及び、楽器製作会社としての体裁が徐々に整っていきました。
その後、ギリシャ移民に対するオスマン帝国の高額な税金を嫌い、スタトボウロ家は一族でアメリカに移住。1904年にはすでにアメリカにいたという資料が残っています。アナスタシオが40代の若さでこの世を去ると、息子のエピ(Epi)が経営を引き継ぎました。彼は社名を自身の相性とギリシャ語で”音声”を意味する”Phone”という単語を組み合わせた”Epiphone”と改称。バンジョーを中心にラインナップを広げ、1928年にはRecording Seriesと銘打った最初のアコースティックギターをラインアップしていきます。
最初期のモデルは不人気に終わったものの、市場を席巻していたGibson L-5に触発され、大きめのボディ構造をもったモデルを次々とリリース。ギブソンとエピフォンは熾烈なライバル関係を築き、次々に新製品を送り出していきました。

しかし第二次世界大戦の影響を被ったエピフォンは業績を低迷させます。黄金期を作り出したエピは戦争中に亡くなっており、経営は行き詰まりました。かつてエピフォンの工房でソリッドギターを設計していたレス・ポール氏はこの時期すでにギブソンのエンドーサーとして名を知られるようになっており、彼の提案によってエピフォンはギブソンに救われることになりました。ギブソン傘下のエピフォンという構造がここに誕生したのです。
現在ではエピフォン独自のカラーを打ち出したオリジナル製品と、ギブソンの代表製品の廉価モデルという2つの軸をラインナップに揃えて展開しています。

エピフォン・アコースティックギターの特徴

Recording Seriesで初めてアコースティックギターをラインナップした時から華麗な装飾が目を引くものが多く、現在でもエピフォン独自のモデルであるFrontierやExcellenteなどにはその傾向が踏襲されています。
値段はほとんどが非常に安く、初心者にも無理なく購入できます。ギブソンのラインナップの廉価版であるInspired by Gibsonのシリーズではほぼ同じような外見のものが大変な低価格で並んでおり、音色の傾向もそれを踏襲しているため、ギブソン的なサウンドを値段の関係で躊躇している層にはおおいに魅力的です。USA製を前面に出したMade in USAシリーズのみ極端に高値で並んでいますが、他のモデルは上位のMasterbiltでさえ10万円程度と、概ねリーズナブルといって良い価格帯でラインナップされています。
現在は市場的なニーズに合わせてか、エレアコとして利用できるものが多く、中グレード辺りからのモデルにはほとんどがFishman製のSonicoreピックアップを標準装備しています。

エピフォン・アコースティックのグレード

主にOriginal Acousticとされる下位グレードとMasterbiltの上位グレードに分かれます。その上に特別なグレードとしてMade in USAが存在し、グレードとは無関係なカテゴリ枠としてInspired by Gibsonがあります。この中にはグレード分けされていないモデルがいくつか混入しており、エピフォンギターのカテゴライズをややこしくする原因になっています。

グレード 特徴 価格帯
Original Acoustic リーズナブルな下位グレード。非常に安価ながら品質管理がしっかりしていることから、値段以上のクオリティを感じられます。 1万円台~
Masterbilt 上位に当たるグレードで、TexanやFrontierなどのエピフォンオリジナルのモデルはこのグレードから登場します。 8万~12万
Made in USA モンタナにあるギブソン工場で製作される最上位グレードで、エピフォン独自モデルを展開。ラインナップは2022年現在で3種類。 20万~40万
Inspired by Gibson グレードではなく、ギブソン銘機の廉価版のラインナップを意味するカテゴリ名。

おすすめモデル

人気のあるモデルを紹介。グレード、カテゴリはモデル名の後にカッコで記しています。

J-45 EC [Inspired by Gibson]

Epiphone J-45 EC

ギブソン・アコースティックギターの代名詞にして、アコースティックギターの定番と言えるモデルJ-45。こちらはエピフォンブランドで廉価版としてラインナップされたもので、カッタウェイ仕様などを取り入れ、より現代のニーズに合わせたモデルとなっています。マホガニーとスプルースを用いたシンプルな外観は本家のJ-45を完全に模倣しており、明るめのサウンドからも似た傾向が感じられます。フィッシュマンのSonicoreピックアップを標準搭載することで、ラインでの出力にも対応しています。

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Hummingbird Studio [Inspired by Gibson]

Epiphone Hummingbird Studio

こちらもギブソンの人気モデルHummingbirdのエピフォン版。ハミングバードが描かれた大きなピックガード、独特なデザインで埋め込まれたブロックタイプのインレイなど、本家Hummingbirdとほぼ同じ高級感のあるルックスを持ちながらも、5万円ほどの値段に抑えられたリーズナブルなモデルです。ボディにはマホガニーが使われ、大きめなボディからはその特性を活かしたふくよかな音色が得られます。

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J-200 [Inspired by Gibson]

Epiphone J-200

スーパージャンボタイプの銘機、Gibson SJ-200を踏襲する形で設計されています。ピックガードやブリッジのインレイに至るまでオリジナルのルックスを彷彿させ、シトカスプルースのトップ、メイプルのサイド、バックに至るまで単板が使用されているところなど、廉価版とは思えないスペックを誇ります。ほとんどのエピフォンのエレアコと同じく、フィッシュマンのSonicoreピックアップを装備。SJ-200特有の巨大なボディから得られるサウンドがこの値段で手に入るのは魅力的です。

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Dove Studio (Dove Pro) [Inspired by Gibson]

Epiphone Dove Studio

1962年に登場した歴史的なDoveを現在に蘇らせたモデル。スプルース・トップとメイプルのサイド、バックといった構造、鳩が描かれたゴージャスなピックガードやブリッジに施されたインレイなども全てギブソン製Doveと共通しており、明るめで芯のあるサウンドもオリジナルに近い傾向を持っています。完全なエントリーモデルではないものの、独特なルックスは他にはない個性があるため初心者にも人気のモデルです。フィッシュマン製ピックアップを搭載。以前は「Dove Pro」という名前で流通していたため、現在でもその名前で販売している楽器店が多く見られます。

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Staring [Original Acoustic]

エピフォンのラインナップにおける最安値モデル。箱形に近いシェイプのスクエアショルダー、くびれの少ないドレッドノートタイプの形状で鳴りの大きさを確保しており、ピックガードに描かれたムクドリ(Staring)のイラストが高級感を演出します。ミディアムスケールのネック長は初心者向けであり、カラーバリエーションも青や赤などを含めて4色あるなど、初めてギターを持つ人や若年層を意識した設計であることが窺えます。国内のメーカーのエントリーモデルと比べてもさらに安い1万円台の価格を実現し、エントリーモデルの定番の1つに数えられます。

Songmaker DR-100 [Original Acoustic]

Epiphone DR-100

エピフォンのアコースティックギターの中でももっとも売れているのがこのモデル。マホガニーのサイド、バックにスプルースのトップという、アコースティックギターにおいて王道の材が使用され、似た価格帯のStaringに比べて、形状や材質はほぼ同じながらもやや落ち着いたたたずまいをしており、カラーバリエーションも王道の黒やサンバースト系のみとなっています。ネックは若干こちらの方が薄く、より弾きやすく感じる人が多いでしょう。各楽器店が本体と抱き合わせに小物を付け初心者セットとして販売していることも多いため、初めて手に取るには最適な選択となります。

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Masterbilt Texan [Masterbilt]

Epiphone Masterbilt Texan

ポール・マッカートニーやピーター・フランプトンも演奏し、歴史に名を残したTexan。Masterbiltシリーズの一本としてラインナップされるこのモデルは60年代の個体を元に復刻されたもの。トップにはスプルース、サイド、バックにはマホガニー、それぞれ単板が使用され、骨太でありつつシャキッと立ち上がるヌケの良さは低価格帯のモデルとはまたひと味違ったサウンドです。他のMasterbilt製品と同じく、フィッシュマンのSonicoreピックアップを搭載。新品でも10万円を切る価格で、価格以上のクオリティを感じることができます。

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Frontier FT-110 [Made in USA]

モンタナのギブソン工場において手作業で製作されるMade in USAシリーズ。3種類しかないラインナップにはエピフォンで最も有名なギターであるCasinoと並び、TexanとFrontierの二種のアコースティックギターが名を連ねています。このUSA Frontierは1970年まで実際にギブソンの工場で製作されていたFrontierを現代に蘇らせたもので、J-200と共通するシトカスプルースのトップにフィギュアドメイプルを配したサイド、バックの構成です。エピフォンらしい豪華なルックスを持ち、スクエアショルダーのドレッドノートシェイプにロングスケールのネックが採用されたことで、大きくふくよかでかつハリのあるサウンドが得られます。標準でL.R.Baggsのピックアップを搭載し、最上位モデルにふさわしい貫禄と弾き心地をもたらしてくれます。


実際のウェブサイトのラインナップには小さめのトラベルギターなども存在していますが、残念ながら現状日本の楽器店などでは手に入れにくいようです。単なるギブソンのいち子会社に留まらない存在感があり、少ないながらもオリジナルモデルはおおいに魅力的なものばかりです。今後も優れた製品を出し続けてほしいですね。

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