インディーズの落とし穴〜「稼ぐこと」と「売れること」のジレンマ〜[記事公開日]2021年7月16日
[最終更新日]2021年07月16日
[ライター]kato

音楽で売れることを夢見て日々活動しているアーティストに向けて、今回はとても重要な話になります。

インディーズで活動しているミュージシャンの殆どの方が、バイトをしながら、或いは仕事をしながら活動されていると思います。

そこでまず最初に考えるのは「音楽一本で食べれるようになりたい。」ということだと思います。

そしてインディーズの音楽活動で生計を立てるためには「お金を稼ぐ活動」にフォーカスする必要が出てきます。

しかし、ここで注意して欲しいのが、「お金を稼ぐ」活動が「売れる」ことを阻害してしまう危険性があるということです。

どういうことか具体的に例を出して説明していきたいと思います。

 

 

①CDの手売りとサブスク

あなたは今度新しいアルバムをリリースすることになりました。

アルバムの価格は12曲入りで¥3000。

レコーディング、マスタリング、プレス代で約30万円かかったとします。

当然、この制作にかかった経費を回収し、利益を上げたいと考えます。

CDを出したら100人のファンは買ってくれることが予想されます。

 

この状況の場合、多くの方は手売りでCDを100枚売って経費を賄おうとすると思います。

勿論、それは間違ってはいません。

制作にかかったコストはしっかりと回収すべきです。

しかし、あなたが現在100人規模のファンを抱えて、くすぶっているアーティストであるならば、100人の固定ファンにCDを売ってお金を稼ぐことではなく、考えるべきは「いかに新規の人にアルバムの曲を届けられるか」です。

 

とすると、アルバムをリリースする際に一番に考えるべきなのは、サブスクでの配信リリースとそれに向けたサブミットの提出です。

サブミットとは簡単に説明すると、Spotifyや Apple Musicのプレイリストを作る人に向けて、「こういう曲をリリースします。紹介して下さい。」と文章を投げることが出来るシステムです。

 

100人規模の客数ではサブスクで配信しても、恐らくよっぽど大バズりでしない限りは大した利益は見込めません。

しかし、それでも新規の方に聴いてもらえる可能性があるのはCDの手売りではなく、圧倒的にサブスクです。

 

そうすると、そもそもCDをプレスするのかどうかも一度考えてみてもいいかもしれません。

CDをプレスしなければ、プレス代の約10万円のお金を浮かせることが出来ます。

 

勿論、ライブ活動を精力的に行なっているアーティストさんはCDも作ってライブで売るのも良いとは思います。

しかし、お金を短期的に稼ぐことだけを考えてCDしか作らないというのは、やはり非常に勿体ないのです。

 

 

②ライブハウスとライブカフェ

ある程度ちゃんとしたライブハウスでライブをしようとすると、一般的にはノルマやホールレンタル代がかかります。

それに対してライブが出来る小さいカフェですと、ノルマやホールレンタル代無しで1枚目からチャージバックをいただけるお店があります。

多くのアーティストはチャージバックが貰えるカフェでのライブを選択したいと思うでしょう。

 

しかし、カフェでライブをすることのデメリットもあります。

カフェはキャパが小さいお店が殆どで、お客さんとの距離が近くなりがちです。

 

楽屋がない所も珍しくありません。

楽屋がないとなると、お客さんと同じ会場でライブが始まるまでの時間を過ごさなくてはなりませんし、演奏が終わった後も同じ空間に居続けることになります。

アーティストと距離が近いことに喜びを感じるファンの方もいると思いますが、アーティストとファンはある程度の距離を取るべきだと思います。

 

また、ライブハウスと比べてしまうとやはりカフェは音響や照明が簡易的なものになってしまいます。

お客さんからチケット代をいただいてライブをするならば、万全のパフォーマンスが出来る会場を選ぶべきだと思います。

アーティスト自らがPAをやらなくてはいけない会場も少なくありません。

そうなってくるとアーティストイメージ以前に、自身のライブに支障をきたす可能性もあります。

 

確かに、膨大なノルマを支払ったり、身の丈に合っていない大きいライブハウスをレンタルするというのは考えものでしょう。

しかし、お金を稼ぐために小さいカフェでばかりライブをするインディーズのアーティストがとても多く、それは「売れる」という本質から遠ざかっていることにも気付いて欲しいのです。

 

時々、カフェでライブをやる分にはプレミア感があってそれも良いでしょう。

チャージバックをしっかり稼ぐことも大切なことです。

しかし、あなたが「ミュージシャンになりたい」と志した時に夢見ていたのは、小さなカフェで小銭を稼ぐ自分の姿だったでしょうか。

きっと違うと思います。

目先の小銭を稼ぐことばかりではなく、「売れる」為にはどういう活動が必要かを考えてみて下さい。

 

 

③ストリートライブや配信ライブ

新規のファンを獲得する為にストリートライブを行ったり、自宅から配信を行うというのは有効な手段です。

しかし、これらもがむしゃらにやるだけだと大きなマイナスプロモーションになりかねません。

 

お金を稼ぐことだけを考えるなら、ストリートライブを沢山やった方が良いですし、配信も沢山やった方が投げ銭を沢山もらえるでしょう。

ストリートライブに関して言えば、どんなにストリートでCDを手売りしても、通行人からすれば「道端で歌っている売れてない人」という認識です。(ストリートで何百人、何千人を集められるほどの人気があれば別かもしれませんが。)

そして、無料で自分の曲を垂れ流しにするという意味では、商品の安売りとも言えます。

 

これは自宅からの無料配信ライブも同じことで、確かに自宅配信で歌を歌ったり、お客さんとお喋りをすることで既存のファンの方は喜ぶでしょうし、新規ファンの獲得にも繋がるとは思います。

しかし、これもやり過ぎは良くありません。

 

お金を稼ぐことにばかり意識がいき、ストリートライブや配信をやり過ぎるのは完全にマイナスプロモーションです。

あなたが好きな売れているミュージシャンは、毎日のようにストリートライブをしているでしょうか?

自宅からの配信を頻繁にやっているでしょうか。

 

勿論、新規のファンを獲得する為にストリートライブをしたり配信をしたりすること自体は良いことだと思います。

 

例えば、きちんとした大きい会場でのワンマンライブを決めて、そこに向けて集中的にストリートライブや配信を行いお客さんを集めます。

そしてそのワンマンライブに業界の関係者の方をご招待して観に来てもらう、という流れまで想定しているのであれば、それは良いやり方だと思います。

この場合、きちんとストリートも配信も自身が「売れる」という目標の手段として機能しています。

 

だらだらとストリートライブや配信で小銭を稼ぐことばかりしていると、これもまた「売れる」ことからは遠ざかってしまうので気を付けましょう。

 

 

④グッズの販売

とにかくお金を稼ぐことだけにフォーカスするならば、色んなグッズを作って売った方がある程度のファンがいるアーティストなら手っ取り早く稼げます。

「しかし、そのグッズ本当に売って大丈夫?」

と一度考えてみて欲しいのです。

 

そのグッズ、アーティストのイメージと一致していなかったりしませんか?

例えば、硬派な歌詞を歌う正統派のシンガーソングライターが物販でチェキを売っていたりしたら、ちょっと興醒めしてしまいますよね。

アーティストイメージに合っていないものを無理に売ってお金を稼ぐくらいなら、何も売らない方がマシです。

物販はアーティスト活動の経済を回す上でとても重要ですが、考え方を変えれば物販もアーティストの表現活動の延長線と言えます。

とても良い曲を演奏しているのに、稼ぐことばかり考えて、お粗末でダサいTシャツを売ったりしていては、かえってマイナスイメージなのです。

 

 

まとめ

お金を稼ぐということに奔走しすぎると、「売れる」ことからは遠ざかっていくという意味がおわかりいただけたでしょうか。

お金を稼ぐというのは素晴らしいことです。それはお客さんを幸せにしたことに対する対価として支払われるものだからです。

しかし、「お金を稼ぐこと」を主たる目的として行動していくと、間違った道に逸れてしまうことが多々あります。

結果として、それはあなたの音楽がもっと「売れる」ことを邪魔してしまうのです。

インディーズで活動を回していく為には、マネタイズしていくということは非常に重要ですが、頭の中がお金のことばかりになっていないか、時々、立ち止まって考えてみて下さい。

その余計なマネタイズは「売れる」ということから自ら遠ざかる行為かもしれませんよ。

ライター:kato

2020年よりフリーライターとして活動。 @kato1155ka

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