動員目標を掲げることのメリットとデメリット[記事公開日]2022年6月27日
[最終更新日]2022年06月27日
[ライター]ソロモンの 猫

「次のワンマンライブは動員目標○○人です!!」

「CD手売り○○枚目指しています」

 

インディーズで活動しているミュージシャンの中で、こうした動員目標やCDの売上目標を掲げて活動している方をよく見かけます。

こうした「数字を掲げる」という行為は、アーティスト活動を行なっていく上で果たしてプラスなのでしょうか。

マイナスなのでしょうか。

そして、実際どれほどの効果があるのでしょうか。

 

今回の記事ではインディーズの音楽業界における、動員目標などの「数字を掲げる」という行為について、私なりの考えを書いていきたいと思います。

 

 

①数字を掲げることで数字は伸びるのか

まず第一に考えたいのは「動員目標を掲げることで、実際に動員は伸びるのか」という点です。

やり方にもよりますしアーティストの努力次第ではあると思うのですが、結論から言うと、少なからず動員が伸びる効果はあるように感じます。

お客さんと目標を共有出来ると、お客さんの心に「頑張っているアーティストを応援したい」という心理が働くからです。

 

これは「大きいキャパのワンマンライブへの挑戦」などが良い例です。

例えば、全く無名のアーティストが「チケット手売りだけで2000人動員を目指して単独ライブを行う」と公言して、地道に路上やライブハウスでチケットを手売りしていたとしたら、その挑戦に心動かされる人は少なくないでしょう。

そのアーティストにあまり興味のない人でさえも、

 

「それは流石に無謀でしょ」

「無理に決まってるよ」

「絶対失敗するよ」

 

と心の中で思いつつも、そのアーティストの動向が気になってしまうと思います。

「他人の無謀な挑戦」というものを周りはついつい気にしてしまうものです。

これには「他者が失敗するところを見たい」という心理も少なからず働いているように思いますが。

しかし、そういったアンチに近いような人に対しても半強制的に興味を抱かせてしまうのですから、そのアーティストのことを好きになりかけているライトなファンの心を揺さぶる効果は十分あるように思います。

 

よくストリートライブで「1ヶ月でCD○千枚お届けチャレンジ!!」といった看板を掲げて歌っているシンガーを見かけます。

仮に1ヶ月で1000枚だとすると、1日30枚以上のCDを手売りしなければなりません。

これを毎日続けるわけですから、かなり過酷でしょう。

しかし、こういった路上での「CD○千枚お届けチャレンジ!!」を達成している方は非常に多いです。

やはり目標がわかりやすく、目に見える形で努力をしているので、道ゆく人を「1枚くらいCD買って応援してあげよう」という気持ちにさせるのでしょう。

 

こういった「数字を具体的に掲げることで売上を伸ばす」という戦略は一見理にかなっているようにも見えます。

しかし、これは諸刃の剣で「数字を掲げて数字を伸ばすという行為」はアーティストとして失うものもあると警鐘を鳴らしたいです。

 

 

②アーティストが数字を掲げることのデメリット

アーティストが「動員目標」「CDの売上目標」を公言するということ自体に大きなデメリットもあります。

まず、「アーティスト活動が商業的に見える」という点です。

 

●音楽で表現したいものがある

●音楽で届けたいものがある

 

アーティスト活動の根源はそこであると多くの人は信じています。

アートとしての音楽活動が「動員を伸ばすため」「売上を伸ばすため」という商業的な部分に傾いてしまうことを嫌う人がいるのは当然でしょう。

 

勿論、お金がなくてはアーティスト活動を続けていくことが出来ません。

動員を伸ばすことも、売上を伸ばすことも、アーティスト活動を続けていくためには必要なことです。

アートで食べていくために、商業的な戦略を練ること自体は決して悪いことではありません。

「商業的」に見えてしまう行為はアーティストにとって大きなマイナスだということを伝えたいのです。

 

「数字を掲げる」という行為は短期的に動員を増やしたり、CDの売上を伸ばす特効薬です。

しかし、長期的に見ると「アーティストとしてのブランドを失う」ことにも繋がりかねません。

 

「動員目標まであと○○人!!」

「CD手売り何千枚まであと○枚!!」

 

こういった謳い文句は、お祭りのようなイベント感があって人の目を引きますし、一時的には盛り上がります。

しかし、数字を掲げて盛り上げて巻き込んだお客さんというのは、あなたの音楽のファンでは全くないケースが多いです。

 

「頑張っているあなたを応援したい」と思い、その場でCDを買ってくれたり、ライブのチケットを買ってくれたとしても、それっきりで終わってしまう方が多いでしょう。

それでも、それがきっかけであなたの音楽を本当に好きになり、ファンになっていく方もいると思います。

ですので、決して数字を掲げて活動するとが無意味だとは思いません。

一時的に動員も増えますし、CDも沢山売れるでしょう。

しかし、そういった「商業感」を全面に打ち出すことで、見えないところでアーティストイメージを下げているということも理解して欲しいのです。

 

 

③売上目標は客と共有するものではない

飲食店などでは「今月の売上目標は○○円です」といった売上目標があり、社員同士ではその目標が共有されているものです。

それは多くの企業でも行われていることだと思いますし、社内で目標の数字が共有されていることは社員のモチベーションを高めることにも繋がると思います。

 

しかし、ファミレスに行った際に「今月は売上500万円を目標に掲げて営業しているんです。お客様、こちらのステーキはいかがでしょうか。」なんて言われたら絶対に嫌ですよね。

お店の売上目標を共有されても、客としては「知らねーよ!!」となるわけです。

 

本来、「アーティストとファン」という関係はビジネスで言えば、ファミレスにおける「お店とお客さん」なわけです。

こうして見ると、ファンの方に売上目標を提示するということ自体、かなりズレていると感じませんか?

 

インディーズのアーティストがこれを平気でやってしまうことに危機感を感じます。

メジャーの売れているアーティストが動員目標や売上目標をSNSで打ち出しているところなんて見たことありませんよね。

勿論、事務所やレコード会社とアーティストの1つのチームの間では売上目標というものは設定されていて共有されていると思います。

しかし、それを不特定多数の人に公開するということはビジネスとしてはズレていると思うのです。

 

インディーズのアーティストが「動員目標○○人目指してます!!」と公言して動員を伸ばしたとしても、それは結局「お情け」でしかないのです。

 

「数字を掲げること」は使い所によっては大きな宣伝効果を生むことが出来るので、「絶対になし」とは思いません。

しかし、そのデメリットがあることもよくわかった上で、使い所をきちんと考えないと、アーティストとしてのブランドを大きく下げるマイナスプロモーションになりかねません。

④無謀な挑戦

以前、「ファンを強制的に増やす裏技」として「無謀なキャパでのワンマンに挑戦すると良い」という内容の記事を書きました。

興味のある方はこちらもご一読下さい。

 

▶︎効果絶大!! 強制的にファンを増やしていく裏ワザ!!

▶︎ファンを増やす裏ワザ《自身最大規模のワンマンへの挑戦〜具体例編〜》

 

「無謀な挑戦をする」「頑張っている姿勢を見せる」というところまでは、プロモーションとしてある程度成立するのではないかと思っています。

アーティストのキャラクターやイメージにもよりますが、地下アイドルやストリートミュージシャンが一生懸命努力している姿は人の胸を打つものがあります。

そういった姿に勇気づけられる人もいるでしょう。

 

しかし、音楽、ライブ、パフォーマンス等、本質の部分でファンの心を掴んでいなければアーティストとして長続きはしないと思います。

テクニックや情熱も大切ですが、どうかアーティストとしての本質を見失わないで下さい。

 

 

 

まとめ

 

●動員目標などの数字を公表することによって、一時的にファンを増やす効果は期待出来る

●数字を公表することでアーティストブランドを下げてしまう懸念がある

 

いかがでしたでしょうか。

今回の記事の内容はアーティスト活動を行う上でかなり大切なことだと思います。

アートで食べていくということは決して簡単なことではありません。

時には商業的に割り切って行わなければいけない活動もあると思います。

 

「動員」「売上」はインディーズのアーティストに常に重くのしかかる二重の壁です。

それらに真摯に向き合うことはとても大切ですが、やり方を間違えてしまわぬよう、くれぐれも気を付けて下さいね。

ライター:ソロモンの 猫

法政大学文学部日本文学科卒業。大学在学中、小説、詩、文章の書き方を学ぶ。2020年よりフリーライターとして音楽をメインに幅広いジャンルの記事を執筆中。 @soromonnoneko