声帯ポリープ発症〜手術まで 実体験談[記事公開日]2021年6月25日
[最終更新日]2021年06月25日
[ライター]ソロモンの 猫

声帯ポリープ

ボーカリストにとって最も怖い病気、その名も「声帯ポリープ」

歌を歌っている人なら一度は耳にしたことがあると思います。

 

実は私、数年前に歌の歌いすぎで声帯ポリープが出来てしまい、手術をしたことがあります。

今回はその声帯ポリープが出来てから手術に至るまでの経緯、術後の状態まで、赤裸々に綴っていきたいと思います。

 

ボーカリストの方で声帯ポリープが出来てしまい、どう治療していいか悩んでいる方は少なくないと思います。

少しでもこの体験談が参考になれば幸いです。

 

 

 

声帯ポリープとは

声帯に膨らみ(ポリープ)ができる病気です。

喉を酷使することによって起こる声帯の炎症が原因です。

声の出し過ぎ、無理な発声、或いは風邪をひいている時など声帯に炎症が起こっている状態で無理に声を出しすぎると、声帯の粘膜が充血を起こします。

それでもなお、声帯を酷使すると血腫となり、それがやがてポリープになると言われています。

 

歌手や教師、アナウンサーや声優など「声」を使う仕事の人がポリープを作ってしまうケースが多いです。

症状としては声が枯れる、声がかすれる、声を出す時に疲れを感じたりします。

 

 

 

体験談①〜ポリープが出来るまで〜

当時インディーズでバンド活動を行っており、毎日のように歌を歌っていました。

振り返ると、当時の歌い方はかなり荒く、声帯に負担をかける歌い方をしていたような気がします。

 

ある日、少し風邪気味の中ライブを行った時がありました。

そのライブで、ある曲の裏声を使う部分で、声が詰まって出なくなるという現象が起こりました。

その裏声の部分の一箇所以外は何の問題もなく歌えていたので、その時は大して気にしていませんでした。

 

しかし、それから毎回、同じ曲の同じ裏声を使う部分で、同じように声が詰まって出なくなるということが起こるようになりました。風邪は完治していましたし、それ以外の歌唱の部分では特に目立った問題は感じられませんでした。

 

その時、まっ先に頭を過ったのが「声帯ポリープ」の可能性で、念の為に近所の耳鼻咽喉科を受診することにしました。

 

そこでの診察の結果は、

「少し声帯がむくんでいる程度で、ポリープもないので大丈夫。」

とのことでした。飲み薬をいくつか処方されました。

 

ポリープがないと聞いてホッと胸を撫で下ろし、それからもまた普通に歌を歌い続けました。

しかし、相変わらず、裏声が詰まって出なくなる現象は起こり続けていました。

 

数週間後、経過を診てもらいに同じ耳鼻咽喉科を受診すると驚くべきことを告げられました。

「前回来てもらった時はよく見えなかったんだけど、よく見ると小さいポリープがあるね。」

ものすごくショックでした。

やっぱりポリープがあったなんて、一度ポリープは無いと聞いて喜んでいたのもあって、とても落ち込みました。

 

手術の必要はあるのかと尋ねると、

「こんな小さいポリープ切る人はいないよ。日常生活に何ら支障はないでしょう。」

そう軽くあしらわれてしまいました。

 

それから薬を飲みながらライブ活動を続けましたが、裏声はどんどん出し辛くなっていきました。

 

 

 

体験談②〜ポリープが出来てから〜

「自分の声帯にはポリープがある」というメンタル的な部分からか、思ったような歌唱が出来なくなりストレスを感じるようになりました。

 

その後もいくつかの耳鼻咽喉科を転々とし、薬による治療を続けたのですが一向に良くならず耳鼻咽喉科ではどこでも

「こんな小さいポリープは切るのは逆に危険だから」

と言われるばかりでした。

 

そんな中で、ある耳鼻咽喉科の先生に

「それでも歌に支障が出て困るならボイスクリニックを受診するといいよ。」

と勧められました。

 

当時「ボイスクリニック」という言葉すら知りませんでした。

ボイスクリニックは「声」の悩みに特化したクリニックで、声帯ポリープ、声帯結節、機能性発声障害、吃音など「全ての声の悩み」に対応してくれます。

 

ボイスクリニックを受診し、声帯の状態を診てもらうと、

「すごく小さいポリープだけど、歌を歌うとなると、これは支障をきたす可能性は十分あるね。」

と初めて理解を示してもらえました。

 

他の病院では手術で切るのは難しいと言われたことを伝えると、

「全然切れますよ。歌手の方ですとこの程度のポリープでも致命的な方もいて、このくらいで切られる方もいますよ。」

と言われて驚きました。

 

しかしながら、ポリープと上手く付き合っていくという方法もあるとも言われました。

その先生曰く、ポリープはニキビみたいなもので出来やすい人は切ってもまたすぐに出来てしまうことも多いのだそうです。

 

実際、歌手の長渕剛さんなんかはハスキーな声を武器にしていて、敢えてポリープは切っていないそうです。

他にもポリープと上手く付き合いながら歌を歌っている歌手も実は多いのです。

ポリープがあることに気づかないまま、何の問題もなく歌を歌い続けている歌手もいるそうです。

 

ボイスクリニックは本当に親身になって、声の悩みを解決に導いてくれるので、声の悩みを抱えているボーカリストの方は、耳鼻咽喉科よりもボイスクリニックを受診することをオススメします。

受診料は保険適用で、初診の時は¥5000ほどしますが、それ以降は一回¥2000程度です。

 

ボイスクリニックに通いながら声帯の経過を見つつ、先生とも相談した結果、手術をすることに決めました。

 

 

 

体験談③〜ポリープ手術〜

私が通ったボイスクリニックでは局部麻酔の日帰り手術も行っていました。

 

日帰り手術の場合、費用は¥30000〜¥40000

全身麻酔の場合は数日間の入院で費用は約¥80000

 

思ったよりも安い値段でポリープ手術が受けられることに驚きました。

 

ただし、局部麻酔の場合は意識がある中で内視鏡を使い手術を行うので、患者的には手術中しんどい部分もあるとのことでした。

費用はだいぶ高くなってしまいますが、入院での手術を選択しました。

 

入院での手術の場合、全身麻酔を行う為、体に異常がないかの検査を受ける必要があり、事前に大きい病院で様々な検査を受けました。

 

 

そして特に問題もなく、入院日を迎えました。

 

手術の前日に入院し、声帯の状態や体調の最終確認を兼ねた検査を行います。

そして、前日からもう声を出すことを禁じられます。

これは声帯の状態を保つ為でしょうか、本当のところはわかりませんが、看護婦さんとも先生とも筆談でした。

 

一泊し、翌日の午前中に手術でした。

全身麻酔なので、手術室に入ってからの記憶はありません。

気が付くと病室のベッドで寝ていて、ボイスクリニックの先生が

「無事に成功しましたよ。」

と伝えてくれました。

 

実際に手術をする段階で、さらに小さいポリープがあって声帯結節(声帯の両側にポリープが出来ている状態)になっていたので、両方を切除したと言っていました。

 

全身麻酔の影響か、手術後に何度か吐き気に襲われましたが、時間が経つと治りました。

また病院い一泊し、翌日の午前中には退院出来ました。

こうして二泊三日のポリープ手術は無事に終了しました。

 

 

体験談④〜手術後〜

声帯ポリープの手術後はしばらく声を出してはいけません。

その期間もまちまちなのですが、自分の場合は手術後4日とかなり短い期間でした。

 

声を一切出さない生活は大変でしたが、その期間も無事に乗り越えて、またボイスクリニックに通院して術後の状態をチェックしてもらい、良好とのことでした。

 

そこからすぐに歌を歌うことは当然禁止され、2週間ほどは大声を出さない、日常会話程度でリハビリするように言われました。

 

手術後、声が変わることを懸念される方も多いと思いますが、喋り声は全くと言っていいほど変わっていませんでした。

 

ボイスクリニックの先生も、

「声も殆ど変わりませんし、我々もプロなので失敗はしませんので安心して下さい。」

と事前に言ってくれていました。

先生のその言葉を信じて良かったと思いました。

 

 

そして2週間後、歌を歌ってみると、出なかった裏声がとても綺麗に出るようになっていました。

歌声も殆ど変わっていませんでした。

ほんの少しだけ、雑味成分が消えて声がクリアになったような感じはしました。

 

しかし、ポリープがあった時に歌っていた時の感覚と、ポリープが無くなった後の感覚では歌唱中だいぶ体感が違い、最初は少し歌いにくさを感じました。

 

これは長いこと歌を歌っていなかったことによる筋力の衰えなどもあったと思います。

しかし、その後も歌い続けているうちに全く違和感なく発声出来るようになりました。

裏声が詰まって出なくなることもそれ以降一度も起こっていません。

 

本当に手術に踏み切って良かったと思っています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今現在、声帯ポリープや声帯結節で悩んでいる方の参考に少しでもなれば幸いです。

声帯ポリープを作るまで、私は歌ったら歌いっぱなしで、喉のケアを一切行っていませんでした。基本的なことですがマスクをして保湿したり、のど飴をこまめに舐めたりして喉をケアすることもすごく大切です。ポリープが出来てしまってからでは遅いです。

 

そして声に異常を感じたら、耳鼻咽喉科ではなくボイスクリニックを受診して下さい。

自分も一番最初の段階でボイスクリニックを受診していたら、もしかしたら手術せずに治すことも出来たかもしれません。

 

手術するか悩んでいる方は、手術してしまうことをオススメします。

声帯にメスを入れるといいうのは最初ものすごく怖いですが、薬で治療するよりも圧倒的に早く、確実に治せます。

 

そして何より、ポリープを作ってしまうことのないように、きちんとした発声を身につけて、しっつかりとケアをしながら歌を歌って下さいね。

ライター:ソロモンの 猫

法政大学文学部日本文学科卒業。大学在学中、小説、詩、文章の書き方を学ぶ。2020年よりフリーライターとして音楽をメインに幅広いジャンルの記事を執筆中。 @soromonnoneko