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《レビュー&取材》プロユースのギターストラップ「Elara Straps」2019年5月24日 , ライター:小林 健悟

ご夫婦で運営する「Elara Straps」ストラップ。奥さまお手製のかわいらしいポーチに入って送られます。ポーチのデザインは、何が来るのかお楽しみ。

「1万円オーバーのストラップ」って、どう思いますか?下手すりゃギター本体より高いんですよ。しかしこれがまた、格別に結構な代物なのです。そこで、高額ストラップの一例として岐阜県郡上市でハンドメイドされる「Elara Straps(エララストラップ)」をご紹介します。デザインと機能性、オーダーできるメリットなどが受けて、大物アーティストも含め、プロミュージシャンの間でじわじわと支持が広がっています。

徹底紹介と解説!おすすめのギターストラップ – エレキギター博士

《レビュー》「エララストラップ」って、どんなストラップ?

ストラップ本体は、ナイロンベルトを表地のジャガード織、裏地の「ウルトラスエード(東レ)」が挟む3層構造。なかなか肉厚で、しっかりとした印象。

エララストラップの第一の「売り」は、トラッドなジャガード織を使いながら、ハードな扱いに耐える頑丈さを持っていることです。「Ultrasuede」モデルは、高級国産車の内装などで使われるウルトラスエードを、ストラップ業界では世界初採用。頑丈さとクッション性、上質な触り心地を持っています。しかも本革と違って、汗を吸っても臭くなりにくい。Tシャツ着用だとしっかりブレーキがかかり、ワイシャツだと程よく滑る、ちょうど良い滑り加減。ギター回しを駆使するなど激しいライブパフォーマンスで、とにかく堅牢でスルッスルに滑るのが好きな人は、裏地に「へヴイナイロン」を使用した「Heavy Nylon」モデルも選べます。

何とも美しいジャガード織。特にこの模様は、カラーバリエーションも豊富で人気なのだとか。

50年代〜80年代に作られたヴィンテージのジャガード織を使用するというぜいたくさも、エララストラップの特徴。レジェンドたちが使ったものと全く同じなんですよ。しかしバリエーションとして、現行のジャガード織も採用しています。今回レビューするのは、現行のジャガード織を使ったもの。やはり製造技術は進歩しており、繊維も細く、模様がクッキリと美しく浮かび上がります。

ストラップエンドの両側にエララのロゴマーク。意外と他では見られない意匠です。

国産の牛革はとっても厚くて丈夫なので、頻繁な着脱は拷問レベル。付けっぱなしか、もしくはロックピンの使用がお勧めです。

ストラップ穴のサイズはロックピン用、エレアコのエンドピンジャック用など、指定に応じてくれます。

金具もゴツくて、ちょっとやそっとじゃぶっこわれない安心感をくれます(その代わり、ギターにぶつけた時の破壊力も相当です)。

「こんな派手な模様で大丈夫か?」なんて思ったんですが、遠くから見ると自然ですね。むしろギターの「格」が上がったような気がします。

《取材》エララストラップの製作現場!

郡上八幡の一角に位置する「Ksound小林楽器店」は、小林さんご夫婦で経営。店頭で販売もしますが、通販も積極的です。エララストラップは、店舗内の作業場でご夫婦によって製作されます。どんな感じで作っているのかを、店主の小林さんに解説していただきました。

小林:弊社は2000年代前半に流行した「Hippie Strap(ヒッピー・ストラップ)」にオマージュを込めて、プロの酷使に耐える頑丈さと心地よい使い心地を目指したストラップを製作しています。ブランド名「エララ」の由来は、ギリシャ神話の女神の名前です。「繰り返し言葉が可愛くて良い」という家内の要望と、「ストラップエンドにロゴが収まる短さ」「ロゴデザインにしやすい字面」という私の意見が両立できる言葉を探したんです。しかも他に使われていないものじゃなければいけません。最初はギリシャ神話から探したんですがなかなか見つからなくて、星の名前で探したら木星の第七衛星に「エララ」があったんです。起源を調べたらやっぱりギリシャ神話で、しかしあんまり有名じゃない女神でした(笑)。

1)革の加工~革シートからストラップエンドへ~

ストラップエンドの革は大型のシートで仕入れ、自社で「型抜き」します。長い方がバックル側、短い方がフロント側です。

小林:シートは全面使えるわけではなく、質の良いところを選んで使います。シワがあるような部位は使えません。有名な「栃木レザー」のヌメ革を取り寄せているんですが、ホワイトがないんです。ホワイトのみUSAですが、栃木レザーよりやや柔らかめです。

型抜きするところを見せていただきます。手動のプレス機に、革と型を収めます。

ズンッ!

リベット穴、ストラップ穴までキレイに抜けました。

型抜きしただけでは毛羽立ちが出るので、専用工具で外周を削り取ります。

小林:削った後、コバ仕上剤で切り口を磨いて、きれいに整えます。

下が型抜きしたばかりのもの、上が「フチ加工」を施したもの。下側はピンボケじゃなくて、毛羽立ちが出ているんですよ。こういうひと手間ふた手間で、品質に差が出るんですね。

小林:高級なハンドメイド革製品では当たり前の作業です。しかギターストラップでここまでやるのは、他ではあまりないと思います。

これを革に押しあてて、ロゴマークをつけます。

「ホットスタンプ」というメカです。温度を上げて、テープ状の「箔」を革に焼き付けます。

小林:ピック工場などで使われているものと、基本構造は同じです。箔にもいろいろあって、光沢があるものや無いもの、厚みもいろいろです。

革と箔を定位置に合わせます。

圧着させると、このようにロゴ部分だけが革に転写されるわけです。

小林:革も箔も、色調によって付きが良かったり悪かったりします。色が乗りにくい最悪の組み合わせもあるんですが、内緒です(笑)

2)金属部品のこだわり

バックルは強固なダイキャスト。折り返し部分の金具は溶接されているという、これ以上ない強固さ。

小林:いろいろ探して探して、ようやく納得のいく部品が見つかりました。

金具を決定するまでは、いろいろなところからサンプルを取り寄せます。こちらはその選定から漏れたもの。

小林:ベルト本体の幅に合うサイズで、また頑丈さと高級感が欲しくて、世界各地からいろいろ取り寄せました。

革を留めるリベット類は大小各種。ピックの入れ物で管理するあたり、さすがは楽器屋さん。

小林:リベットにも、目的に応じていろいろな種類があるんですよ。

3)ストラップ本体となるベルト部分

手前が「ヘヴィナイロン」です。分厚くてザラザラしており、頑丈でとってもよく滑ります。奥が「ウルトラスエード」の内部で使用されるナイロンベルト。シートベルトそっくりの、目が細かくてしなやかなベルトです。

小林:信じられないことですが、こんなに頑丈なヘヴィナイロンも革製ストラップエンドも、プロミュージシャンに現場で使い込まれると柔らかくなっていきます。

裏地に使うウルトラスエードも革と同様に大型シートで仕入れ、規定の幅にカットしてスタンバイ。ちょっとびっくりするようなカラーも選べます。

小林:始めはヘヴィナイロン1モデルで展開していたんですが、「滑りを少しだけ抑えた裏地仕様が欲しい」とか「柔らかな質感で強度も落とさない物が欲しい」というプロミュージシャンの要望があり、それに答えるべく色々な素材を試しました。一般的に使用されている本革のスエードはどんなものでも色落ちをするし、意外と弱くてプロの酷使には耐えられないし、汗だくになると臭いが気になります。そこでたどり着いたのがウルトラスエードです。

ウルトラスエードのサンプル。シックな色からビビッドな色までありますが、この中からどれを採用するか決めていきます。

小林:例えばホワイトにもいろいろありますが、弊社では「パピルス」を採用しています。さすがにかっこいい名前がついていますね。弊社も製品のネーミングには頭をひねります。

表地に使うジャガード織。どれがヴィンテージでどれが現行か、わかりますか?

同一デザインの現行(左)とヴィンテージ(右)。現行のほとんどはポリ系の繊維が横に走り、ヴィンテージはコットンの繊維が縦に走ります。繊維の細かさも違いますね。現行はクッキリ、ヴィンテージには立体感と暖かみがあります。

小林:現行とヴィンテージで、価格差は設けていません。「ヴィンテージだから良い」というわけでもなく、デザインによっては現行に人気が集まるものもあります。「あのアーティストと同じものを」といったご注文もいただくんですが、ヴィンテージのジャガード織は使い切ったらおしまいです。また生地を縫い合わせる糸は、細くて非常に強い特殊なものを使っています。


BRADIO-O・TE・A・GE・DA! (OFFICIAL VIDEO)
この動画ではギターの大山聡一氏、ベースの酒井亮輔氏ともに、エララのストラップを使用しています。特に酒井氏のストラップに見られる左右非対称柄は極めて珍しく、すでに在庫はありません。

定番っぽいシックなもの(左)と、ちょっと攻めた爽やかなもの(右)。組み合わせでさまざまな雰囲気が演出されます。

小林:ウルトラスエードでは、黒の代わりにかなり近い感じの「チャコールグレイ」を採用しています。エララの密かなコンセプトに「一般に普及している黒いストラップに対するアンチテーゼ」と言うのがあるんです。ストラップメーカーとしては、「黒にしとけば大丈夫」といった風潮に一石を投じたいんですよ。

TV番組「ももいろフォーク村NEXT」にてご本人たちが使用している、ももいろクローバーZ各メンバー仕様のストラップ、いわゆる「Momoモデル」。メンバーそれぞれのテーマカラーで仕上げています。表地も裏地も革もロゴマークも、このような思い切った色調のものがオーダーできることが評価され、支持が広がりました。

小林:アーティストさんのバックバンドを務めるサポートミュージシャンたちに特にご愛顧いただいておりますが、アーティストさんの場合では、ご本人に気に入られたとしても「衣装と合わせにくい」とスタイリストさんに敬遠されることがよくあります。その場合ストラップはだいたい「黒一択」となるんですが、それに対抗して「光の加減で模様が見える真っ黒のジャガード織」なんかが作れれば面白いな、と思っています。

《おまけ》「できればこうやって使ってほしい」というメーカーの訴え

小林:弊社製品は、二つ折り側を背面に回してご使用ください。裏地のウルトラスエードやヘヴィナイロンがちゃんと肩にあたって、良好にご使用になれます。「二つ折り側を前側にして、長さ調節をこまめに行いたい」という方は、必要な寸法をお伝えくだされば、その長さでバックルが前側に来るようにお作りします。

正しい使い方。裏地が肩にあたって、クッション性の高さを実感できます。

誤った使い方。これでは表地が肩にあたります。特にこのような襟のない服装の場合、表地のエッジ部分が首にチクチクします。

《まとめ》この値付けには納得

どうでしたか?エララストラップは強度と機能性、そしてデザイン性を兼ね備えた頼れるストラップです。ジャガード織を使ったストラップの中でもエララの

  • ウルトラスエード¥14040(税込)
  • ヘヴィナイロン¥11880(税込)

はなかなか高額ですが、このクオリティを見れば十分納得できます。個人的には「金具が溶接されている」というのがグっと来ました。在庫の範囲内でオーダーメイドも受け付けていますから、興味のある人はぜひご検討ください。

Elara Straps Official Site

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ライター:小林 健悟

エレキギター博士」 「アコースティックギター博士」で記事を書いています。 ギター教室もやっておりますので、興味のある方はぜひどうぞ☆ The Guitar Road 郡上八幡教室のページ  松栄堂楽器ミュージックスクエア岐南のページ 春日井音楽院のページ - ギター教室navi