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《体当たりレビュー》メタルセッションに参加してきました。2019年5月8日 , ライター:小林 健悟

ジャズやロックは、一人ではなかなかやりにくいジャンルです。伴奏音源に合わせるだけじゃ物足りない、やはり人間とバンドが組みたいんです。しかし誰しもバンドを組めるわけではありません。そんなわけで、その時、その場で集まったメンバーで演奏する「セッション」という形式はいろいろと好都合です。各地で開催されているセッションは、バンド演奏を楽しみたい、自分のスキルをもっと磨きたい、本番の経験が欲しい、という人にとって、まさに絶好の機会です。

セッションと言ってもジャズを中心にしたもの、初心者向けのものなど、イベントごとにいろいろな方向性があり、有名アーティストと一緒に演奏できちゃうセッションまであります。そんな中、GWに開催された「メタルセッション in 名古屋 with 菅沼孝三 vol.16(以下、メタルセッション)」に参加、どうやって参加するのか、どんな人が参加しているのかなどをレポートしていきます。セッションに興味がある人、バンドはやりたいけど結成にハードルを感じている人、初耳の人など、ぜひ参考にしてみてください。

まずはエントリーしよう

「演奏曲およびメンバー」画面。参加者がリクエストした演目に希望者が名乗りを上げていき、全パートそろったら成立です。自分の曲は埋まるのか、初参加だし、ハラハラします。

セッション参加方法は、イベントごとに様々あるようです。メタルセッションでは、専用WEBサイト「メタルセッション in 名古屋 with 菅沼孝三」上ですべてのやり取りを行います。楽曲リクエストは管理人へのメールで、各曲への参加表明やキー変更、リード/サイドなど打ち合わせは掲示板で行います。

「では今回は、こういう演目です」と発表したとき、何曲も積極的に参加するという人も、控えめな人も世の中にはいます。そういうことからメタルセッションでは、希望者が公平に参加できるよう、演奏予定曲が揃った日から当日までの準備期間を、第1期から第4期に4分割しています。

  • 第1期:1曲のみエントリーできる。楽曲をリクエストした人は、その曲にエントリーされる。
  • 第2期、第3期:2曲目、3曲目をエントリーできる
  • 第4期:曲数の制限がなくなり、空いてるところなら何曲でもエントリーできる

管理人さんは公平性を重視しているらしく、第1期に入る前の参加表明はフライングとして認めず、時期を待って改めての参加表明を求めていました。

メタルセッションは、プロ/アマ問わず、誰でも参加できます。とはいえセッションの基本は「そこにいるメンバーで、その場限り」です。参加者は当日までに演目をしっかり覚えて、事前のリハーサルもなく、いきなりライブです。難しい演目も散見しましたが、全曲その場イッパツです。初心者でも参加できますが、最低限自力でセッティングして、ちゃんと最後まで演奏できるくらいに仕込んでおく必要があります。

ハラハラしながら当日を迎える

会場となった、スタジオ246名古屋・第7スタジオ。ステージ仕立てでPAもあり、小規模なライブができます。ヴォーカリストさんが歌詞を見るために使用することは何回かありこそすれ、この場に譜面台が置いていないことは注目に値します。

今回は「KBYC」のハンドルネームでBABY METALの「KARATE」をリクエストしましたが、ほかのパートがなかなか埋まらなくてハラハラしていました。ありがたいことにラスト1週間ほどで遂に全パートが埋まりまして、演奏できることが決まりました。ドラムは光栄にも菅沼先生です。

ジャズやブルースではアドリブが主体ですが、メタルは複雑な展開が多く、再現性が重視されます。ちゃんと覚えるのは大変なんですが、メタルというジャンルだからこそ、原曲通りに仕込んできさえすればアンサンブルが成立するわけで、「アドリブの対応力」などという高い高いスキルが必須ではない「参加のしやすさ」があると言えるでしょう。

いざ鋼鉄の狂演当日!その雰囲気は?

客席には、自分の出演を控える参加者の皆さんが。地元や近郊の人ばかりかと思いきや、岐阜県からの参加者が半数近くで、京都からの人もいました。メタルのイベントといえどファッション的には割と普通な印象で、年齢層としては壮年の社会人が大多数な印象。とはいえGWに革ジャン着てる人がいるのは、やはりメタルだからでしょう。定刻通りに受付が始まり、参加者は会場に入ります。会場面積の関係で楽器関係は別の場所です。曲順表が渡され、みなさんそれぞれ自分の出番を確認します。

「手数王」の異名で知られる菅沼孝三先生。このイベントは「菅沼先生と交流できる」のが最大のウリです。こちらが恐縮する隙も与えないフレンドリーさで、すっかりファンになってしまいました。今回は9曲を担当、写真奥に見える譜面台のタブレットに譜面を表示させての演奏です。各曲をご自分でチェックし、譜面も自分で書いていらっしゃいます。

菅沼先生のタブレット。手書き譜面をスキャンしています。先月までツアーに出ていて、終わってから全曲チェックしたのだとか。きっちり練習して当日に臨む参加者さんらの頑張りに応え、菅沼先生もキッチリ仕込んでくれています。

本番が始まりました。リハーサルがないこともあって、各パートのセッティングを焦らずしっかりさせてくれる雰囲気があります。楽器隊の方々には、譜面を見ながら演奏する人はいませんでした。その場一回限りの演奏といえど、いやだからこそ、しっかり暗譜して臨むのが紳士淑女の身だしなみです。メタルに譜面台は似合いません。演奏が終わったら、メンバーそれぞれ握手して別れます。なんと紳士的。

しっかりセッティングさせてくれるとはいえ、スムーズな転換のためペダル以外のドラム関連およびアンプの持ち込みはナシ。エフェクターについても「最小限にしていただけると幸いです。」という管理人さんの声にみなさんしっかり応じています。参加者のこうした協力的な姿勢により、イベントの進行は大変スムーズです。なんという紳士淑女の集い。

会場の外にはモニターがあって、中の様子を確認できます。特に注意があったわけでもないのに、出番でもなく楽器を持ち込む人も、演奏中に会場を出入りする人も、一人もいませんでした。自分の出番が終わったらハイおしまい、という人もおらず、自分の出番以外は会場の外でたむろするような人もおらず、参加者みなさん弾くのも観るのも一緒に楽しんでいた様子です。

「リハなしイッパツでライブ」が基本なだけに、安全策を取って演奏内容をシンプルにまとめてくる人もいたようです。中には指先の軌跡で指板に図形を描いていくような、高速連続スウィープで客席を沸かせる達人も。

公の場には正装で臨んでこそ紳士淑女。バンドメイドを演るならメイド服、メタルなら変形です。エレキギターはストラトタイプが多数派な印象、ベースはジャズベが多数派な印象でした。

「ドラム回し大会」で先陣を切り、得意のスティック回しを披露する菅沼先生。音楽に合わせてドラマーが次々と自分のプレイを披露していきました。

参加者が協力して楽しむ上質のイベント

もう16回も続いているイベントなだけに、参加者の中には常連さんや顔なじみが多い様子で、和気あいあいという雰囲気でした。私は今回が初参加で、セッションイベント自体も生涯初でしたが、皆さんと気さくにお話させていただきました。メタルという音楽の攻撃的あるいは反社会的なイメージとは裏腹に、メタルセッションの参加者みなさんはイベントの進行や運営、そして風紀に大変協力的でした。菅沼先生のスケジュールありきなので不定期開催ですが、ぜひ多くの人に体験して頂きたいイベントです。

ライター:小林 健悟

エレキギター博士」 「アコースティックギター博士」で記事を書いています。 ギター教室もやっておりますので、興味のある方はぜひどうぞ☆ The Guitar Road 郡上八幡教室のページ  松栄堂楽器ミュージックスクエア岐南のページ 春日井音楽院のページ - ギター教室navi