モニター=「中音(なかおと)」という言葉をご存知でしょうか。
ライブハウスでライブをやっている方はよく耳にする言葉だと思います。
今回の記事ではライブハウスで弾き語りを行なっている方に向けて、「中音」の作り方について解説していきたいと思います。
基本的にライブハウスでは客席側に向けて置いてあるスピーカーから出る「外音(そとおと)」とステージ上で演奏しているアーティストに向けて置いてあるスピーカーから出る「中音(なかおと)」があります。
ミュージシャンが演奏中に主に聴いているのが中音
お客さんが客席側で聴いているのが外音
「中音」が出ているスピーカーを「モニタースピーカー」と言います。
また、ステージ上に転がっているように見えることから「ころがし」とも呼ばれます。
「中音」のことを「モニター」「返し」などと呼ぶ事もあります。
ステージ上では勿論外音も聴こえているのですが、中音がないと自分の音がよく聴こえない為、演奏しにくくなります。
その為、リハーサルでは中音と外音のバランスを調整する作業を行います。
リハの時間というのは曲の練習をする時間ではなく、基本的に音響の確認をする時間なのです。
ギター弾き語りの場合はギターと歌のバランスのみなので、バンドに比べるとモニターバランスはそこまで苦労しなくて済みます。
しかし、本番に最高の環境で演奏出来るようにする為には弾き語りといえどもモニターバランスは拘って良いと思います。
それでは、どのような考えに基づきモニターバランスを調整していけば良いのでしょうか。
自分の声が聴きにくい場合、ボーカルのモニターを上げてもらいましょう。
ボーカルのモニターが小さいと、「今日は声が出ていない」「今日は声の調子が悪いのかもしれない」といった悪い錯覚をしてしまうことがあります。
その状態で無理矢理声を出そうとすると、喉を締め付けて声を張り上げてしまったりしかねません。
歌を重視しているアーティストは、いかに歌いやすいモニター環境を作れるかが勝負です。
力まずにリラックスして歌いたい場合はボーカルのモニターは大きめにもらいましょう。
また、リハーサルの時は会場にお客さんが入っていない為、音が反響して大きく聴こえます。
ところが、本番になりお客さんが入ると外の音が吸われて、リハに比べてすごく音が小さく感じる場合があります。
「リハでは凄く歌いやすかったのに、本番はすごく歌いにくくなっていた」ということが頻繁に起こります。
本番に音が吸われてしまうことも想定してモニターを少し大きめに返してもらうというのも一つの手です。
ボーカルのモニターを上げ過ぎると今度はギターの音が聴こえなくなり、歌のピッチが取りにくくなることがあります。
自分が最も演奏しやすくなるように、ギターとボーカルのバランスを調整しましょう。
ギターを力まずに弾く為にギターのモニターを敢えて大きめに設定する方もいます。
「中音と外音は同じ音が出ているの?」と思う方がたまにいらっしゃいますが、中音と外音は基本的に違う音量バランスで音が出ています。
歌いやすくする為に、中音のボーカルをかなり大きめに上げてもらったとします。
仮にボーカル:ギターが8:2くらいのバランスの中音になっていたとしても、外音はPAさんが5:5くらいの一番外で聴きやすいバランスにしてくれます。
中音と外音は出ている音が違いますので、アーティストさんは基本的に自分が演奏しやすいように中音を作ってもらって大丈夫です。
中音にはリバーブをかけることも出来ます。
中音にリバーブがあった方が歌いやすいという方は多いです。
しかし、中音にリバーブをかけ過ぎるとボーカルのピッチが狂いやすいのでかけ過ぎは禁物です。
基本的に外音にリバーブがかかっているので、中音にリバーブをかけなくても会場の反響が中に届くことが多いです。
最初は中音のリバーブはなしで歌ってみて、どうしても物足りない場合は中にもリバーブを少し返してもらうくらいが良いかもしれません。
リバーブ・プラグイン一覧 – Supernice!DTM機材
音の反響は会場によって全然違うので、歌いやすい会場もあれば、歌いにくく感じる会場もあると思います。
また、コンディションが優れない日もあるでしょう。
声のコンディションが優れない時は特に大きめにモニターを返してもらって、力まずに歌えるようにバランスを調整しましょう。
歌はかなりメンタルに左右されるところが大きいので、弾き語りと言えどもリハの段階でしっかりと歌いやすいモニターを作っておくことが大切です。
ここまで散々中音(モニター)の作り方を書いてきましたが、モニターがない会場もあります。
小さなカフェやレストラン、野外ライブやインストアライブなど簡易的なPAシステムしかない会場ではモニターがないことも珍しくありません。
こういった会場ではお客さんが聴いている外音だけを頼りに歌うことになります。
小さい会場では音が反響するので、モニターがなくても音がよく聴こえる場合もありますが、モニターのない会場は基本的に演奏しにくいです。
モニターの音を作り込むことも大切なのですが、モニターに頼り過ぎているとモニターがない環境で思ったように歌うことが出来なくなってしまいます。
モニターのない会場でもベストパフォーマンスが出来るように、良い感じに歌えている時の自分の体の感覚を覚えておくことも大切です。
野外ライブやカフェでのライブに持ち込める小型のモニタースピーカーも販売されています。
どうしてもモニターが欲しいという方は持ち運び式の小型モニタースピーカーを持っておくと良いでしょう。
なんと2.8kgと片手で運べる重さ。
幅29.0x高さ21.5x奥行17.0cmで大きめのリュックであればすっぽり収まる程コンパクトです。
また、マイクスタンドに挿して立てることも可能です。
カフェライブ、ライブバー、ストリートライブ、野外イベント等、様々なシーンで活躍してくれそうです。
弾き語りにおいては、楽器と歌のバランスのみなのでモニターを難しく考える必要はありません。
歌いやすさ、楽器の弾きやすさをそれぞれ考えて、遠慮なく好みのバランスをPAさんに注文して下さい。
モニターのバランスは凄く重要ですが、モニターのバランスに左右されない「体感」を日々の練習で培うことも大切です。
どんなにリハでモニターの音を作り込んでも、やはり本番になって音が聴こえにくいということは起こり得ます。
そんな時に、一番良い声で歌えている時の体感を体が覚えていれば何とか出来るのです。
一度、PAさんのミスでモニタースピーカーから音が出ていなかったという現場にも遭遇したことがあります。(こんなこと滅多にありませんが)
こういったイレギュラーにも対応出来るだけの実力も付けておきたいものです。
ライター:kato
2020年よりフリーライターとして活動。 @kato1155ka
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