DAWを使用した耳コピデータ(MIDI)作成方法[記事公開日]2021年8月26日
[最終更新日]2021年08月26日
[ライター]Kaoru

耳コピデータ作成

皆さんは「耳コピー」をご存知でしょうか??きっと作曲や楽器をしていると一度は聞いた事があるワードだと思います。

今回は私の実体験を元にして、耳コピーデータ(MIDI)制作を始めたことによる「変化」や「良かったこと」を書いていこうと思います。

作曲家や編曲家だけでなく楽器を演奏するプレーヤーなど、音楽を楽しむ全ての人に参考になると思います。

耳コピーとは

その名の通り、耳を頼りに音を聴き込んでコピーするということ。
楽譜は一切見ないで、音源だけを聴いて各楽器がどのような演奏をしているのかを把握することを示します。

「絶対音感がないと無理」「才能がないと無理」なんて事をよく耳にしますが、そんなことはありません。
実際に私は全く音感がなかったし、音楽理論もよくわかっていない状態でしたがある程度はできるようになりました。

耳コピーによるメリット・デメリット

音楽の技術・知識・経験を伸ばしたいのであれば耳コピ―は「必須」だと思います。

難しくてとっつきにくいイメージがあると思いますが、身に付けることで必ず強力な武器になるのでとてもおすすめの上達法です。

実際に私が感じたメリットとデメリットをまとめてみます。

メリット

楽曲の分析力が上がる

毎年のように誕生するヒット曲にはヒットする理由があるのです。
時代によるサウンドの変化や楽器の変化を分析できるようになれば、自身の楽曲に反映させることができますよね。
そうすることで、作曲家のクセや強みを知ることが可能。
気になった楽曲は必ず耳コピーするようにしています。

また、音の定位(PAN)や響き方を知ることでどのようにミックスされているのかが分かります。
特に演歌は数多くの楽器が使われていることが多いのですが、綺麗にミックスされている楽曲が多いのでとても勉強になります。

相対音感が身に付く

相対音感とは、1つの音と別の音がどのくらい離れているかを判断できる能力。
つまり、ピアノやギターなどを鳴らしながら音を比較することで何の音か当てることができます。

絶対音感の場合は、幼少期から音楽を学んでいないと身に付かないといわれていますが、この相対音感は訓練を積むことで誰でも身に付けることができるといわれています。
楽曲のコード進行くらいなら雰囲気で分かるようになってくるのでとても便利。

楽譜が不要になる

私の場合、耳コピーをするようになる前は、楽譜を購入したり、演奏動画を見て真似することで演奏していました。

しかし、耳コピーができるようになってからは、全て自分で楽譜を作るようになりました。
そうすることで、

・更に音感が身に付く
・お金を使わなくて済むので、別の機材を購入できる
・楽譜が販売されていないような楽曲でも演奏できる

など良いことばかり。

打ち込みが速くなる

DAWを使用して耳コピーする場合、MIDIデータを編集するスピードが格段に向上します。
耳コピーをすることで、DAWごとに用意されているショートカットキーを自然と覚えることができるので無駄な作業が無くなります。

打ち込みのスピードは作曲の際にもかなり重要なポイントになるので凄く大きなメリットとなるでしょう。

仕事に繋がる・人脈ができる

いつか音楽で生活をしていきたいと考えている方はとても多いと思いますがとても厳しい実力主義の世界。

特に作曲家だと実績ができるまではコンペに参加する場合がほとんどなので安定した収入は見込めないのが現実ですよね。

しかし、耳コピーができるようになればある程度安定した収入が見込めます。
MIDIデータ制作(カラオケデータ)や既存曲の採譜などの常に需要がある仕事が可能となります。

デメリット

かなりの集中力が必要

初めは簡単な楽曲でもかなり苦戦すると思います。
沢山の音が鳴っている中で目的の音だけを聴くことはかなり難しいです。

何時間も集中することは不可能なので上手に気分転換しながら行う必要があります。

挫絶しやすい

私の周りだと上手く聴きとることができずに挫絶してしまう人がとても多い。

また、耳コピーをしても正確に音が取れているか添削してくれる人がいないので辞めてしまうことがあります。
そんな時は、有償になりますがMIDIデータ制作会社に問い合わせれば添削してくれる場合がありますので上手く活用すると良いでしょう。

耳コピーの方法

私が耳コピーを行う際に必ず行っていることをパソコンのスクリーンショットを使用して解説していきます。

DAWを立ち上げる

ギターやピアノのみを使用して耳コピーしている方もいますが、私の場合は「必ず」DAWを使用します。
理由としては、テンポ・拍子・構成を常に把握できる。
また、どこでも作業できるからです。


MIDIデータ制作の現場では、半数以上の方がDigital performerを使用していますが私は使い慣れたCUBASEを使用しています。
(メタ情報の書き出しができるDAWが推奨される場合が多いので、仕事としてMIDIデータ制作がしたいのであればDigital performerかCUBASEのどちらかになると思います。)

音源を正確に貼り付ける

楽曲が何拍目から始めるのかを注意して正確にプロジェクト画面に貼り付けます。
ここで間違えてしまうと楽曲全体のリズム感が掴めないのでとても重要。

DAWによっては音源の貼り付けができないものもあるそうなので注意してください。

テンポ(BPM)を割り出す

DAWのメトロノーム機能を使ってテンポを判別していきます。
初心者のうちは、かなり時間がかかってしまうと思いますが慣れれば簡単。
テンポトラックに打ち込みましょう。

バスドラムやハイハットなどの等間隔で鳴る楽器を参考にすると良いでしょう。

構成を書き込む

日本の楽曲には、intro・A・B・サビなどの構成がありますよね?

始めの段階で書き込んでおくことで全体の構造が把握しやすくなります。

構成だけでなく、転調する部分を記載したりとメモのように使用するとミスが減ります。

以上は最低限の作業になります。
これらを行ってから耳コピーを開始します。

コピーしていく順番

楽曲の楽器構成などによって順番は変化しますが、基本的には以下の順番で進めていきます。

1.ドラム

最初は楽曲全体のリズムを把握しましょう。
ドラムを聴きながら、パーカッションやシェイカーも聴けるようになると雰囲気を掴みやすくなります。

また、先に打ち込んでおくことでベースのリズム感がズレることが無くなります。

2.ベース

ドラム同様に「リズム隊」と呼ばれているベース。
コードの識別する際、一番重要な楽器です。

楽曲全体のリズムと音階を担うので特に慎重にコピーしていきましょう。

3.メロディー

一番聴き取りやすい音域ですが、息継ぎ(ブレス)する部分を考えないといけないので意外と難しいパート。

実際に口ずさみながら、打ち込んでいくとミスは減ると思います。

4.コード楽器

コード進行を奏でるパート。
大体ギター・ピアノのどちらか、もしくは両方です。

ベースを参考にルート音を確認して、メロディーを参考にして曲のキーを判別すればかなり絞り込めるはずです。

セカンダリドミナントやオンコードに注意してください。

5.単音楽器

アクセントとして使用されることが多い単音パート。
メロディー同様に聴き取りやすい場合が多いのであまり難しくないはず。

耳コピーのコツ

基本的には、「耳を鍛える」「楽器の構造を知る(素材・発音方法・演奏テクニックなど)」「実際の演奏を見て学ぶ」ことで上達していきます。
しかし、いくつかのコツを知ることで少し聴き取りやすくなるのでその方法をご紹介していきます。

ヘッドフォンのグレードアップ

安物のヘッドフォンは、全体的に低音が重すぎるものが多く潰れたようなサウンドになりがちです。
最低でも1万円以上のヘッドフォンをおすすめします。

また、ヘッドフォンには密閉型と開放型がありますが長時間の使用が想定されるため、開放型を選ぶと良いでしょう。

※イヤホンは長時間使用すると耳に悪影響を起こしやすく難聴の原因になりかねないのでおすすめしません。

夜にギターを練習するのにオススメのヘッドフォン – エレキギター博士

音楽理論を理解する

年齢によって音の聴こえ方は変化してきます。(例えばモスキート音のようなもの)
いくら耳を鍛えても聴こえない音は必ずあります。

そんな時に役立つのが音楽理論。

音が分からない・聴こえない部分があったとしても音楽理論を使えば消去法で音を絞り込むことができます。

理論と聞くと敬遠しがちではありますが、ダイアトニックコードを理解するだけで楽曲のキーを特定できます。
覚えておけば必ず役に立つでしょう。

ギターで学ぶ!音楽理論 – エレキギター博士

1オクターブ上げる

初心者の最初の難題と言えば「ベース」のコピーでしょう。
低音楽器は音階が掴み難いですよね。

バンドでベースを担当していた私でさえ最初は間違えてばかりでした。

そんな時には、DAWに搭載されているピッチシフト機能を使いましょう。
楽曲の音程を1オクターブ上げることで少し聴き取りやすくなります。

イコライザーを活用しよう

イコライザー

イコライザーについてはご存知の方も多いですよね。
音質を補正したり、周波数ごとに音量を操作することができる便利な機能。

基本的にはほとんどのDAWに付属されています。(無い場合は無料プラグインでも可)

周波数特性を理解することで、聴きたい音域を強調したり、逆に邪魔な音を衰弱させたりすることができます。

各楽器の周波数帯域を理解すると、耳コピーはもちろんですがミックスにも役立つので積極的に活用すると良いでしょう。

音作りの要!おすすめのEQプラグイン – DTM博士

M/S処理を活用しよう

オーディオ編集の手法としてよく使われるMS(M/S)処理。

Mid成分とSide成分、つまり真ん中の音と左右広がりのある音に分けて処理するというものです。

MS(M/S)処理をすることで真ん中から聴こえる邪魔な音を簡単に取り除き、左右の音を聴き取りやすくしてくれます。M/S処理とイコライザーを上手に活用できるようになれば誰でも耳コピできます。

音圧が欲しいならこれを使え!超簡単にMS処理ができるプラグイン特集 – DTM博士


以上、DAWを使用した耳コピデータの作成方法についてのお話をさせていただきました。

私自身、何度も挫絶を繰り返してできるようになりました。

この記事を参考に1人でも多くの方に耳コピーを楽しんでいただきたいです!

ライター:Kaoru

2017年から作曲家、編曲家として本格的に活動を開始。楽曲提供・MIDIデータ制作・ミックス・マスタリング・オンラインでの講師など幅広く活動中。 Webサイト:https://kaoru113portfolio.wordpress.com/

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