ロックバンドa flood of circleが2021年8月11日に結成15周年を記念したニューアルバム「Gift ROCKS」をリリースしました。
このアルバム、a flood of circleが作詞作曲した楽曲は実は一曲も収録されていないのです。
というのも「Gift ROCKS」というタイトルの通り、15年間で出会った仲間から楽曲を提供してもらって制作したギフトアルバムなのです。
このアルバム、本当に内容も素晴らしいですし、アイデアがとても画期的です。
今回の記事はこのアルバムから学ぶ音楽ビジネスについて書いていきたいと思います。
a flood of circle 2020
a flood of circleを知らない方の為に、軽く紹介させていただきます。
a flood of circleは日本の4人組ロックバンド。
ブルース、ロックンロールを基調とした音楽性と、ボーカル佐々木亮介さんのしゃがれた圧倒的なボーカルがとても魅力的です。
2009年にいしわたり淳治プロデュースでメジャーデビュー。
以降15年間、メンバーチェンジを繰り返しながらも、常に自分たちのロックンロールを追求し進化させてきたバンドです。
とても硬派なロックバンドのイメージが強かったので、今回アーティスト仲間から提供してもらった楽曲でのギフトアルバムをリリースすると聞いた時は驚きました。
結成15周年としてリリースされたアルバム「Gift ROCKS」は錚々たるメンバーから楽曲提供を受けています。
[収録曲]
1.まだ世界は君のもの
GIFT from 田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)
2.LADY LXCK
GIFT from SIX LOUNGE
3.I’M ALIVE
GIFT from Rei
4.星屑のレコード
GIFT from THE BACK HORN
5.夕暮れのフランツ 凋まない風船
GIFT from 山中さわお(the pillows)
6.WINDOW開ける
(UNISON SQUARE GARDENカバー)
7.メリールー
(SIX LOUNGEカバー)
8.BLACK BANANA
(Rei カバー)
9.コバルトブルー
(THE BACK HORNカバー)
10.About a Rock’n Roll Band
(the pillows カバー)
このアルバム、a flood of circleが活動15年で出会った仲間たちから楽曲提供してもらった5曲に加えて、それぞれのアーティストのカバーを「Gift 返し」として収録しているのです。
「Gift ROCKS」MV
この「Gift ROCKS」のアイディア、本当に画期的で素晴らしいと思いました。
このコンセプトアルバムはa flood of circleと楽曲提供をしたアーティストの双方に共に大きなメリットがあります。
まず、仲の良いアーティストから楽曲を提供してもらうことでa flood of circleの存在を知らないお客さんや、知っていてもライブに足を運んだことがないようなライトなファンに広くアプローチが可能になります。
例えば、UNISON SQUARE GARDENのコアなファンでa flood of circleにそこまで興味のない方でもこのアルバムにはきっと興味を示すはずです。
なんて言ったってUNISONの田淵さんが楽曲を書き下ろしているのですから。
それはこのアルバムに参加した他のアーティストのファンも然りです。
しかも、この楽曲提供をしてくれているアーティストはa flood of circleと親交の深いバンドばかりです。
一見、あまり接点のなさそうなシンガーソングライターのReiさんとも、過去にボーカルの佐々木ソロで弾き語りのツーマンなどを行っています。
ということは、UNISON SQUARE GARDEN、SIX LOUNGE、Rei、THE BACK HORNのそれぞれのファンの多くがa flood of circleのことを既に認知しているわけです。
そのファンたちに一気に強いアプローチをかけることが出来るのです。
このアルバム、「Gift ROCKS」と題してアーティストに曲を提供してもらうだけでも十分話題性がありますが、更にそのお返しとして全アーティストのカバーを収録しているのも見所です。
これをやられたら、やはり楽曲提供したアーティストのファンたちもこのアルバム買ってしまうでしょう。
そして、このプロモーション効果は楽曲提供したアーティスト側にも同様の効果があり、a flood of circleに歌ってもらうことで、彼らのファンにアプローチをかけることが可能になります。
楽曲提供してもらうからには、それなりのギャラは支払っているとは思いますが、a flood of circleからしても曲を作る手間ががなくなるわけですし、プロモーション効果としては正に「Win Win」と言えるでしょう。
インディーズのアーティストが上を目指していくにあたり、「仲間」の大切さについてこれまで色んな記事で書いてきました。
これは正にそのお手本とも言える例だと思います。
この手法は、まだそこまで人気のないインディーズのアーティストでもそのまま応用出来るアイディアだと思います。
寧ろまだ人気の出ていないアーティストこそ、こういった仲間のアーティストを積極的に巻き込む企画を打っていくべきです。
a flood of circleというバンドは一見すると硬派なロックバンドで、こういった「仲間との協力」みたいなものとは真逆のイメージを持つ方もいるかもしれません。
「ロックバンド=尖っていて、群れない、一匹狼」といったイメージもあると思います。
他のバンドとは群れずに我が道を行き成功したバンドも中にはいます。
しかし、それはどちらかと言えば稀で、こうして仲間を大切にし、協力しながら一つのムーブメントを作り上げていくということが非常に重要で、実はこれが一番成功への近道なんだと思います。
今回のこの企画、硬派なロックバンドがやったという点も非常に面白いポイントだと思います。
相当な柔軟性がないと15周年のアルバムに人から貰った曲を入れようとはなかなか思えません。
a flood of circleは己のロックを貫きながらも、柔軟にエンターテイメントの要素も取り入れています。
この「Gift ROCKS」はどちらのファンにとっても素晴らしい「Gift」だろうと思います。
この企画の素晴らしいところは、エンタメとして面白い企画であること以上に、ファンや仲間のアーティスト、みんなを幸せにする企画だというところです。
因みにですが、話題性を重視した薄っぺらいアルバムなんてことは全くなく、どの曲も本当にa flood of circleへの愛が溢れた素晴らしい楽曲です。
そして、カバー曲もまたそれぞれのアーティストへのリスペクトが感じられますし、しっかりとa flood of circleのロックに昇華しています。
先程載せた動画を観て貰えばわかると思いますが、それぞれのアーティストにこの企画のオファーをするシーンや、楽曲を初めて聴いた時のリアクションなどをドキュメンタリー風に編集し、アルバムの宣伝として順番にyoutubeにアップしているのも面白いです。
こういったところはインディーズのアーティストにもすごく参考になると思います。
個人的にはUNISON SQUARE GARDENの田淵さんが提供した「まだ世界は君のもの」がUNISONの持つ爽やかさと、佐々木さんの声が想像以上にマッチしていてとても好きでした。
the pillowsの「About a Rock’n Roll Band」も、the pillowsファンからすると「そこをカバーしてくるか〜」と思わず嬉しくなるような選曲だと思います。
「Gift ROCKS」素晴らしいアルバムに仕上がっていますので、是非聴いてみて下さい。
ライター:kato
2020年よりフリーライターとして活動。 @kato1155ka
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