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ジャズギタリストは、なぜストラトを使わないのか2016年1月5日 , ライター:小林 健悟

The Incredible Jazz Guitar Of Wes Montgomery

ジャズギタリストは、なぜストラトキャスター・タイプのエレキギターを使わないのでしょうか。コードプレイならさておき、特にクリーントーンでリードを取るプレイヤーに、ストラトの名手はいません(ご存知なら、是非教えて下さい!)。

これはストラトが抱えている、「弦ごとの音量がバラついている」という如何ともしがたい問題が一因だと考えています。そこで今回は、どうしてバラつくのか?またどうすりゃいいのか?を考えていこうと思います。

ストラトは3弦の音がでかい

田舎の正月とストラト 田舎の正月とストラトのピックアップ。音量バランスをとるために、ピックアップ本体を傾けてセッティングしています。

ストラトのピックアップを観察してみましょう。どのストラトを見ても、3弦を狙うポールピースが弦に近く、2弦のはえらく遠くになっていますね。「ランダムポールピース」または「スタッガードポールピース」と呼ばれる設計です。これにより、「3弦の音量が大きく、2弦の音は小さい」ということがどうしても起こります。しかもポールピースは固定なので、調整することができません。

これはどうやら、昔のエレキギターは3弦が巻弦(ラウンド弦)だった、ということの名残のようです。ピックアップは弦の「芯」の振動をキャッチしますが、巻弦だった頃の3弦の芯は、2弦よりも細かったのです。細い弦の振動をキャッチすべく、3弦のポールピースは伸びていたわけです。

その後3弦がプレーン弦の「ライトゲージ」が開発され、それ以前の弦に置き換わってしまいましたが、新しいゲージの音量バランスにはフェンダーは追随しませんでした。

一方、ギブソンのピックアップは

レスポールデラックスと田舎の正月 レスポールデラックスと田舎の正月。ポールピースがネジになっています。

ギブソンのピックアップは、ふつうのハムバッカー、P-90共にネジ式のポールピースを採用しており、高さの調節が出来ます。音量のばらつきが出やすいクリーントーンにおいて、ピックアップ本体だけでなくポールピースの高さも調節できることは、弦ごとの音量調整ができるという大きなアドバンテージになっています。

ジャズ向きに開発されたというジャズマスターもポールピースの高さは固定で、弦ごとの音量調整ができません。クリーントーンで演奏するジャズプレイヤーは、ここを嫌ったのかもしれません。

ジャズ向きのストラト用ピックアップは?

CARVIN ( カービン ) / AP11  http://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/24392/

現代の弦に合わせたストラト用のピックアップは、存在しないか、あっても一般化していません。シェクターのモンスタートーンなど、ポールピースが全部同じ高さで固定されているものはたくさんリリースされています。弦ごとの音量調整ができるピックアップはカーヴィンから出ていますが、他のブランドは追随していません。G&Lのギターに付いているピックアップは弦ごとの音量調整ができますが、ピックアップ単体での販売はしていません。

どうやら「ヴィンテージ指向」という現代の流行もあり、ヴィンテージと違うものは作っても売れる見込みが薄い、という考えがあるようです。

それでもストラトにこだわりたい。どうすればいいのか?

ランダムポールピースのピックアップのまま、各弦の音量差をなくしたい。では、どうすればいいのでしょうか。代表的なものを挙げてみましょう。因みに筆者は4)以外全部のミックスです。

1)歪ませる

台無しですが、これが一番シンプルな解決策です。いいじゃないですか、ジャズで歪ませたって。そういうプレイヤーはたくさんいます。

2)コンプ/リミッター、あるいは真空管アンプを使用

周辺機器に頼るパート2。コンプレッサーは音量のバラつきを抑え、リミッターは音量の上限を抑えます。真空管アンプは「ナチュラル・コンプレッション」がかかり、強弱がそれとなくまとまります。

3)絶妙なセットアップに挑む

ピックアップの高さ調節のみで、いかにバランスを取るか。自分でトライしてもいいですが、プロに依頼してもいいです。

4)ピッキングの強弱で対処

これぞ練習の鬼が歩む修羅道。ギタリストの鏡。

5)気にしない

「ストラトとは、こういうものだ」と認めてしまう、愛情溢れるアプローチ。相手の欠点をも認め、受け入れるのは深い愛情あってのものです。

まとめ

いかがでしたか?ジャズ業界は最初からギブソンなどハムバッカー搭載のギターが主流でしたが、なぜそこにフェンダーが切り込めなかったか、その理由の一端をかいま見ることができました。
ストラトキャスターは大変便利なギターで、かつ音楽の歴史を築いた名機でもありますが、このような課題を抱えています。それに対してどうやって対処し、いい音を出すか、ストラトとの付き合い方の醍醐味だと言えるでしょう。あなたのストラトも、しっかり愛してください。

ライター:小林 健悟

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