歌を歌っていて、とても調子が良い日もあれば、思うように声が出ないという日もあると思います。
声が出しにくいことには様々な原因が考えられますが、歌う直前に飲んだ飲み物や、食べ物も大きく影響してきます。
今回の記事では、声が出しにくくなってしまう可能性のある飲み物、食べ物について書いていきたいと思います。
これは言わずもがなですが、アルコールの入ったお酒類は歌う前、歌う最中は絶対にNGです。
「お酒を飲むと声が出しやすくなる」という人がたまにいますが、お酒を飲むと確かに、一瞬声帯はほぐれます。
しかし、その後すぐに声帯はガチガチに固くなります。
歌を歌うという行為はとても繊細な筋肉のコントロールによって行われています。
ガチガチに固まった筋肉で無理に歌おうとすると、好ましくない発声をしてしまう可能性が非常に高いです。
また、アルコールには利尿作用もある為、声帯の水分を奪ってしまいます。
声帯が乾燥した状態で歌い続けると、声帯ポリープや声帯結節を作る大きな原因になりますので、お酒を飲みながら歌うということは出来る限り控えましょう。
意外かもしれませんが、烏龍茶、緑茶も声帯には良くありません。
特に烏龍茶は油を分解する作用があり、声帯の油分を洗い流してしまうのです。
声帯の油分が奪われると、声が出しにくくなりますし、炎症を起こしやすくなります。
また烏龍茶にはカフェインが含まれる為、これも声帯の乾燥に繋がります。
烏龍茶と緑茶は成分が似ているので、緑茶もあまり声帯には良くないのですが、油分を洗い流す作用は烏龍茶の方が強いです。
歌う際に烏龍茶は極力控えることをオススメします。
乳製品は喉をコーティングする膜を作る為、痛みを和らげたり、回復を助ける効果があります。
しかし、コーティングされることで痰が絡みやすくなったり、喉にこびりついて歌いにくくなるということが起こってしまう可能性があります。
そういった理由から乳製品全般をライブ前は摂らないようにしている歌手の方もいます。
前日に飲む分には良い効果も期待出来ますが、歌う直前には牛乳は摂らない方が無難です。
炭酸飲料は喉への刺激が強い為、歌う前にはオススメ出来ません。
また炭酸のジュースには糖分も多く含まれています。
糖分もまた水分を奪う効果がある為、コーラやサイダーといった炭酸のジュースはダブルで良くありません。
炭酸飲料はゲップも出やすくなる為、歌う前に飲むのはやはり控えるべきでしょう。
カラオケなどでコーラやメロンソーダを飲みながら歌う方は多いと思いますが、実はあまり歌うときの飲み物には適していないのです。
これも意外かもしれませんが、グレープフルーツ、オレンジ、レモンなどの柑橘系のジュースは喉への刺激が強い為あまり喉には良くありません。
ハチミツレモンなんかはとても喉に良さそうなイメージがありますが、レモンは実は歌う前には良くないのです。
しかし、柑橘系に含まれるビタミンは声帯の回復を促進してくれるので歌う直前でなければ、良い影響も得られます。
コーヒーに関しては諸説ありますが、カフェインによる利尿作用で水分が奪われてしまうということは間違いありません。
水分が少なくなると、痰も絡みやすくなります。
しっかり水も飲めば問題ないとするボイストレーナーの方もいますが、心配な方は、歌う前はコーヒーも控えた方が良いかもしれません。
冷たすぎる飲み物も歌う前には良くありません。
スポーツ選手の筋肉が冷えると、筋肉が硬くなり、良いパフォーマンスが出来ないということと同じです。
それと同じことが声帯でも起こります。
歌はスポーツといっても過言ではありません。
それだけ声帯や声帯周りの筋肉は繊細なのです。
そして、熱い飲み物もまた、声帯が乾燥しやすくなるので歌う時の飲み物には適していません。
歌う直前や、歌っている最中は出来るだけ常温の飲み物を飲むようにしましょう。
辛い食べ物はやはり喉への刺激が強いため、NGです。
唐辛子などに入っているカプサイシンは声帯の粘膜を傷つけポリープなどに繋がる恐れもあるので、歌の前後は避けましょう。
チョコレートも乳製品同様、喉をコーティングしてしまい、歌いにくくなることがあります。
チョコレート自体は栄養も豊富で喉に悪いわけではないので、本番直前でなければそれほど問題はありません。
声帯は水が命です。
歌う時に一番良いとされているのは常温の水です。
ただし、水は飲んだからといってすぐに声帯を潤してくれるわけではなく、時間差があります。
その為、歌を歌う時はこまめに沢山の水を飲むようにすると良いでしょう。
ライブの前にオリーブオイルを飲むという歌手も少なくありません。
オリーブオイルを飲むことで声が出しやすくなるということに関しては、科学的な根拠はないのですが、多くの歌手がオリーブオイルを飲むことで声が出しやすくなると言っているところを見ると、単なる迷信ではないような気もします。
また同様に、唐揚げやこってりしたラーメンを食べると声が出やすくなるといった話も良く耳にします。
これもまた科学的な根拠はないのですが、あながち間違いというわけでもなさそうです。
ハチミツが喉に良いという話をよく耳にすると思います。
実際、ハチミツは喉にとても良いです。
高い殺菌作用と防腐効果があり、喉に付着した菌を退治してくれます。
また、声帯の粘膜層をコーティングして保護してくれるのです。
声帯の粘膜層において水分と油分が不足すると、声枯れを起こしたりしやすくなります。
ハチミツは水分や油分を閉じ込めてコーティングしてくれるといった働きがあります。
しかし、今回、「声が出やすくなる飲み物」の中でハチミツを書かなかったことには理由があります。
それは、ハチミツは歌う前や、歌っている最中に飲んではいけないからです。
ハチミツによって声帯の粘膜がコーティングされると、声帯の繊細な動きを邪魔してしまいます。
ハチミツは確かに喉に良いのですが、それはあくまでも声帯のケアであったり、回復を促してくれるもので、飲むと声が出やすくなるという物ではないのです。
ですので、ライブや練習後、寝る前などにハチミツを舐めるというのは非常に良いことなのですが、ライブ中にハチミツレモンを飲んだり、練習の合間にハチミツ入りの喉飴を舐めるといったことはオススメ出来ません。
「ハチミツが喉に良い」という情報だけで勘違いして、歌う直前や最中にハチミツを摂取している方は少なくないと思います。
ハチミツはライブ前ではなく、ライブ後や寝る前に、喉のケアとして摂取しましょう。
・声が出しにくくなる飲み物、食べ物
①アルコール類
②烏龍茶、緑茶
③炭酸飲料
④牛乳
⑤柑橘系
⑥コーヒー
⑦冷たすぎる飲み物、熱い飲み物
⑧辛い食べ物
⑨チョコレート
[歌う前に良い飲み物]
①常温の水
②オリーブオイル
いかがでしたでしょうか。
歌を歌う上で体のコンディションは凄く重要です。
歌う直前は水分を多く取るようにして、声帯に悪影響を与える飲み物や食べ物は極力摂らないようにしたいものです。
また、前日に肉を食べ、しっかりビタミンを摂ることで声帯の修復を助ける効果が期待出来ます。
直前の飲み物や食べ物も大事ですが、歌は体が楽器なので、日頃から出来る範囲で食生活にも気をつけてみて下さい。
しかし、こういった細かいことに神経質になりすぎるとかえってメンタル的に調子を崩してしまう方も少なくありません。
お酒や辛いものを食べてライブすることは流石にオススメ出来ませんが、炭酸やコーヒーが好きという方で、飲んで歌っても調子が良さそうなのであれば、そこまで気にする必要はないとも思います。
コーヒーを飲んで歌ってみて調子を崩すことが多かったら、「自分はコーヒーはダメなんだ」というように、一つずつ歌うときにダメなNGリストを作っていけばいいと思います。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
ライター:kato
2020年よりフリーライターとして活動。 @kato1155ka
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