ロック・ギタリストにおすすめなフュージョン系ギタリスト5選(ジャズ編)[記事公開日]2015年9月12日
[最終更新日]2015年09月12日
[ライター]森多 健司

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フュージョンというと、一般的にはジャズとロックの融合と解釈されますが、そんな中でもロックのプレイヤーにおすすめなギタリストを紹介します。今回はルーツにジャズやブルースを持つ人たちを集めました。

Larry Carlton(ラリー・カールトン)

Larry Carlton

世界を代表するフュージョン・ギタリスト第一人者。1977年発表の「Larry Carlton(夜の彷徨)」は、まだクロスオーバーというジャンル名で通っていた日本でも広く受け入れられました。現在でもなお衰えないテクニックとその歌心溢れるギタープレイは素晴らしいものがあり、フュージョンを知らない人はまずはじめに聴くべきギタリストと言えます。

ラリー・カールトンのプレイスタイル

ブルースを基調としながら、ジャズ的エッセンスがそこに散りばめられたような印象。アドリブを弾く際にはスケールよりもコードを意識すると本人は語っていますが、いわゆるジャズ的なオルタードフレーズ等はあまり登場しないため、ぱっと聴いた感じではジャズギタリストっぽさは感じられません。

歌心とハーモニー感覚を兼ね備えたフレージングは独特のもので、もはや「ラリー・カールトン節」といえるほどオリジナリティの溢れたものになっていますが、殊にギターを歌わせることに関しては随一と言えます。

2003年発表「サファイア・ブルー」では完全なるブルースへ回帰したサウンドも聴かせており、昨今、歳を追うごとにブルース色はやや強くなってきていますが、完全にブルースプレイヤーにはならずにジャズ・フュージョンというジャンルで活動を続けています。世界中のプレイヤーから尊敬を集める、最高のギタリストの一人です。

おすすめアルバム

Larry Carlton(夜の彷徨)

日本では夜の彷徨という題名で通りが良い代表作。代表曲はほぼこれに収められており、ギタリスト必携の一枚です。

Last Nite

86年、Baked Potatoで行われたライブを収録したアルバム。フュージョンというよりもジャズ、ブルースに傾いたカールトンが聴けます。珍しくES-335ではなく、ストラトを使った音色もGOOD。

No Substitutions – Live In Osaka

スティーブ・ルカサーと大阪で共演した際のライブ盤。落ち着きつつも美麗なトーンとフレーズで曲を支えるカールトンのプレイは、歪んだ音で弾きまくるルカサーに比べ好対照で、職人的なものを感じさせます。

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Robben Ford(ロベン・フォード)

Robben Ford

ラリー・カールトンやリー・リトナーと並んで、ジャズ・フュージョン系ギタリストでは古参的存在で通っているロベン・フォード。かのマイルス・ディヴィスと一緒にやっていたこともあり、そのスタイルは独特のものを持っています。

ロベン・フォードのプレイスタイル

ラリー・カールトンと比較的よく似たスタイルではありますが、彼の場合はかなりブルース色が強くなっています。フュージョンの名盤として知られる1979年「The Inside Story(ギターに愛を)」でこそブルース色は抑え目で、ジャズ要素の強いフュージョン風のプレイスタイルでしたが、その10年後の1988年「Talk to Your Daughter」では、それとは作風ががらっと変わり、傾倒するブルースを前面に出した好盤となっています。

ブルース的感覚がそれまでのジャズ・スタイルと混ざり合った演奏は個性溢れるもので、特にメジャー・ペンタトニックとマイナー・ペンタトニックを混ぜ、その中にコンディミ(コンビネーションオブディミニッシュスケール)、オルタードなどを絶妙に配置する凝ったフレージングはなかなか真似出来ない名人芸であり、ブルース畑のプレイヤーからも人気のあるギタリストです。

おすすめアルバム

Yellowjacketes

Yellowjacketsは「ギターに愛を」のレコーディングがきっかけとなり結成されました。ロベンはこの1stアルバム制作後すぐに抜けてしまいますが、ブルースマンになる前のロックなロベン・フォードが聴ける一枚です。

Talk To Your Daughter

ここからブルースに本格的に回帰します。どこかのびのびとしつつ、しっかりツボを押さえた演奏もさすがの一言。

Larry Carlton With Special Guest Robben Ford

ラリー・カールトンと共演を果たした際のライブ盤。各々の個性が際立ち、聞き応えがある一枚です。

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Frank Gambale(フランク・ギャンバレ)

フランク・ギャンバレ

チック・コリア・エレクトリックバンドの参加で一躍人気となったスーパープレイヤー、フランク・ギャンバレ。ギンギンに歪んだ音でロック的なプレイをすることも多く、その超絶テクニックも相まってハードロック・ファンからも人気のあるギタリストです。

フランク・ギャンバレのプレイスタイル

チック・コリアのバンドに在籍している頃はどちらかというと楽曲が複雑というのもあり、奔放にギターソロを弾きまくるということの少なかった彼ですが、ソロ活動に移行してからはそのとんでもないテクニックを惜しげも無く出しています。連続スウィープでペンタトニックやコードトーンを正確に流麗に弾きまくるそのスタイルはまさに唯一無二ともいえる代物で、模倣出来る人が滅多に居ない境地と達しています。

また、テクニックだけがクローズアップされがちですが、純ジャズ的アプローチやクロマチックを使ったスケールアウトなども巧く、高度にバランスの取れたプレイヤーと言えます。

https://www.youtube.com/watch?v=iyjRlPg13wE

おすすめアルバム

Live

聴いていると疲れてくるほど弾きまくっている、ギタリストとしてのフランク・ギャンバレが詰まった一枚。これを聴くと彼のスタイルが一発でわかります。

Passages

楽曲にロック色が強く、ギタープレイにさまざまな要素が詰まっているアルバム。クリームのカバーなどもあり、聴いているといろいろと試しているのがわかります。

Vital Information

ドラマー、スティーブ・スミスのプロジェクト。ギターはほぼクリーントーンでジャズ的プレイに終始していますが、それが非常にかっこいい。何でも出来るプレイヤーぶりを見せつけてくれる一枚です。

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Scott Henderson(スコット・ヘンダーソン)

スコット・ヘンダーソン

スコット・ヘンダーソンはフランク・ギャンバレと同じく、チック・コリア・エレクトリックバンドに参加した経験を持ちます。ソロ活動を始めてからはその一環としてトライバル・テックを結成、フュージョンという枠にとらわれない、幅の広いギタリストです。

スコット・ヘンダーソンのプレイスタイル

あらゆるスタイルで完璧に弾ける超人の一人。活動の最初期チック・コリア〜トライバル・テックでは非常に難解な楽曲をたやすく弾きこなし、当時ジャズロック系ギタリストの最高峰だったアラン・ホールズワースになぞらえられています。さらに、ヴィクター・ウッテン、スティーブ・スミスとのセッションVTTでは、時にファンキーなアプローチを取り、1994年「Dog Party」以降のソロ活動ではロベン・フォード的なホワイトブルースのアルバムをコンスタントに発表。2010年以降に活動を始めたHBCでは、再びフュージョン路線に回帰するなど、変幻自在にスタイルを変えています。

そういう意味でつかみどころのないギタリストでもあるので、色々な時期の様々なスタイルを聴き分けていくのも面白いのではないでしょうか。

おすすめアルバム

Tribal Tech

ヘンダーソン&ゲイリー・ウィリス名義の実質的なトライバル・テック1stアルバム。異常なほどの緊張感がある強烈なフュージョンアルバムです。

Vital Tech Tones

ヴィクター・ウッテン(B)、スティーブ・スミス(Dr)と組んだトリオユニットの最初のアルバム。ウッテンのベースがほどよくファンキーな中に、独特のギターが絡んでいく逸品です。

Dog Party

ソロ名義のブルース回帰アルバムの第一弾。さすがというべきか、かなり尖ったブルースをやっています。

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Al Di Meola(アル・ディ・メオラ)

アル・ディ・メオラ

チック・コリアのリーダーバンド、リターン・トゥ・フォーエヴァーの黄金期を築いたメンバーの1人。とてつもないテクニックでその楽曲を支え、一躍話題となりました。

アル・ディ・メオラのプレイスタイル

正確な高速オルタネイトピッキングを駆使した速弾きがトレードマークとなっており、いわゆるスパニッシュ・スケールなどをメインとした独特の緊迫感あるソロがその真骨頂といえます。ソロはそういう意味でロック・ギタリストと親和性の高いものであり、ギターソロ自体に難解さはほぼありませんが、ピッキングの正確さと速さが生む躍動感と独特な雰囲気を持った楽曲が一体となり、独特の音世界が構築されています。その意味で、ギタリスト単体というより、楽曲も含めた音楽全体を楽しむべきギタリストとも言えるでしょう。

ソロ活動に移行して今に至るまで20枚以上もコンスタントにアルバムを制作していますが、中でも1977年発表の2ndソロ「Elegant Gypsy」はワールド音楽とジャズとの融合、フラメンコ界の巨匠パコ・デ・ルシアとの共演など、話題にも事欠かず、現在に至るまでフュージョンギター界の名盤とされています。その後もますます楽曲には磨きが掛かり、ギターシンセの使用、アルゼンチン・タンゴの世界に足を踏み入れるなど、音世界は広がりつづけています。

おすすめアルバム

The Romantic Warrior

後期リターン・トゥ・フォーエヴァーの代表作。二十歳そこそこのディメオラはすでに弾きまくっています。プログレッシブロックのような音世界で、独特の緊張感のみなぎるアルバムです。

Elegant Gypsy

スケールの速弾きとフュージョン音楽が本当の意味で融合している一枚。民族音楽的な要素も詰まって、楽曲の完成度も高い代表作です。

Tour De Force – Live

ライブというだけあってかなり奔放に演奏されており、ディメオラらしい派手なギタープレイが堪能できる一枚です。

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ライター:森多 健司

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