ギターはとても繊細な楽器です。ずっと弾かずにケースに入れっぱなしにしていたらボディが割れていた、ネックが反ってしまった、そんな経験はありませんか?
大切なギターを正しく保管する為に、きちんとした知識を身につけておくことはとても大切です。
今回はついやってしまいがちなギターをダメにしてしまう「悪い保存方法」について書いてみたいと思います。
ギターに弦を張っている状態では、ギターに何十キロという重さが加わっていると言われています。
一見、ギターに弦を張っている状態は大きな力が加わっているので、ギターに悪影響を与えるのではと思われがちです。
しかし、それは間違いなのです。
ギターのネックは弦の順反り方向への引っ張る力と逆反り方向へのトラスロッドの力で均衡が保たれています。
ですので、弦の引っ張る力が0の状態が続くと当然ギターは変形します。
ギターはある程度の弦の張力がかかることを前提に設計されているのです。
ですので、弦を全く張らない状態はなるべく作らないようにしましょう。
次に、「ギターの弦は緩めるべきなのか、緩めるべきではないのか」について見ていきたいと思います。
これはとても難しい問題で、楽器屋の店員やリペアマンの間でも意見が分かれています。
「弦を緩めないことでギターが反る」という意見もあれば、「ネックは弦をきちんとチューニングした状態がベストになるようにセッティングされているので緩める必要はない」という意見もあり、一概にはどちらが良いとは言えないようです。
ただし、弦を全く張らない状態というのは間違いなくギターにとって良くないのでやめましょう。
何日もギターを弾かない場合は、多少弦を緩めるのが良いともよく言われます。
弦を緩める場合は、ペグ一周分くらいが良いとされていますので、それも覚えておくと良いでしょう。
ギターにとって湿気は大敵です。湿度が高いと木材は膨張し、金属部分は錆びやすくなってしまいます。
しかし、乾燥もまたギターにとっては悪影響で、乾燥すると木材は収縮し、最悪の場合はボディにひび割れを起こしてしまう危険性があります。
ギターにとって最適の湿度は40〜50%と言われています。
乾燥剤はその名の通り、湿気を取り除いて乾燥させるものなので、乾燥剤を入れて放置すると先程書いたように木材が収縮し、割れてしまう危険性があります。
そこでオススメなのが「湿度調整剤」です。
FERNANDES Dr.DRY
「湿度調整剤」は湿度が高い時には湿気を吸収し、逆に乾燥が酷い時には水分を放出しケース内を常にギターにとって最適な湿度環境に保ってくれます。
「湿度調整剤」は楽器屋で購入することが出来ます。色んな種類が出回っていますが、
・フェルナンデス ドクタードライ (FERNANDES Dr.DRY)
などが価格的にも安くてオススメです。
「湿度調整剤」には使用期限がありますので、最低でも半年に一回は交換するようにしましょう。
スタンドや吊り下げで保管する場合、部屋の湿度を保つために、加湿器を使うと良いです。
アコースティックギターの場合は、ギターのサウンドホールにつける湿度保持キャップや、サウンドホール内に設置するチューブ型などの保湿器なども発売されているので、それを利用するのも良いと思います。
「ギターに出来るだけ触らない方がギターが劣化してしまうリスクも少ないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、これも大間違いです。
アコギもエレキも、最高のメンテナンスは弾いてあげることです。
ギターは弾き込むと良い音に育っていくという話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
勿論、全く触らずに保管していれば外的な傷が付いたりするといったことは起こりませんが、全く触らないのはギターにとって良くありません。
定期的に弾くことでギターの異常にもいち早く気付くことが出来るので、定期的に弾いてあげることを強くオススメします。
ギターは弾き込むと、弦の摩擦によってフレットが削れていきます。
カポタスト、通称カポを付けている状態はずっと押弦している状態になるので付けているだけでフレットの減りは加速します。
しかし、演奏においてカポを付けることは必要でしょうし、そこまで神経質になる必要はありません。
ただし、カポを付けっぱなしにして保管するのは当然ギターにとって良くありませんので絶対にやめましょう。
また、錆びた弦でギターを弾き続けると、弦がどんどん鋭利になっていき、弦でフレットが削れてしまい、フレットの消耗が激しくなるので注意が必要です。
弦もこまめに交換するようにしましょう。
ハードケースは頑丈な上に、湿度を一定に保ってくれるので保存の方法としてはオススメです。
ただし、ギターを入れる段階で中に湿度が溜まっている状態で入れてしまうと、ずっと湿度が高い状態にギターを晒し続けることになってしまいます。
先ほども書きましたが、湿度が上がるとギターのトップが膨らむなどの悪影響を与えます。
ですので、「ハードケースに取り敢えず入れておけば大丈夫」では決してありません。
出来れば、ハードケースもきちんと一度陰干しをして湿度を取り除いてからギターを入れ、湿度調整剤を入れて管理するようにしましょう。
ギターを壁に立てかけたりするのは絶対にやめましょう。壁に立てかけることでネックが反ることに直結はしませんが、誤って倒してネックが折れてしまうなどの事故が非常に多いです。
床にそのまま置いておくという人もたまにいますが、物を落としたり、ぶつけたりして破損させてしまう恐れがあるので地面に直置きも絶対にNGです。
シールドの挿しっぱなし、ストラップの付けっ放しもあまりオススメ出来ません。
ケースにしまうか、スタンドを使用するようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。意外と何気なくやってしまっていたこともあったのではないでしょうか。
楽器の演奏が上手な人は、やはり楽器をきちんと大切に出来る人です。
ギターが上手くなりたいのなら、きちんとギターの性質について知り、正しく保管し、メンテナンスをすることがとても大切です。
ギターはとてもデリケートな楽器ですので、正しい知識を身につけて、大切に扱ってあげてください。
ライター:kato
2020年よりフリーライターとして活動。 @kato1155ka
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