ストラトキャスターを極める!(トレモロアーム編)[記事公開日]2015年12月5日
[最終更新日]2021年09月13日
[ライター]澤田 卓也

フェンダー・ストラトキャスター

レスポール・モデルと並んで人気の高いギターといえばフェンダー・ストラトキャスター(以下、ストラトと略)でしょう。
数回に渡り、このストラトの調整方法について書いてみましょう。
まず最初はトレモロアームについて、です!

アーミングしてもチューニングが狂いにくくなるよう調整

標準的なストラトにはトレモロアームが付いています。
ところが、使うとチューニングが狂ってしまうので使わない、という人も多いのではないでしょうか。

トレモロはアームを動かして弦の張力を変えることで音の高さを変えています。
するといろんなところが上手く元に戻らなかったり、各弦のバランスが変わってしまったりでチューニングが狂ってしまいます。

これを解消したものがフロイドローズで有名なロック式のトレモロです。

フロイドローズ・オリジナル

ロック式のトレモロではナットとサドルの部分で弦をロックしてアームを動かしても、ナットからサドルまでの長さが変わらないので激しくアーミングしても決してチューニングが狂う事はありません。
ですが、最初からこのロック式のものが付いていたりするならいいのですが、後から変えようとするとけっこう大掛かりな改造が必要となります。
また、ロック式とそうではないものでは音質も変わってきます。
そのため通常のストラトに付いているようなシンクロナイズド・トレモロのままでアーミングしてもチューニングが狂わなくするにはそれなりの調整が不可欠になります。

1. プレートを止めているネジは2点式に

ストラトのトレモロのプレート部分はボディに6つのネジで止められています。
これを全部締めてしまうと接点が多くなり、その分アーミングする前の状態に戻りづらくなります。
なので6つのうち、両端の2つだけでプレートを支えるようにします。
ネジを2点式に

この2つのネジをアームで一番弦を緩めた状態にして両方を同じくらいに締めてください。
この部分が動くことになるのであまりきつくしないように注意です。
軽くネジ止めくらいの気持ちでいてください。

アームダウンした様子

2. スプリングの強さでアームの硬さが決まる

ボディのウラを見てください。
カバーがしてある場合は外します。

ボディの裏カバーを外した様子

スプリングが見えると思いますが、何本ありますか?
通常は5本付いていると思います。
このギターも5本ですね。
5本だとアーミングする時にかなり力が必要になります。
アーミングを多用する人は3本の人が多いようです。
3本で両側を斜めにする人もいますね。

そのままで3本でもかまいませんが、いくつかのメーカーから少し柔らかいスプリングが出ています。
私はRaw Vintageのものを使っています。

このスプリングはとても柔らかく、5本張っても通常のもの3本と同じくらいの張力しかありません。
柔らかくても5本使うとアームを使った時に戻る力が安定するようです。

またこのRaw Vintageのスプリングは鳴り方も綺麗な響きになります。
弦を弾くと実はこのスプリングも振動して鳴ります。
スプリングの違いで音質が変化するという事です。

トレモロスプリングを交換してみる

3. 裏のスプリングを引っ掛けているネジは両側同じくらいにする

スプリングは金属のプレートに引っ掛けてあるのが見えると思います。
アームを使うとこのスプリングが伸びたり縮んだりして弦の張力を変えます。
スプリングが引っ掛けてあるプレートが斜めになっていると動かした時に1弦側と6弦側とで違う力がかかります。
そのため、このプレートがボディと平行になるようにネジを調節してください。

プレートがボディと平行になるように

また、このネジの締め方でアームの利き方が変わります。
一杯まで締めるとアームアップ(音を高くする)ができなくなります。
アームはダウンだけで使うとチューニングが狂いやすいです。
アップもできるようにしておいてダウンした後は少しアップするようにするとチューニングが元に戻りやすいようです。
好みもあるのでどれがいいというわけにはいきませんが、私はアームアップした時に6弦が全音半くらいあがるようにしています。

4. サドルの高さは両側を揃える

ストラトのサドルは弦1本に付き1つのサドルです。
このサドルは2本のイモネジで高さを変えることができます。

この2つのイモネジの高さが違うとアーミングした時に弦が少しづれてしまいます。
2つのイモネジは高さを同じにしてボデイと平行になるようにしてください。

サドルの高さ:両側を揃える

5. ナットにはグリスを

摩擦の多いナットの溝部分にはグリスを塗っておきましょう。
私はナットソースというものを使っています。

ストリングガイドに塗っておいても良いと思います。

注射器のような形状になっているので塗りやすいです。
これを塗っておくとアーミングした時のチューニングがぐっと安定します。
アームのないギターに使ってもチューニングの狂いが減るのでおすすめです。

アームをより使いやすくする

ガタつく場合には?

アームはがたがたしていませんか?
これはアームを外してネジ穴に小さなスプリングを入れると収まります。
ギターについている場合が多いですが、もしなければ楽器店で購入しましょう!

アームを変えてみる

私はアームもステンレスのものを使っています。(通常はスティール製)
磁石を付けてみてつかなければステンレスです。
アームは使っていると折れてしまう場合がありますが、ステンレスだと折れづらいと思います。
またこれは通常のものと音も変わります。
音に張りが出るようです。

裏のカバーの有る無しで音が変わる?

私も弦の交換の時に面倒になるのでカバーは外したままだったんですが、付けてみると実は鳴り方が変わるようです。
付けたほうが私は好みでした。


いかがでしたか?
実際にやってみて今まで使わなかったアームが使えるようになるとストラトがいっそう好きになれると思います。
ぜひ試してみてください!

ライター:澤田 卓也

ミュージックカレッジ・メーザーハウス講師。 澤田卓也ギタースクール主宰。 著書として「ギターコード・パーフェクトマスター」「アコースティックギター・パーフェクトマスター」(共に日本文藝社刊)。 ジャズ、ロック、ブルース、ポップス等ギターミュージックは全部好きです! 自分のバンドではジャズ・フュージョン系の音楽を演奏しています。

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