モードについて その2[記事公開日]2016年9月18日
[最終更新日]2016年09月19日
[ライター]澤田 卓也

モードについての第2回目です。
今回はさらにモードについて深く見ていきましょう!

◎ 各モードにおける特性音

各モードの特徴を表す音を特性音といいます。
特性音を知るためにまずそれぞれのモードを、スケール上の第3音が長3度か短3度か?によって、メジャー系モードとマイナー系モードに分類します。

メジャー系モード
① アイオニアン・モード
④ リディアン・モード
⑤ ミクソリディアン・モード

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マイナー系モード
② ドリアン・モード
③ フリージアン・モード
⑥ エオリアン・モード
⑦ ロクリアン・モード

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特性音はこれらを
ジャー系モード → メジャー・スケールとの違いの音

マイナー系モード → ナチュラル・マイナー・スケールとの違いの音

になります。

メジャー・スケールと並びが同じアイオニアン・モード、ナチュラル・マイナー・スケールと同じエオリアン・モードについては後で説明します。

① アイオニアン・モード → 特性音 第4音

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アイオニアン・モードはメジャー・スケールと同じ並びになるので違いはないのですが、モードの特徴を表すおととなると一番よく似たリディアン・モードとの違いとして第4音を特性音とします。

通常のメジャー・キーとの違いがわかりづらいですが、上で説明したようにドミナントにあたるコードが出て来ないもの、と考えてください。

② ドリアン・モード → 特性音 第6音

マイナー系モードであるドリアン・モードとナチュラル・マイナー・スケールとの違いは第6音になります。

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長6度の音はナチュラル・マイナー・スケール上の第6音(短6度)と比べると明るい感じがします。
少しファンキーな感じのするモードです。

③ フリージアン・モード → 特性音 第2音

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第2音が短2度となるフリージアン・モードは少しスパニッシュな雰囲気になりますね。

④ リディアン・モード → 特性音 第4音

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リディアン・モードは各モードの中で一番明るい響きのするモードです。

⑤ ミクソリディアン・モード → 特性音 第7音

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ミクソリディアン・モードはロックっぽい雰囲気のするモードです。

⑥ エオリアン・モード → 特性音 第6音

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ナチュラル・マイナー・スケールと同じ並びになるエオリアン・モードはドリアン・モードとの違いの音である第6音を特性音としています。
ドリアン・モードに比べるとマイナー感が強いですね。
これは短6度の音は短3度の次に暗さを持つ音であるためです。

通常のマイナー・キーの進行ではほとんどナチュラル・マイナー・スケールだけでなく、ハーモニック・マイナーやメロディック・マイナーと組み合わせて使われます。
マイナー・キーに出てくるドミナントのⅤ7は強い終止を作ります。

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このⅤ7はハーモニック・マイナー・スケール上に出来るコードです。

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このコードのためにハーモニック・マイナーというスケールがある、といっても過言ではありません。エオリアン・モードでは他のマイナー・スケールになることはなく、当然Ⅴ7も使用されません。

⑦ ロクリアン・モード → 特性音 第2音・第5音

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ロクリアン・モードは形としてはありますが一番不安定な響きのするモードであるため、ほとんど使われません。
ジャズなどで時折使われる程度と考えてください。

◎ 各モード上にできるコードとその分類

それぞれのモードはメジャー・スケールから派生したモードなので、各モード上にできるコードは内蔵メジャー・スケール上のダイアトニック・コードと同じもの、となります。

モードでは混同してしまうため、主和音という言い方はしません。
軸音上にできるモードの中心となるコードを軸和音と言います。

各モードの特徴を表すコードは特性音を含んでいるコードになりますが、第7音が特性音となると特性音がはっきりしないため、ルート、3度音、5度音のいづれかに特性音を持つコードが特徴を表すコードになります。
その中で、マイナー・セブンス・フラットファイブ・コードはコードの響きが不安定になるため、特徴を表すコードに含めません。

よって
・ルート、3度音、5度音のいづれかに特性音を含む
・m7(b5)を除く
コードがモードの特徴を表すコード、となります。
このコードはⅠ類コードと呼びます。

軸和音、Ⅰ類コード以外のコードは、モードでは使用頻度の低いコードです。
これらをⅡ類コードと言います。

モードでは7度音を含まないトライアドも多用されます。
ここでは7度音を含んだコードのみ説明しています。
ご了承ください。

軸和音およびⅠ類の表記がないものはⅡ類コードになります。

① アイオニアン・モード

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※セブンス・コードはそのままでも使われますが、コードトーンにトライトーンを含むので7sus4にしてトライトーンができないようにすることもあります。
同じ理由でm7(b5)は5度音を抜いた形で使われたりもします。

② ドリアン・モード

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③ フリージアン・モード

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④ リディアン・モード

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⑤ ミクソリディアン・モード

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⑥ エオリアン・モード

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⑦ ロクリアン・モード

ロクリアン・モードではほとんど明確なコードという形では使われません。


次回はモードにおけるコード進行やモーダル・インターチェンジについて、です。

ライター:澤田 卓也

ミュージックカレッジ・メーザーハウス講師。 澤田卓也ギタースクール主宰。 著書として「ギターコード・パーフェクトマスター」「アコースティックギター・パーフェクトマスター」(共に日本文藝社刊)。 ジャズ、ロック、ブルース、ポップス等ギターミュージックは全部好きです! 自分のバンドではジャズ・フュージョン系の音楽を演奏しています。

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