今回は数あるマーチン弦の中でも最もオーソドックスなモデル「Martin M140 80/20 BRONZE Light」の使用レビューを書いていきたいと思います。
前回は「Martin MA140 80/20 BRONZE Light」のレビューを書いたので、「MA140」と「M140」の違いに焦点を当てて今回は書いていきたいと思います。
定番のマーチンの弦を買いに楽器屋さんに行くと、沢山の種類の弦が販売されています。
マーチンのLightゲージで「M140」と「MA140」の2つが並んでいますが、これは何が違うのでしょうか。
簡単に説明すると、ずっと昔からある一番スタンダードなマーチン弦が「M140」(画像左)で、元々あったマーチン弦を「AUTHENTIC ACUSTIC」という新シリーズでリニューアルしたものが「MA140」(画像右)になります。
旧パッケージ 新パッケージ
こちらのMA140は旧タイプのM140とSP弦を合わせたものなのです。
MA140のパッケージに小さく「SP ・SUPERIOR PERFOMANCE」の記載があるのはその為ですね。
SP弦とは、製造過程で生まれるムラを極限まで減らしていて、通常の弦よりもサスティーンが非常に綺麗で、耐久性も高くなるよう作られています。
つまり、王道のマーチン弦「M140」にSP弦の煌びやかさや耐久性を混ぜ合わせた新モデルが「MA140」ということになります。
MA140の使用レビューは別の記事で詳しく書いていますので、よろしければこちらも併せてお読み下さい。
▶︎アコースティックギター弦「Martin MA140 80/20 BRONZE Light」使用レビュー
今回はこの最もスタンダードなモデル「Martin M140 80/20 BRONZE Light」についてレビューを書いていきたいと思います。
ゲージはLightゲージで、弦の太さは
1弦:012 INCH/0.30 MM
2弦:016 INCH/0.41 MM
3弦:025 INCH/0.64 MM
4弦:032 INCH/0.81 MM
5弦:042 INCH/1.07 MM
6弦:054 INCH/1.37 MM
となっています。
これはMA140も全く同じです。
開封すると1〜6弦まで個別で袋に入っています。
6弦 1弦
今回もアコギの定番、マーチンD28にこちらの弦を張ってみました。
弦の見た目は「MA140」と「M140」は殆ど同じで、正直見分けが付きません。
「M140」を買おうとしていたのに、「MA140」を買って知らずに使っていたということが普通に起こりそうです。
「Martin M140 80/20 BRONZE Light」はMA140に比べると、やはり音が少し大人しい印象です。
SP弦を合わせたというMA140の方がサスティーンも豊かで、音が煌びやか。
M140は可もなく不可もなくといったサウンドではありますが、ストロークにもアルペジオにもとても使いやすいです。
張りたての状態で既に、MA140よりも全体的に音が大人しいです。
派手な音が好みの方はやはりMA140の方が好きかもしれません。
しばらく弾き込んでいくと、M140もMA140も音の煌びやかさは徐々に失われていきますが、M140の方が煌びやかさが失われるのは少し早い印象でしたが、正直そこまで大きな差はないと思います。
マーチンD28は元々鳴りの良いギターなので、MA140だと少しサスティーンがうるさすぎる気がしました。
個人的にはM140を張っている時の方が扱いやすいです。
指引きのアルペジオなどは、MA140くらいサスティーンが豊かだと気持ち良いですが、ストロークではちょっとシャリシャリしすぎな気もします。
その点、M140はMA140ほどの派手さはないですが、かなりバランスが良い音です。
M140とMA140どちらを買うかで迷った場合、どのような音が欲しいかで決めるのが良いでしょう。
M140…全てのマーチン弦の標準となる音。高音から低音までとてもバランスが良い
MA140…M140に煌びやかさ、明るさをプラスした感じ。ストロークでは少しシャリシャリしたサウンド
MA140はM140耐久性をよりアップさせているとのことだったので、実際、どれほど弦の寿命が違うか実験してみました。
まずM140をマーチンD28に張り、レコーディングやライブ、練習などを行ったところ、ライブ2回(リハを含み1回2~3時間程度)とレコーディング2回(1回あたり2~3時間)を使ったくらいで、弦に劣化が見られ始めました。
弦を張ってから25~6日で3弦が少し剥がれてきていました。
アコギで一番最初に劣化が見られるのは3弦ですし、一番切れやすいのも3弦です。
「ギターが上手い人は低音もしっかり鳴らすので5,6弦を切る」なんて話も耳にしますが、ストロークした時に一番当たるのはどう考えても3弦ですし、芯線の太さで比較すると、実は1弦よりも3弦の方が細いのです。
これに対して、MA140はどれくらい長持ちしたのかというと、実際のところ殆ど変わりありませんでした。
MA140は弦を張ってから約2週間。3時間程度弾くことが4~5回あったところで、弦に少し劣化が見られ始めました。
どちらも15時間~20時間弾くと、3弦に劣化が見られました。
ストロークで弾いている分には殆ど支障ないですが、アルペジオなどの単音の場合は、3弦の音がポジションによってはビビります。
弾く頻度にもよりますが、どちらも1ヶ月に1回はきちんと弦を交換した方が良さそうです。
条件をきちんと揃えた正確な実験では決してありませんが、少なくともMA140の方がM140よりも圧倒的に長持ちするということはないことがわかりました。
MA140の方がM140よりやや値段も高いので、もう少しMA140には長持ちして欲しかったのですが、M140と耐久性は大差ないようです。
そう考えると、どちらを選ぶかはもう音の好みでしょう。
M140…マーチン弦のスタンダード。音のバランスが良く使いやすい。値段も一番安い。コスパで選ぶなら間違いなくこれ。
MA140…M140にSP弦を合わせたもの。M140に比べると明るい音色でサスティーンが豊か。派手な音が好きならこっち。
まずは一番スタンダードなM140を使ってみて、物足りなさを感じたらMA140にすると良いと思います。
M140よりMA140の方が好みの方は、煌びやかな音が好きな方だと思うので、フォスファーブロンズの弦を選んでみるのもオススメです。(ブロンズ弦よりフォスファーブロンズの方が音が煌びやかです)
ストロークを殆どしない、指のアルペジオで弾くことが多いという方はMA140の方が合うと思います。
耐久性はどちらも大差ないので、「とにかく長持ちする弦を選びたい」という方にはどちらもオススメ出来ません。
個人的にM140は初心者からプロまで、ライブ、レコーディング、あらゆる用途に対応できる素晴らしい弦だと思います。
コスパも良いですし、変な癖もなく、良いギターに張ればそれだけで即戦力の音が出せます。
初心者の方は特にこの弦からスタートして、自分の好みの弦を見つけてみてはいかがでしょうか。
ライター:kato
2020年よりフリーライターとして活動。 @kato1155ka
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