幽玄なる響き、オープン・ハイコード特集[記事公開日]2016年4月4日
[最終更新日]2016年05月3日
[ライター]森多 健司

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開放弦の混じった、基本的なフォームをオープンコード、セーハを使ったハイポジションのコードをバレーコード、あるいはハイコードと呼びますが、それらを混ぜ合わせた、「ハイポジションのフォームに開放弦を混ぜた形」を通称してオープンハイコードと呼ぶことがあります。弦ごとの音の高低が逆転したりすることもあり、独特の美しい響きが特徴ですが、今回はこの中でも使いやすいものをいくつか御紹介します。

便宜的にテンション名の入った難しい正式名で表記していますが、この名前を覚える必要はなく、○○の代わりに使える、という程度の認識で十分だと思います。

F#m7(11)


F#m7(11):クリックすると音が出ます

名前は難しいですが、F#m7の代わりとして使うことで、手軽に透明感ある美しい響きが得られます。2弦開放が11thになりますので、この部分が響きのポイント。5弦は鳴らしても不協和音にはなりませんが、濁りやすいので、ミュートしておいた方が無難です。

<アレンジ例>

G → F#m → Bm → Bm/E

 ↓

G → F#m(11) → Bm → Bm/E

F#7(11)


F#7(11):クリックすると音が出ます

上のF#m(11)の親戚のような雰囲気です。こちらは7thコードなので、やや明るい雰囲気がします。フォーム的には普通のF#の1,2弦を開けるだけ。F#7の部分ではどこにも使えるというわけでもなく、II7やV7に限られます。響きは美しいのですが、F#7をドミナント7thとして使おうとするとキーがBになり、やや使いにくいのが難点。

<アレンジ例>

B → C#m → F#7 → G#m

 ↓

B → C#m → F#7(11) → G#m

D(9,11) または Dadd9(11)


D(9,11) または Dadd9(11)
クリックすると音が出ます

オープンコードのCをずらしただけの形。60年代にポール・サイモンが非常に多く使用して、アコギの世界でも長らく親しまれているフォームです。D7の代わりとして幅広く使えますが、形がいっしょというのもあり、Cとのセットで登場することが多いですね。

<アレンジ例>

C → D7 → Em7 → A7

 ↓

C → D(9,11) → Em7 → A7

Em7(9)


Em7(9):クリックすると音が出ます

上のD(9,11)とほとんど同じ。ルート音を変えただけでほぼ同じフォームです。コーラスとディレイを掛けてアルペジオすると、まさに幽玄なる響きが得られます。1弦は開放でも良いですし、5fを押さえてもかっこいい響きがします。

<アレンジ例>

C → D(9,11) → Em7 → A7

 ↓

C → D(9,11) → Em7(9) → A7

Aadd9


Aadd9:クリックすると音が出ます

Aadd9と聞くと、3,4弦の2fを押さえるものを真っ先に想像しますが、こちらは5fより高いところを押さえます。中指、薬指がおすすめ。3弦6fが長3度の音になり、オープンコードのAadd9と違い、明るい響きが残されています。3弦6fを5fにすると響きが暗くなり、Amadd9が出来上がります。応用範囲の広いフォームです。

<アレンジ例>

E → F#m(11) → A → E

 ↓

E → F#m(11) → Aadd9 → E

E


E:クリックすると音が出ます

一見するとパワーコードのEに見えますが、実は1,2弦が開放になっており、ミとシの2音だけが2重に鳴るという面白いコード。構成音はパワーコードと同じですが、パワーコードとは似ても似つかぬ倍音豊かな響きになります。ポール・ギルバートが「Green-tinted Sixties Mind」で使用しています。

<アレンジ例>

E → F#m(11) → Aadd9 → E

 ↓

E → F#m(11) → Aadd9 → E

まとめ

歪んだ音との相性は今ひとつですが、クリーントーンでのアルペジオなどには威力を発揮するものばかりですし、言うまでもなくアコギのストロークには最適です。オリジナル曲などのアレンジや、弾き語り系の伴奏など、使えそうなところには積極的に狙っていってはいかがでしょうか。自分の伴奏パターンの中にこのようなコードが自然と使えるようになっていけば、コードワークの幅がぐんと広がりますよ。

開放弦を使った響きがキレイなコード一覧

ライター:森多 健司

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