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【名古屋ギターフェスタ2018より】新しいエレキギターの向かう先は2018年7月7日 , ライター:小林 健悟

名古屋ギターフェスタ2018

二日間にわたり開催された展示即売会「名古屋ギターフェスタ2018」に行ってきました。場内はギターを見に来た人と買いに来た人で大いに賑わっていましたが、今回はここで注目した3機種をご紹介します。

YAMAHA REVSTAR RS320

YAMAHA REVSTAR RS320

メーカーとして出店していたYAMAHAはエレキギターやアコギ、エフェクターなど多数展示していましたが、その中でもこの「REVSTAR(レブスター)」に注目しました。2017年にはグッドデザイン賞、2018年にはドイツデザイン賞(German Design Award)など権威ある賞を複数受けています。

YAMAHA村上雄太さん取材に応じてくれた村上さん

取材に応じてくださったのは、株式会社ヤマハミュージックジャパンLM営業部マーケティング課主任、村上雄太さんです。

村上:REVSTARシリーズは、プロのアーティストや業界に精通した専門家、ギター愛好家など第三者の意見やアイデアなどを取り入れながら開発・設計されました。ヤマハ エレキギターの代表的モデルである「SGシリーズ」の面影を残しつつ、特に1960年代にロンドンで端を発した「Cafe Racer(カフェレーサー)」というバイクカルチャーにインスピレーションを受けたことで、カスタムバイクを連想させる個性的なデザインになっています。

YAMAHAは現在、国内の工場の他に、アコギは中国、エレキはインドネシアに自社工場を構えており、開発から生産まで一貫して自社で行なっています。「YAMAHAは自分のところで責任を持ってしっかり作っています」という態勢によって、年々厳しさを増していくユーザーさまの目にお応えしようとしているんです。

YAMAHA REVSTAR RS320:ネック 室内等の反射光が美しくまっすぐ見えるのは、きちんと仕上げられている証拠です。一番安いグレードですが、決して安っぽくありません。

村上:REVSTARシリーズのピックアップはモデルごとにいろいろですが、すべてYAMAHAのオリジナルです。ハイポジションの演奏性を求めるあまり大胆にネックヒールをカットしてしまうと、低音の迫力が損なわれてしまいます。レブスターのネックヒールは演奏性と音質の両立を目指しており、見た目に存在感はあっても演奏の邪魔になりにくく、またしっかりとした音が出るようになっています。

RS320のネックヒール。ここの厚みがちゃんと残っているのに、ハイポジションの演奏性は群を抜いて優れています。ちょっと信じられないくらい。

村上:RS320はフラットなボディトップ&バック、ネックはやや薄め、ピックアップはセラミックマグネットでパワーのあるパキっという音がする、というギターになっています。セラミックは歪ませても芯が残りますから、ロックに最適だと考えています。上位グレードのものはすべて、塗りつぶしカラーのものでもトップにメイプルが貼ってありますが、このRS320はマホガニー(もしくはナトー)ボディです。

試奏レポート

YAMAHA REVSTAR RS320:試奏

今回は敢えて、もっとも求めやすい価格のモデルに注目しました。オーバードライブ・ディストーションでしっかり歪ませたい人にとって、特に気持ちのいいサウンドです。しかしこのグレードでも、膝に置いたときに何の苦も無く水平になる、ボディバランスの良さがすごいですね! とても弾きやすく感じます。22フレットまで余裕で手が届きますし、売値で4万円程度というこの価格でセットネックというのも、YAMAHAの底力を感じます。

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Strandberg Boden 7 Original Trem

Strandberg Boden 7 Original Trem

株式会社キョーリツコーポレーションは、Gibsonstrandbergを中心に多数展示。その中で個人的に気になっていた「トレモロ付きストランドバーグ」を試奏させてもらいました。説明して下さるのは、販売企画部係長、齋藤潤さんです。

齋藤:「Boden Originalシリーズは、アッシュホロウボディ、フレイムメイプルトップ、多層ネックを採用した前作、「Boden OS」を継承したモデルです。生産はインドネシア工場ですが、パーツはどれも日本製ストランドバーグやスウェーデンカスタムと同一のものが使用されています。

Strandberg Boden 7 Original Trem:アーム

齋藤:アームは挿すだけでOKです。ネジの溝が内側に刻まれており、回すと抜けなくなります。

Strandberg Boden 7 Original Trem:アームのトルク

齋藤:アームのトルクはイモネジで調整可能です。フローティング設定が前提で、ベタ付けセッティングには不向きとなっています。

Strandberg Boden 7 Original Trem:トレモロユニット

齋藤:一見独特のデザインを採用しているトレモロユニットですが、基本はスタンダードな2点支持です。スタッドの高さ調節のために穴が開けられており、同じブリッジプレートで左用にもできます。

両方のコントロールノブが標準の状態と、
両ノブを引き上げた状態。

齋藤:このモデルでは、最近注目を集めているFishman社製の「Fluence(フルーエンス)」が採用されています。このピックアップは「Voice」というコンセプトのもと、2つの音色を持っており、さらにコイルタップができます。トーンポットで両ハムバッカーのVoiceの1と2を切り替え、ボリュームポットで両ハムバッカーをコイルタップします。

試奏レポート

普通の弦長を持った7弦ギターだとは信じられないくらい、とても軽いギターです。人間工学に基づいたというだけあって、ボディバランスが大変良好で、抱えた時の安定感は安心をくれます。このブランド最大級の特徴である「EndurNeck™」は緩やかな台形型アシンメトリー形状のネックシェイプとなっており、とても新鮮な握り心地で、親指をネック裏に回した時の収まりの良さには感服させられます。

アームアップはビブラート程度ですが、アームダウンは7弦から1弦まで、大変大きな落差を生むことができます。

Fluenceピックアップは、アクティブだけあってノイズレスかつクリアなサウンドです。Voice2にした時に音圧が下がるイメージ、コイルタップした時にさらに全体的な出力が下がるイメージです。それぞれのサウンドキャラクターを切り替えるだけでなく、スイッチによる段階的なゲインコントロールにも使用できると感じました。

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RYOGA BUMBLE

RYOGA BUMBLE

島村楽器が新たにプロデュースを始めた「RYOGA(リョウガ)」。2017年8月にデビューしたばかりの新しいギター/ベースブランドですが、アーティストとのコラボで認知度を上げてきています。今回の名古屋ギターフェスタでは、展示の中心としてこのRYOGAブランドのギターが豊富に並べられていました。「RYOGAの特徴は、その弾きやすさとキレとスピード感のある音」とのこと。ギター開発を担当する商品開発事業部商品開発課主査、吉沢実さんにお話を伺いました。

RYOGA BUMBLE:ボディ 反射光が仕上げの美しさを物語る。

吉沢:RYOGAのギターは「弾きやすいギターとは?」をゼロベースから考えて設計したオリジナルモデルです。その中でも「究極の軽さ」を追求したのが「BUMBLE」で、ボディはメイプルを中央に、両サイドに「アユース」を配しています。メイプルで音の芯を作り、アユースで拡散させるこれまでにない発想のモデル。その音は、現代のPOP/ROCKシーンに求められているサウンドそのもので、エフェクターに頼らなくてもキレのあるサウンドが得られます。

RYOGA BUMBLE:ネックジョイント 非常に滑らかなハイポジション。ずっと撫でていたい。

吉沢:一見スルーネックに見えますが実はセットネックです。ネックは十分に強度が得られるハードメイプルの3プライ構造。一方でボディは表がフレイムのソフトメイプル、裏にハードメイプルという縦の二層構造にしています。これをやりたかったがゆえに、セットネック仕様なんです。いつもこんなことばかり考えています(笑。

RYOGA BUMBLE:ボトムエンド センターのメイプルは、何と二層構造。

滑りやすいナイロンストラップで、このバランス。このスタッフさんは社内のプレゼンでも「ヘッドが落ちない写真」のモデルを務めたのだとか。

吉沢:今後の主力として考えているモデルはこの「SKATER」です。大変「音が速い」ギターなので、コード弾きを主とした現代のPOP/ROCKシーンに最適のサウンドです。パット見で「絶対ヘッド落ちするだろう」と思わせるデザインですが、実はバランスがしっかりとってあります。

BUMBLE試奏レポート

strandbergを触ってきた後だというのに、それでも軽いと思わせてくれるギターでした。ストラップで吊ると水平になるバランスは、テレキャスターを思わせます。バンドアンサンブルで邪魔になりそうな低域がきれいに整理されていて、しかし太さを感じさせる、また倍音で聞かせる感じではなく、キュッと芯のある感じの、現代的なサウンドです。

ボディ構造には驚かされました。このような新しい発想のギターにはバンバン普及してほしいです。

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3本試奏しての所感

今回の3本はどれもいわゆる現代的なオリジナルモデルで、ストラトキャスターレスポールといったヴィンテージ・スタイルから距離を置いたギターです。依然としてヴィンテージ・スタイルやその延長のギターに人気が集中する現代の状況下でも、メーカー各社は新しい価値を提案していく必要があります。その中で、ある程度の経験がなければ理解できない「音」や「機能」だけでなく、経験ゼロでも感じることのできる「バランスの良さ」は、これからの新しいギターが押さえておかなければならない重要なポイントなのだと感じました。

ライター:小林 健悟

エレキギター博士」 「アコースティックギター博士」で記事を書いています。 ギター教室もやっておりますので、興味のある方はぜひどうぞ☆ The Guitar Road 郡上八幡教室のページ  松栄堂楽器ミュージックスクエア岐南のページ 春日井音楽院のページ - ギター教室navi