「CDをリリースしたい!」という思いは、音楽活動を始めた人であれば誰しも一度は抱くものではないでしょうか。
昨今は「CDが売れない時代」と言われていますが、アマチュア、インディーズでは未だに自分たちの音楽を届けるメインのツールはやはりCDのままです。
今回はCDをどうやって作るべきか、そもそもそのCDは本当に作るべきなのか、具体的に書いていきたいと思います。
まずはCDRとプレスCDの違いについて。
CDRは家電量販店やコンビニでも売っていますね。
買ってきたCDRに作った自身の音源を焼けば自主制作CDの完成です。
CDRでCDを作る場合はたったこれだけなのです。
アマチュアやインデーズのライブ会場で無料配布されていたり、安い値段で販売されているデモ音源などは殆どがCDRです。
それに対してプレスCDは、専門業者に音源を渡してプレスされたものを言います。
プレスにかかる費用は業者によってまちまちですが、ジャケットや歌詞カード、帯、包装など全て込み込みで500枚〜1000枚プレスで10万〜15万程度が相場です。
500枚を超えると、700枚も1000枚も値段があまり変わらなくなってきますので、沢山作った方が得ではあります。
ディスクのみ(バルク)の場合は500枚プレス(盤面印刷込み)で2万円くらいからやってくれる業者もあります。
当然、コンビニで買ってきたCDRに自宅のパソコンで焼いただけのCDと、業者に頼んでプレスしたものとでは品質に差はあります。
耐久性についてはCDR自体の寿命が数年〜数十年、プレスしたCDの場合、壊したり傷付けたりしなければ半永久的に再生が可能することがです。
しかしながら、今の時代、多くの場合はパソコンに取り入れてスマホやiPodに入れて聴く人が殆どですので、CDRとプレスCDの耐久性に関してはそこまで気にしなくてもいいでしょう。
CDRとプレスCDの一番大きな違いは、CDRは原則としてお店で取り扱うことが出来ないという点です。
タワーレコードやTSUTAYAなどの大手CDショップでCDを販売する場合、CDRでは取り扱うことが出来ません。
CDRの場合、機器によって再生出来なかったといったトラブルも少なからず起こり得ます。
お店としてはクレームになる可能性のある商品は避けたいので、CDRは基本的には取り扱い不可となっています。
所謂、「流通」とは違いますが、個人で営んでいるようなライブカフェやライブが出来るレストランは、店長さんに頼めば店頭で販売してくれるところも多いです。こういった個人で営んでいるお店の場合はCDRで作ったCDでも置かせてもらえたりします。
今では家庭用のプリンターでCDの盤面印刷をすることも出来ますし、歌詞カードを作る専用のキットも販売されています。
業者に頼まなくとも十分立派な自主制作CDを作ることが出来ます。
ですので、目的に応じてCDRで作るのか、CDをプレスするのか決めるといいでしょう。
CDを作ろうとしている方へ、根本的な話になりますが、そのCDは本当に作る必要があるのでしょうか。
CDを作る意味を今一度きちんと考えることはとても重要です。
CDを作る動機は様々なものが考えられますが、ここからは「CDを作るべきかどうか」を具体的に考えていきたいと思います。
CDを作る目的が「沢山の人に音楽を届けたい」ならば、一度CDを作ることを考え直してもいいかもしれません。
CDというものは再生する機器がなくては聴くことが出来ません。
買う→開封する→再生機器にセットする→CDを聴く
という工程を踏まなくてはいけないというのは実は結構な手間なのです。
あなたの音楽を愛して止まないリスナーならば、そのくらいの手間は惜しまないでしょうが沢山の人に、まだ自分の音楽を知らないリスナーに向けて音楽を発信する場合、CDという媒体はあまり親切ではありません。
今の時代CDプレイヤーを持っていないという人も多いのではないでしょうか。車で聞く場合でもiPodやスマホを繋いだり、Bluetoothで音楽をかけるタイプの車が増えています。
「沢山の人に音楽を届けたい」
がCDを作る動機ならば、YouTubeにアップしたり、TwitterやInstagramに動画として投稿する方が、1クリックで再生することが出来ますので、新規の方に聴いてもらえる確率はずっと高いはずです。
ストリーミングサービスなどで配信するのもいいでしょう。
CDを作る目的が「売ってお金を稼ぐこと」である場合、CDを作る意味は大いにあると思います。
CDの単価はやはり、配信で1曲ダウンロードされる値段と比べて断然高いです。
あなたがCDをリリースした際に買ってくれる固定のファンが一定数いる場合、お金を稼ぐ手段としてCDを出すことはとても有効です。
「お金を稼ぐ」ことが目的であるなら、流通をかけてCDショップで取り扱う必要があるかはよく考えてからにしましょう。
純粋に「お金を稼ぐ」ことが目的であるならば、お客さんに直接手売りした方が売り上げは確実にいいはずです。
ちなみにCDショップで取り扱う「流通をかける」ということは、実は誰でもすることが出来ます。
CDプレス費用に+1〜2万円で流通してくれる業者もあります。
ただし、流通をかければ確かにCDショップでCDを買うことが出来る様にはなるのですが、全く無名のアーティストの場合、店頭に置かれることすらないです。
基本、取り寄せといった形になります。
置かれたとしても、一枚だけ棚にポツンと探さないと見つからないようなところにあるといった感じです。
CDショップで販売してもらうというと、店頭で大きく展開している姿をイメージすると思いますが、インディーズでお店で展開してもらうのは決して簡単ではありません。
展開してもらう為には、そのお店で購入した際の予約特典を付けるなどして、予約の数を集めます。
「お!このアーティスト売れるかも」
そうCDショップに思わせることが出来なければ展開してもらえることはありません。
CDショップに足繁く通って挨拶してコミュニケーションを取ることも大切です。
地道な挨拶回りを繰り返して、予約特典もつけて、CDをお店で展開出来たとしても、新規の方に買って貰えるとは限りません。
あなたが見たこともないアーティストのCDがお店で展開されていたとしても、おそらくスルーすると思います。
一応、CDショップで展開されるというのはインディーズでは箔がつくのですが、新規のファン獲得に繋がるかというと、正直そこはあまり期待出来ません。
全国にファンがいて、全国のCDショップでの取り寄せがある程度期待できる場合に限り、流通をかける意味はあると思います。
業者の関係者にCDを渡したいからCDを作りたいという方もいるでしょう。
関係者に名刺の代わりにCDを渡すというのはインディーズの現場においてよく行われます。
「CDを持っています」ということは「ある程度は本気で活動しているんだな」ということをわかりやすく伝えることが出来ます。
そういう意味ではCDは作っておいて損はないと思います。
しかしながら、CDを渡したところで関係者の方に実際聴いてもらえるかは疑問です。
連絡先がわかる方なら、メールにYouTubeのリンクやDropboxに音源をアップしたそのリンクを送って、一言添える方が、聴いてもらえる確率は高いでしょう。
USBに音源やプロフィールを入れておいて、渡すなんていうのもアリだと思います。
最近はレコード会社のオーディションやデモ音源の募集も、ネットからURLを送る形態が非常に多いです。
自分の音楽を知らない人に対して「聴いてください!」という状態であるならば、聴き手が出来る限りストレスがないように工夫する必要があるでしょう。
アイドルグループが握手券を付けなければCDが売れない時代です。
Apple MusicにSpotifyといったサブスクが主流となり音楽の聴き方はここ数十年で大きく変わりました。
それでもCDはなくなりませんし、アナログレコードやカセットテープが逆にブームになったりといった現象も起こっています。
これは音楽はスマートフォンで聴くことを前提に、聴くだけならスマホがあるから大丈夫という安心感があるからこその現象だと思います。
どちらか一つしか選択出来ないとしたら、敢えてカセットテープで聴く人は殆どいないでしょう。
音楽をいつでもどこでも聴けるようになった時代だからこそ、大好きな音楽を形として手元に残しておきたいといった欲求もまたなくならないのです。
「CDが好きだからCDを作りたい」
それが動機であるならば、CDを作るべきです。それ以上の動機はないと思います。
CDはお金を払いさえすれば誰でも作ることが出来ます。
個人でレコーディングをして、マスタリングをして、プレスをして、CDジャケットを作って、流通をかけて、となると結構なお金がかかります。
何となくで「今年もCDも作るか!」とCDを作ってるインディーズ、アマチュアのミュージシャンがとても多いです。
「どうしてCDを作るのか」「本当にそのCDは今必要か」をしっかり考えてからCDを作ることが大切です。
あなたの目的に応じて計画的にCDを制作していきましょう。
ライター:kato
2020年よりフリーライターとして活動。 @kato1155ka
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