ゴージャスなルックスとロックンロールのイメージで人気の高いグレッチのギター。高級ギターのイメージが強いですが、昨今では手に取りやすいアジア製のモデルも多数リリースされています。グレッチギターのおすすめモデルを中心に掘り下げていきましょう。
1883年、ドイツ系移民のフレデリック・グレッチ氏により、ニューヨークのブルックリンにて創業されます。当初はバンジョー、タンバリン、ドラムなどの生産が主でしたが、1940年頃からエレキギターの生産を開始、「6120(ナッシュビル)」、「ホワイト・ファルコン」の2モデルをヒットさせ、チェット・アトキンスが「カントリー・ジェントルマン」を使用するに至り、不動の人気を獲得します。1960年代にはジョージ・ハリスンがカントリー・ジェントルマンを使用、グレッチの名とそのルックスは全米に知られることになりました。
しかし、60年代後半以降はフェンダー、ギブソンの人気に押され、経営不振に陥ってしまいます。1967年には会社がボールドウィン・ピアノに買収されますが、1980年そのボールドウィンもグレッチのギターの製造を停止させてしまいます。
1980年代、その途絶えたグレッチの歴史が再び動き始めます。その立役者はストレイ・キャッツで活躍したブライアン・セッツァー氏でした。氏の使用によって再評価されたグレッチのギターは往年の人気を取り戻し、やがて会社もグレッチ一族に買い戻され、1989年についに製造を再開します。再開後はリイシューモデルを中心に製造していましたが、1995年にはElectromaticという廉価ブランドを誕生させ、ライトな層へも訴求できるラインナップが整いました。
ブランドの最高級モデルであるホワイト・ファルコンは、優美な曲線に彩られたシェイプ、輝くゴールドパーツ、ビグスビートレモロのオールドファッションな出で立ちでまとめられ、美しくゴージャスな外見が印象的です。このルックスこそグレッチのギターの特徴の最たるものであり、「外見」におおいにこだわったグレッチの真骨頂とも言えます。
もちろん、見た目だけではなくその音も本物で、グレッチのメインラインナップであるホロウボディの機体から発せられる音色は、クリーン、クランチなどで特に真価を発揮し、バキッとしたパワフルで無骨なサウンドに空気感が加わった唯一の物。グレッチにはロックンロールのイメージが強いですが、元々ジャズ、ブルースの素養を持つカントリー・ギタリストであるチェット・アトキンスがブランドの興隆に密接に関わっており、1970年代にはAC/DCの故マルコム・ヤング氏が、高めのゲインでハードなリズムを刻むのに使用するなど、多彩な音楽に対応できることがわかります。
昨今、力を入れている中位以下のグレードに多く見られるチェンバー構造のモデルは、かなりのハイゲインにも持ちこたえる太さと、ブライトな出音を生み出すことができ、従来のグレッチからはまたひと味違うサウンドを楽しむことができます。
Gretsch G6136 ホワイトファルコン – エレキギター博士
グレッチのラインナップはそのカテゴリーが煩雑であり、整理するのが厄介ですが、主に下のようになっています。
主に日本やアメリカのフェンダーの工場で作られるモデル。特注のCustom Shop製を除けばシリーズ最高峰。シリーズの中には往年のスペックを踏襲したVintage Select Edition、ロック式ペグやストリングスルー・ビグスビーなど現代的な装備に身を包んだPlayers Edition、その他シグネイチャー・モデルなどが含まれ、グレッチのメインラインナップを成しています。型番はG6○○○となり、値段も最高で50万円代のものまで存在します。
G6136 ”ホワイト・ファルコン” ”ブラック・ファルコン”、G6192 “カントリー・クラブ”、G6120 ”ナッシュビル”、G6128 “デュオ・ジェット”
G6120 Brian Setzer Signature、G6128 George Harrison Signatureなど
Gretsch G6120 Nashville
Gretsch 6122 Country Gentleman
Gretsch G6128 Duo Jet – エレキギター博士
グレッチは高価というイメージを打ち破るために、1995年より展開が始まった中位グレード。韓国や中国の工場で作られています。型番はG5○○○で、主にチェンバードボディのJet、ホロウボディ構造のHollow Body、セミアコ構造のCenter Blockの三種から構成されるシリーズです。
G5220 “ジェット”、G5422”Hollow Body”、G5622 “Center Block Jr. Double-cut”、G5655 ”Center Block Jr. Single-Cut”など
Gretsch Electromatic(エレクトロマチック)シリーズ – エレキギター博士
2016年より展開が始まった下位グレードのシリーズ。ボディシェイプやデザインにはグレッチらしさをしっかりと残した気品を纏わせながらも、ハードウェアにより安価なものを使用したり、木材をより安価なナトーにするなどの工夫で、さらに価格を圧縮したシリーズです。ピックアップには往年のグレッチサウンドの要であるフィルタートロンとギブソンPAFとの中間を狙って製作された「ブロードトロン」を搭載。型番はG2○○○。上のElectromatic同様、Jet、Hollow Body、Center Blockの三種が主なモデルとして名を連ねています。
G2210 ”Junior Jet”、G2420 “Hollow Body”、G2622T ”Center Block with Bigsby”など
Gretsch Streamliner Collectionのギターについて – エレキギター博士
グレッチブランドの製品でももっとも安価と言えるモデルがこのStreamliner CollectionのJunior Jetです。チェンバー構造ではありますが、サウンドの傾向はソリッドギターに近く、ある程度の硬さとブライトさを感じる質感は、親しみやすく使いやすいものと言えるでしょう。ボディ、ネックともにマホガニーの代替材として知られるナトーを使用。Streamlinerのために開発されたブロードトロンピックアップは中程度の出力を持ち、クリーンからハイゲインまで多彩なサウンドに対応します。
G2210 Streamliner Junior Jet Clubを…
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下位グレードであるStreamliner Collectionに含まれるセミアコ構造のCenter Blockモデル。こちらはビグスビーを搭載せず、V-Stoptailと呼ばれる独自の形状を持つブリッジを備えたモデルですが、そのルックスは紛れもないグレッチそのもの。ナトー材を使用しコストの圧縮を図ってはいますが、十分に太くブライトなサウンドは非常に使いやすいもので、下位グレードとは思えない完成度の高さを感じることができます。
G2622 Streamliner Center Block with V-Stoptailを…
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グレッチのメインラインナップに数多く種類を揃えているJetモデル。Jetはチェンバー構造のモデルに付けられる名前で、それぞれシングルカッタウェイとダブルカッタウェイの二種類が展開されています。シングルカッタウェイのJetはボディバックとネックにマホガニーが使われるなど、レスポールに近い構造になっており、ダブルカッタウェイのDouble Jetは、かつてマルコム・ヤングも使用した、グレッチの中では由緒ある形状です。こちらもSGに近い独特の外観をしていますが、搭載されるフィルタートロンハムバッカーは、ギブソンのギターに比べると、ずっと低出力で澄んだサウンドです。甘さを感じさせる太い音はロック、ブルース、ジャズなど、ジャンルを問わず幅広く使えるでしょう。Electromaticコレクションに含まれるこの二機種は、コストパフォーマンスにも優れ、ビグスビーを搭載しながらもボディに直接設置されたブリッジなど、激しい演奏にも耐えられるように工夫されています。
G5230T Electromatic Jet FT Single-cut with Bigsbyを…
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Electromaticコレクションに含まれるホロウボディ構造のモデル。シングルカッタウェイの形状にビグスビーのついたルックスは、いわゆるグレッチのイメージをかなり色濃く反映しています。メイプルが使用されたトップにはパラレルトーンバーというブレイシングが施され、ローズウッドの指板も相まってはっきりした音が印象的。ピックアップには純正のフィルタートロン・ハムバッカーを搭載。ブリッジの土台としてローズウッド材のベースを設置し、ナットにはグラフテックのNuBoneが使用されるなど、チューニングの安定性にも注意を払い設計されており、ホロウボディの第一歩としてもおすすめなモデルです。
G5420T Electromatic Hollow Body Single-cut with Bigsbyを…
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「ナッシュビル」という名が付けられたG6120はチェット・アトキンスの協力の元、完成に至ったグレッチ最初期のモデルです。トップを飾るのはメイプル材で、ワッフル・ブレイシングと呼ばれるブレーシングが施されています。トップの上にはゴールドでダミーのFホールが描かれ、コントロール類もマスターボリュームと各ピックアップごとのボリュームが分かれたトラディショナルなグレッチの仕様です。Squeezboxと呼ばれる新開発のキャパシターが内蔵され、シルキーなハイエンドを実現、ヴィンテージの雰囲気を強く纏わせています。FSRモデルは「Factory Special Run」の略で、日本国内限定の特別なモデルに付けられます。
G6120T-BLK FSR Vintage Select Editionを…
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1955年に初めて登場した初代のファルコンを再現したモデル。メイプルにスプルースを貼り付けたホロウ構造の白いボディ、そして金色に輝く金属パーツ、フェザー・エングレイヴィングと呼ばれる模様の入ったインレイ、まさに気品の溢れる佇まいで圧倒的です。ピックアップには透明感のある出音で評価の高いTV JonesのシングルコイルT-Armondを搭載、電装系には新開発のキャパシターSqueezboxを採用して内蔵することで、よりヴィンテージ感の強い出音を獲得するなど、単なる再現にとどまらない工夫も行き届いており、まさにグレッチの代表的モデルに相応しい存在です。
G6136-55 Vintage Select Edition ’55 Falconを…
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グレッチが誇るチェンバー構造ボディであるDuo Jet。こちらはジョージ・ハリスン氏が実際に使っていた1957年製のモデルを再現したシグネイチャー・モデルです。当時のものと同じく、ビグスビーB3Cテイルピースを装備、ピックアップには純正のダイナソニック・シングルコイルを二基搭載しています。トップのみならずサイドバックもブラックで統一され、少しずらされたボディエンドのストラップピンの位置にいたるまで忠実に再現されています。
ブライアン・セッツァー氏自身が所有する59年製ナッシュビルの中でも「Smokey」と呼ばれる一本を再現したシグネイチャー・モデル。メイプルが張られた表板に施された、趣のあるスモーク・オレンジのフィニッシュが最大の特徴。オリジナルの仕様を大切にしつつも、エボニー指板にはローポジションからハイポジションまで理想的な演奏が出来るよう、コンパウンドラディアスを採用。グレッチオリジナルのゴトー製ロック式ペグ、デルリン素材のナットを使用するなど、プレイヤー目線に立った現代風の装備を纏った一本は、まさに実戦向きでもあります。セッツァーのファンならずとも注目の一本でしょう。
高級モデルはもちろん、廉価モデルに至るまで、気品のあるルックスを持ち、ギタリストなら一度は弾いてみたいと思わせる存在感があります。グレッチはロックンロールのイメージこそ強いですが、実際にはずっと広範囲に様々な音楽をカバーできるポテンシャルを秘めています。ぜひ先入観にとらわれず、一度手に取ってみてください。
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