Ibanezダブルバッグ「IGAB2621／IBB2621」レビュー！［記事公開日］2016年5月31日
［最終更新日］2021年09月13日
［ライター］小林健悟

Ibanezダブルバッグ

ギタリストはベーシストやキーボーディストと比べ、楽器を何本も運ぶことが多いですね。電車で移動することを考えたらとても大変ですが、そんなギタリストを強力にサポートしてくれるのが、楽器を二本収納できる「ダブルバッグ」です。「ギター2本をいっぺんに運べるのが、これほどまでに便利だったとは！」と思わせてくれるアイテムです。

今回は、私が実際に購入した

Ibanez IGAB2621‐BK：エレキギターとアコースティックギターを一本ずつ収納
Ibanez IBB2621-BK：エレキベースを2本収納

この二つをピックアップし、機能や特徴、使用感をレビューしていきます。購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

厚いクッションでギターを守る「POWERPAD」シリーズ

荷物の体積にここまでの違いが。車で運ぶにしても、搬入と搬出でそれぞれ1往復ぶんの労力と時間が節約できるため、とても助かります。

Ibanezの「POWERPAD」シリーズは、厚手のクッションをフルに活用することをコンセプトに据えたギグバッグで、基本モデルとなるIGB521、防水と軽量を両立させたIGB924など、目的に合わせたラインナップを展開しています。特別に「パワーパッド」という素材があるという訳ではなく、楽器やユーザーを守るクッション素材を「パワーパッド」と称しています。

アコギとエレキを1本ずつ収納できるダブルバッグ「IGAB2621」はメッシュ素材と合皮を組み合せていますが、全面的に肉厚で、空っぽの状態で立てても折れてしまわないくらいしっかりとした造りになっています。地面に接することが多い側面は汚れが付きにくい合皮になっており、楽器の重さがかかる部分には内部のクッション（＝パワーパッド）が追加されています。ボディエンド側だけでなく1弦側にも追加されているのが嬉しい設計です。またアコギ側にはネックレストが、エレキ側にはサイドクッションが付属します。いずれも内部でのガタつきを抑えるベルトが備えられており、傷がつきやすいヘッド部とブリッジ部が当て布で補強されています。

自立できるしっかりとした造り。エレキ収納部とアコギ収納部では内張りに違いがあります。

ベルトの根本はハンドルとしても機能します。

背面部にもこんもりとパワーパッドが。4か所に分けて設置することで、背中にかかる楽器二本ぶんの重さをうまく分散させるとともに、長時間かついでもムれにくい通気性を確保しています。

背面パッドと比べると若干薄い印象のあるベルトですが、これにもクッションが仕込まれていて身体に優しくフィットします。バックルの食いつきがよく、かついで歩いていてもベルトが伸びてしまうようなことはありません。

便利な「スマートポケット」

左のベルト根本部に、「スマートポケット」と呼ばれるシンプルな収納が設置してあります。これはちょうどスマートフォンが収まりやすいサイズになっていますから、移動中はかなり助かります。ちなみにタバコや筆記具の収納としてはやや使いにくさがあります。

3層の大きなポケット＋ヘッド部の小ポケット

3層のポケットはバンドスコアが何冊も余裕で収まるサイズ。頑張ればエフェクタも収まります。小物を収める小中のポケットは防犯目的で、手を入れるとガサガサと音が鳴るようになっています。1本収納用のIGB621に同梱される収納器具「スマートボード」は付属していません。

ヘッド部の小ポケットは、アームがすっぽり収まるくらいのサイズです。アームやクロス、筆記具などの小物の収納に向いています。

分割できる唯一のダブルバッグ

他のブランドからもダブルバッグはリリースされていますが、Ibanezのダブルバッグは「二つのシングルバッグに分割できる」という大きな特徴をもっています。外周をぐるりと覆うジョイントジッパーを解けば簡単に分割でき、片方だけ持っていきたいときに便利です。またこのジョイント部はちょっとしたものを収める「秘密の収納」としても使うことができます。

シンプルさを追求した設計

楽器収納、各ポケット、ジョイント用すべてのジッパーがシングルに統一され、またふたつのハンドルとつなぐ帯を持たないシンプルな造りになっています。ダブルバッグをリリースしているブランドはいくつかありますが、その中でもIbanezのダブルバッグはこうしたシンプルな設計もあいまって、最も手に入れやすいコストパフォーマンスを実現しています。

Ibanez IGAB2621‐BK（エレキ＆アコギのダブルバッグ）に、いろいろなギターを入れてみた。

Ibanezのダブルバッグは、Ibanezのギターに合わせたスリムなスタイルになっています。公式サイトではIbanezのギターが収納できるとしながらも「変形モデルなど、一部の商品は収納できません」と述べられていますが、どんなギターが収納でき、どんなギターが収納できないのでしょうか。

そこで、岐阜県にある株式会社松栄堂楽器県庁前店さんのご協力を得て、いろいろなギターを収納してみました。ダブルバッグとしての機能をチェックするため、片方にはエレキやアコギを収納して試しています。

エレキ側に収まったもの

フェンダージャパン・ストラトキャスター

フェンダー・テレキャスター・デラックス（ラージヘッド）

PRS SE Custom 24

Ibanez RG

サイケデリズム　サイコマスター（ジャズマスター・タイプ）

グラスルーツ・フォレスト

フェンダージャパン・ムスタング

Sterling　アクシス

すっぽり。余裕です。フェンダー系のまっすぐなヘッドを持つギターの場合、まったくストレスなく収納できます。しかしヘッドに角度があるギターには若干ストレスがかかります。ショートスケールやボディサイズの小さいものの場合にはヘッド部に十分な余裕が。付属のクッションでボディ内部をせまくするとちょうどよくなります。

エレキ側で収納できなかったもの

エピフォン・レスポールスタンダード

ボディは収まりましたが、ヘッドの角度がきついため、ジッパーが閉まりませんでした。
エピフォン・DOT（ES-335タイプ）

トーカイ・フライングVタイプ

エピフォン・エクスプローラー

B.C.リッチ・アイアンバード

変形ギターでは、さすがにボディが収まりませんでした。

アコギ側に収まったもの

エピフォン・レスポール・スタンダード

エピフォン・SG

エピフォン・DOT（ES-335タイプ）

エピフォン・ES-175

グレッチ 6120ナッシュビル

レスポールは、アコギ側ですっぽりと収まります。ギブソンよりも若干ヘッドが長いエピフォンのギターまで収まり、さらに全長が長いSGまで収まるのは注目すべきポイントでしょう。ソリッドを収納すると容積がかなり余りますが、ネックを固定するベルトを利用すれば内部でのガタつきをある程度抑えることができます。タオルを詰めるなどの工夫を施してもいいでしょう。

セミアコもフルアコもしっかり収納できます。ビグズビーが付いていても、ちゃんとジッパーが閉まります。

ギブソン・J-45