ディレイ・エフェクトは歪みの次にこだわるギタリストの多いエフェクトです。古くはアナログとデジタルを選ぶぐらいしか選択肢がなかったディレイも最近は多機能化が進み、タップテンポ機能やルーパー機能など、さまざまな機能を併せ持つものが増えてきました。
ここではそんなディレイの中でも、プリセットをメモリー可能な機種について選んでみました。
マルチエフェクターなどでおなじみのプリセットのメモリー機能。セッティングを保存して呼び出せる機能ですが、昨今単体のディレイ・エフェクターにもこの機能を内蔵しているものが増えてきています。ディレイペダルが多機能になり、様々な音質やタイプを一台で使い分けられるものが増えてきているため、マルチエフェクター的な使い方を出来るようにしないと、膨大な機能を最大限発揮できないという側面もあるでしょう。
実際の使用では、ミドルテンポに合わせたディレイとロングディレイを使い分ける、といったよくある使い方にとどまらず、曲によってデジタルディレイとテープエコー系アナログのサウンドを使い分けるのも容易です。また、リバースディレイをピンポイントで使う、またはアナログディレイの発振を曲中の一部利用したいとか、飛び道具的な使い方も可能。デジタルディレイの定番である、テンポに合わせた付点8分ディレイも、メモリーしておけば足下の操作で即座に呼び出すことができます。
12年間に渡りBOSSのディレイの代表格を務めたDD-20 “GIGA DELAY“の後継機種となる、BOSSディレイのフラッグシップモデル。
BOSSの最高機種というだけあって、その多機能ぶりは目を瞠るもので、12種に至る多彩なディレイのモードの中には、オリジナルのディレイを作り上げたり、ヴィンテージテープエコーをそのシミュレート元のモデル名から選択できたりもします。タップテンポの他、ディレイタイムやミックス量などを一時的にコントロールする役割をアサイン出来るマルチフットスイッチや、1分以上の長時間に及ぶルーパー機能など、出来ないことはないといったレベル。
プリセットは最大にして297種も保存可能。肝心の音質も32bit/96kHzでのデジタル処理は最高峰で、まさにBOSSの矜持を垣間見ることが出来るモデルです。
BOSS DD-500 – Supernice!エフェクター
TC Electronicはもともとラックタイプのスタジオ機器をメインに開発しているメーカーでした。それが2000年代に入った頃、おもにギター用のコンパクトエフェクターの市場に製品を次々に送り出し、現在では高品質なエフェクターを多くラインナップするブランドとして広く認知されるに至っています。
そんなTC Electronicがコンパクトエフェクターを出し始めた、最初期の頃のディレイが「Nova Delay」。当時はスタジオ機器で培われた技術が受け継がれた高音質が話題となり、現在でもなお売れ続けるロングセラーモデルです。
TC Electronic Nova Delay – Supernice!エフェクター
その後、USB経由で音色をコピーできるというTone Printという機能をもつコンパクト群を発表。そのうちの一つとして「Flashback Delay」をリリースします。このFlashbackのビッグサイズ版となる「Flashback X4」、またそのさらに上位モデルとなる「Flashback Triple Delay」はいずれもプリセットのメモリー機能に対応し、Triple Delayに至っては、3種のディレイを同時に使えるという驚きの機能を搭載しています。
TC Electronic Flashback X4
TC Electronic Flashback Triple Delay – Supernice!エフェクター
また、アナログやテープエコーのヴィンテージ系サウンドに特化した「Alter Ego」のビッグサイズ版「Alter Ego X4」もプリセットをメモリーでき、4つのフットスイッチで自在の使い勝手を誇ります。
TC Electronicのマルチディレイ群は、マルチエフェクター並みの大振りサイズでやや運搬性に劣りますが、凄まじい多機能性と高い利便性、スタジオ機器で培われた文句なしの高音質を誇り、最高のディレイを探す際には必ず候補に挙げて頂きたいシリーズです。
TC Electronic Alter Ego X4 – Supernice!エフェクター
数々の高級エフェクトを送り出すEmpressはディレイマシンを3機種ラインナップ。テープエコーのサウンドに特化して作られたTape Delay、より汎用的に使えるSuperdelay、ディレイ以外の部分にも力を注いだEchosystemと、棲み分けを行った3機種となっており、いずれも最高峰の音質を誇るものばかりです。
Tape Delay、Superdelay
「Tape Delay」と「Superdelay」はさすがにディレイ専門のマシンだけあって、こだわり用は半端ではなく、テープエコーの磁気テープの使用状態までもシミュレート可能。シミュレートされたヴィンテージテープエコーは、よくある独特の音の太さもしっかり再現されています。Tape Delayには3種、Superdelayには8種のプリセットがメモリー可能。トゥルーバイパス、バッファードバイパスを自由選択できるのも、こだわり派には嬉しいところです。
Empress Tape Delay
EMPRESS Super Delay – Supernice!エフェクター
「Echosystem」はディレイを軸とした多機能マシン。Echoplex、Memory Manなど、往年のディレイマシンのモデリングを含め、12種のディレイタイプを網羅。2種のディレイの同時掛けも行うことが出来、高品位のリバーブやモジュレーションをもそれに併せて使用できます。プリセットは35種を登録可能。キャビネットエミュレーターを搭載することで、ライン出力まで可能にした多機能モデルながら通常のエフェクターと遜色ないサイズに収められた、その利便性も高く評価できます。
Empress Echosystem – Supernice!エフェクター
スタジオミュージシャン向けの機材を多く送り出すFREE THE TONEのディレイマシン。2016年に生産終了となったFT-1Yの後継製品に当たります。
最大の特徴は世界初となる2種の機能が搭載されていること。「リアルタイムBPMアナライザー」ではタップテンポ入力時に、実際の演奏を解析しつつテンポの誤差を自動で補正を行います。また、「ディレイタイム・オフセット」はテンポに合わせたディレイを若干ずらすことで、前ノリ、後ノリなど、リズムを有機的に演出してくれます。
デジタルディレイながら、極めて高品質なハイパス、ローパスフィルター、またモジュレーションを搭載することで、アナログライクな質感を自在にコントロールできます。ディレイタイプは99種類を保存可能で、MIDIスイッチを別途接続することで柔軟な切替を可能にします。
FREE THE TONE FT-2Y Flight Time – Supernice!エフェクター
独特なルックスが特徴的なSource Audioのペダル群の中、比較的ノーマルな印象を抱くこのディレイ。3年も掛けて開発された経歴があり、ディレイの最高峰を目指して製作されました。
DD-500と同じく、12のディレイタイプを選べ、さらにオンラインから12種を追加でき、iOSのアプリを使用することで、つまみでは扱えない細かいパラメータをも全て自分で設定可能。あらゆる機能を使えばオリジナルのディレイを自分で自由に作成することもでき、サウンドの幅広さは他の追随を許しません。
デフォルトではプリセットで呼び出せるのは4種程度ですが、MIDIスイッチを増設することで、最大128種のプリセットに自在にアクセスできます。上のEmpress Tape Delayと同じく、トゥルーバイパス、バッファードバイパスを自由選択可能。
Source Audio Nemesis Delay – Supernice!エフェクター
空間系エフェクトの最高峰として名高いStrymonの定番ディレイマシン。12種のディレイタイプを選ぶことができ、ルーパー機能も完備。いずれのタイプも内部の細かいパラメータまで自在に操ることができ、DD-500と同じく、オリジナルパターンもセッティング可能です。
200種のプリセットを保存可能。ステレオ入出力およびエクスプレッションペダル用と、入出力端子が多いのですが、モノラルでの接続時には残りの端子をセンドリターンとして使用可能。アナログライクな音質にこだわりたい場合は同じStrymonブランドでも「El Capistan」がおすすめですが、プリセットの自在な保存と呼び出しにはこちらのTime Lineが勝ります。
Strymon Time Line – Supernice!エフェクター
多機能かつ高価なマシンが多い中、中国のJOYOが送り出すこの製品は、非常に安価。
メモリーは2つのみ、ディレイタイプも4種のみと必要最低限の機能に抑えられていますが、メインを張るアナログディレイのサウンドは価格の割に相当美しく真に迫ったものを持ち、ライトな使い方であれば十分と思わせる出来。デジタルディレイも分かりやすいタップテンポの機能との併用で、意外に懐の深い使い方ができます。
値段もさることながら、通常のコンパクトエフェクターよりもさらに小さいサイズも、ボードを大きくしたくないギタリストには嬉しい仕様です。
JOYO / D-Seedを…
Aアマゾンで探す Sサウンドハウスで探す R楽天で探す YYahoo!ショッピングで探す
超小型のエフェクターを続々リリースするHOTONE(ホットトーン)のモデリング型ディレイ。同社独自のCDCMというモデリング技術を軸とした、多彩な機能が魅力です。
内部には17種類のディレイタイプを持ち、リピート音に別途エフェクトを掛けることも可能。PC上でBINARY EDITORというソフトを使うことにより、内部の細かなセッティングまでアクセスできます。ステレオイン、ステレオアウトの端子を持ち、外部エクスプレッションペダルを繋ぐことで、パラメータのリアルタイム制御が出来るところなど、入出力部は最高級モデルに引けをとりません。
二つのフットスイッチを使い、2×5の10セットをメモリー可能。HOTONEの代名詞でもある小型サイズも嬉しいところですね。
HOTONE BINARY EKO – Supernice!エフェクター
高いクオリティでソフトウェア・アンプシミュレーターの代表格ともなったPositive GridのBIAS。このBIAS Delayは、そのクオリティをハードウェアに落とし込み、実際に足下にセッティングすることで、通常のエフェクターとして使える実機モデルとなります。
細かい操作をいずれもUSB経由でPCで行うところが最大の特徴で、はじめからソフトウェアありきとして設計されています。PCの操作に慣れていないギタリストには少々ハードルが高いものの、ディレイ音に対して細やかなエフェクトを掛けたり、実際の回路を擬似的に改変したりする機能などは、それでこそ可能になった要素です。
4つのフットスイッチを持つ本体の使い勝手はTC Electronicの大型ディレイに遜色なく、7種類のディレイタイプを使い分けたプリセットをソフトウェア経由で20種類保存可能です。
Positive Grid BIAS Delay
Positive Grid BIAS Delay Twin – Supernice!エフェクター
メモリー可能な多機能ディレイといえば高くて大きいというのが常でしたが、最近では安価なものこそ未だに少ないものの、小さなサイズのものは増えてきました。別途スイッチやペダルを接続して操作性を拡張できるものも多く、ディレイの選択肢は広がり続けています。それぞれに違った良さがあるので、ご自分のボードをどのようにしたいのか吟味の上、しっかりと選んで下さいね。
ライター:森多 健司
新大阪駅、西中島南方駅より徒歩10分のギター教室「森多ギター教室」主催。安価な受講料で、初心者から中級・上級者まで幅広くニーズにお応えします。 森多ギター教室のページ – ギター教室navi
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com
guitarhakase.com