どれがオススメ?フェンダー・アコースティックギターの選び方[記事公開日]2020年12月10日
[最終更新日]2020年12月11日

フェンダー・アコースティックギター AMERICAN ACOUSTASONIC STRATOCASTER ZIRICOTE

エレキギターやアンプのイメージが非常に強いフェンダーですが、元を正せば1960年代にはアコースティックギターの第一号を誕生させています。日本でも2010年代ごろから本格的にアコースティックギターの世界にFenderロゴの入った製品が目立ち始めました。そんなフェンダー製アコースティックギターについて迫ってみましょう。

フェンダー製アコースティックギターの成り立ち

フェンダーがアコースティックギターを作り始めたのは意外にも古く、1960年台に遡ります。1962年、リッケンバッカーよりギター製作者Roger Rossmeisl氏がフェンダーに移籍。その彼がフェンダーのアコースティックギター開発に先鞭を付けることとなりました。アメリカでは1950年代中期から60年代前半までフォークブーム巻き起こり、フェンダーもそれにつられるように新製品を開発。ヘッドのシェイプなどは現在でも続いている、エレキのストラトキャスターを彷彿させる片側6連ペグのものがすでに採用されていました。

しかし、60年代終わり頃、フェンダー社はCBSに買収され、70年代始めにはアコースティック市場から撤退します。当時存在した全9つのアコースティック・モデルは全て販売終了となり、エレキに注力することになりました。

フェンダーのアコースティックギターが再び陽の目を見ることになるのは、2000年代に入ってからのことです。実に30年ぶりのアコースティックギターとなるGrandシリーズが2002年にデビューを飾ると、その後もGlobal Designが2004年に登場します。日本でもこの頃からちらほらと目にする機会が増え、シンガーソングライターのYUIさんが使用したことにより、女性プレイヤーからの人気を広く獲得するに至りました。

フェンダー製アコギの特徴は?

フェンダーは長らくアコースティックギターの市場から距離を置いていたこともあり、ノーマルなアコギではなかなか既存の勢力に対抗できません。そこで打ち出した個性が「エレキギターのように弾きやすい」というところ。エレキギターとアコースティックギターの両方を演奏する人なら分かる通り、アコースティックはエレキに比べ弦が硬く、さらにネックが太いものも多いため、演奏が難しく感じます。

フェンダーはエレキギターで培った技術を転用、ネックを薄くするなどの工夫で、エレキからの持ち替えがスムーズに行えるアコギを目指して製作しました。この「エレキギターと違和感なく持ち替えられる」という特徴は演奏性だけにとどまらず、ストラップピンをボディサイドに付け、立った時にエレキと同じ体勢で構えられる、あるいは、ほとんどのラインナップにピックアップを付け、エレアコとしての使用が出来るようにする、といったような諸々の要素として現れています。また、多彩なカラーバリエーションのラインナップも魅力で、このカラーバリエーションの豊富さもエレキギター譲りということができます。女性ギタリストに人気があるのも、この弾きやすさや、様々な色合いが選べるというところに一因があるのでしょう。

フェンダー・アコースティックギターのラインナップ

フェンダーのアコースティックギターは分類がややこしく、多数のモデルが存在していますが、2020年現在、日本国内で手に入るものは、ほとんどがCariforniaシリーズとAcoustasonicのいずれかになるでしょう。どちらもノーマルなアコースティックギターの印象とはかなり離れた個性的なモデルで、外観などは「これぞフェンダー」という雰囲気を纏っています。

ただし、2000年代終わり頃から市場で人気を誇ったClassic Designシリーズのエントリーモデルはいまだに人気があり、品薄ではあるものの手に入れることができます。

Californiaシリーズ

Newporter Classic Newporter Classic

2018年に新登場したシリーズ。フェンダーらしさを強く感じさせるシェイプやカラーが印象的で、ネックにはマホガニーを採用しています。上位からClassic、Special、Playerの3グレードに分かれ、いずれのグレードもピックアップを搭載したエレアコ仕様となります。

シェイプは全3種をラインナップしており、小さい順にMalibu、Newporter、Redondoとなっています。Malibuは一般的なアコースティックギターと比べてもかなり小さく、はつらつとしたサウンドが持ち味。Newporterからは通常のアコースティックギターらしいシェイプとなり、Redondoの大きさになると、胴鳴りも大いに期待出来るほどの大きさとなります。全てのボディはハイフレットの演奏ができるように、カッタウェイが施されています。そして、ボディ以上に個性を感じさせるのがヘッドストックの形状で、エレキのストラトキャスターと同じ形をしています。薄型Cシェイプのネックはエレキギターライクな演奏性を確保しており、非常に弾きやすく感じられます。

SpecialとClassicグレードのものには、Fishmanと共同開発されたプリアンプを搭載しているのも見逃せない点でしょう。これはボディ形状や鳴りに合わせて専用に設計されたもので、ライブやバンドとの演奏でも存分に力を発揮します。また、下位グレードのPlayerは6色展開がなされています。色合いも今までにアコギではあまり見かけなかった個性的なものが多く、この辺りもエレキギターからの発想と言って良いでしょう。

American Acoustasonic

Acoustasonic Telecaster Acoustasonic Telecaster

エレクトリックとアコースティックの合体をテーマに本家フェンダーが手がけた新モデル。一見しただけで今までのエレキでもアコギでもない、独特な外見が目を引きます。独自の構造、実際に出力される音色、いずれも「ピエゾの付いたエレキ」、「ピックアップの付いたアコギ」のどちらでもない、新機軸の印象を感じさせます。

ストラトキャスター、テレキャスターの内部をくりぬいて、独自形状のサウンドホールで外と繋げるという複雑な構造を持ちます。ストラトでおなじみのボディコンターカット、アームレストのついた抱えやすいフォルムでありながら、アコギと同じネック材、ブリッジや弦を採用していることもあり、生鳴りはエレアコのそれを感じさせ、マホガニーネックも功を奏してか、形から感じる以上の温かみある音色が得られます。

ピックアップは3種搭載しており、エレキに近いブリッジ側マグネティックピックアップ、エレアコに多いアンダーサドルピエゾピックアップ、そして内部の振動を拾うためのAcoustasonicエンハンサーに分かれます。マグネティックはフェンダーの純正、残りの二つはFishmanとの共同開発で特別に設計されました。ピックアップセレクターではエレキギターの音とアコースティックギターの音を切り替えることができ、Modと呼ばれるノブでそれらのピックアップのミックス具合などを調整します。

サウンドはまさにエレキでもアコギでもあるという類を見ないもので、アコギではフィンガーピッキングでの弾き語りからソロギターまで、エレキでは歪ませた低音のリフまで、どちらにも対応できる史上唯一のギターといって間違いありません。また両者の音を自在に混ぜることができ、この際の音色は新しいジャンルの創出を予感させるほどです。

フェンダー・アコギ、おすすめモデル

フェンダー製アコースティックギターのおすすめモデルを紹介。先に紹介したCalifornia、Acoustasonicの両シリーズと、初心者に人気の高いClassic Designのモデルを二つ取り上げています。

CD-60S

Fender CD-60S

フェンダーアコースティックギターのエントリーモデルに位置するClassic Design。そのシリーズにおけるドレッドノートタイプのギターがこのCD-60です。スプルースのトップに、マホガニーのバック、サイドは一般的なアコースティックギターに非常に多い組み合わせで、音色も極めてオーソドックス。上位モデル譲りの薄型ネックは弾きやすく、ヘッド形状も通常の両側3連ペグのものとなっており、良い意味で個性が薄いモデルです。価格も非常に安く、初心者に最適です。

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CC-60S

Fender CC-60S

上記のCD-60に比べて、くびれの部分が深く、より持ちやすくなったコンサートタイプのものがこのCC-60S。スペック上の違いはほぼなく、あくまでもシェイプのみの差となっています。小柄な女性はこちらの持ちやすい方を選ぶ方が良いかもしれません。”60S”という型番のものにはピックアップがなく、エレアコとしての使用には対応できないため、人前で披露する、あるいはバンドで演奏するなどの機会がある方は、ピックアップが搭載された”60SCE”を選ぶ方が良いでしょう。

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Newporter Player

Fender Newporter Player

Californiaシリーズの下位モデルPlayerのNewporterシェイプ。NewporterはCaliforniaシリーズにおける全3モデルのうち、もっともスタイリッシュで、人気のあるボディです。ボディがスプルース、サイドとバックはマホガニーで、ネックにも他のCaliforniaシリーズ同様、マホガニーが使用されており、きらめきの中にふくよかさが感じられる出音を獲得しています。

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Redondo Classic

Fender Redondo Classic

シリーズの最上位モデルClassicのRedondoシェイプ。Redondoはもっとも大きなボディサイズを持つ形状で、ドレッドノートに迫る大きさを持ちます。そのボディサイズゆえに胴鳴りが強力で、純粋なアコースティックギターとして高いポテンシャルを持っています。ClassicグレードにはFishmanと共同開発された専用プリアンプが付き、エレアコとしても強力なスペックを誇ります。最上位とは言え、一般的な中級機程度の価格で手に入るため、初心者の方でも無理なく手に取ることができるでしょう。

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Acoustasonic Stratocaster

Fender Acoustasonic Stratocaster

Acoustasonicシリーズのストラトタイプ。一見するとストラトに穴が空いているだけに見えますが、そのポテンシャルは唯一無二のものです。3種のピックアップから得られる音色は、文字通りアコギとエレキの垣根を越える代物で、今までにない感覚のサウンドを体感させてくれます。フェンダーUSA製品を手がけるカリフォルニアのコロナ工場で製作されており、コンターカットやアームレスト、指板に至るまで、その作り込みはハイエンドギターのそれを思わせます。

2020年現在ではストラトタイプとテレキャスタイプの二種が展開されており、それぞれ5色の展開がなされています。ボディトップのみカラーを施し、外周のベベル部分をナチュラルに保つ外観は、昨今の流行でもありますが、それ以上にやはりアコギとエレキの合体を塗装で表現していると見るべきでしょう。

《エレキとアコギを縦横無尽》Fender Acoustasonic Stratocaster – エレキギター博士


エレキの印象が強いフェンダーですが、やはりどこかエレキギターの要素を含んだ、面白味のあるアコギを送り出している印象です。エレアコとしての使用を前提に置いたような製品も多く、アンプに繋いでの演奏にシームレスに移行できるところも魅力の一つと言えそうですね。

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