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真空管搭載オーバードライブ大特集!2018年6月9日 , ライター:森多 健司

真空管搭載オーバードライブ VOX Straight 6 Drive TG1-ST60D

オーバードライブ系のペダルを探していると、非常に良く耳にする「アンプライクな…」という言葉。歪みエフェクターにはよくある「エフェクター臭い」と言われる類の不自然な歪み、これを排除しましたという意味の売り文句の一つです。

ここではアンプにより近づいた構造を持つ真空管内蔵の歪みエフェクターに焦点を当ててみます。

真空管内蔵の歪みエフェクターとは

通常のエフェクターはオペアンプで信号を増幅し、ダイオードを使ってそれをクリッピングさせて歪みを作り出します。それに対し、アンプは真空管に過大入力を注ぎ込むことで、それらの作業を行います。

真空管アンプの音を至上とするエレキギターの世界において、エフェクターの構造もアンプに近づければいいんじゃないか、という発想は出てくるのが当然で、この差を埋めようとして誕生したのが真空管を内蔵した歪みエフェクターです。

元祖チューブ内蔵エフェクター「Tube Driver」

「Tube Driver」はプリ管12AX7を使用した世界初の真空管内蔵歪みエフェクター。エリック・ジョンソンやデイブ・ギルモアの使用で有名です。アイバニーズの銘機「Tube Screamer TS-9」に近い音を持ち、ブースター系のあっさりした歪みが得られます。性質上、アンプをプッシュするために使われることが多く、アンプの前段にゲインをもう一つ足したような使い勝手の良さ、真空管譲りのウォームなサウンドが魅力です。

元々はChandlerというブランドが製作しており、その後Tube Worksが復刻版を発売、現在はオリジナルをデザインしたB.K. Butler氏による受注生産となっています。

ChandlerによるオリジナルはDCケーブルが直接本体から伸びており、12Vで動作。Tube Worksによる復刻版はアダプター経由での接続が可能となりました。

エリック・ジョンソンの使用はこのエフェクターを世界的に有名にしました。現在でももっぱら彼のファンが使用する例が多いようです。

様々な真空管内蔵エフェクター

真空管が内蔵された製品には色んなカテゴリのものがあり、最も多いのがフロアタイプ・プリアンプとして駆動させるもの。これはアンプのリターン端子などに繋ぐのを前提に作られているもので、足下で音色の大半を作り上げてしまえるのが魅力。

エフェクターはあくまでもアンプの出音を加工するという目的のもので、今回はこちらのカテゴリの製品を中心にいくつか挙げてみました。ただ、両者の区別は曖昧になりつつあり、下の製品の中でもHT-DUALなど、プリアンプとしても普通に使えるものもあります。

Blackstar / HT-DUAL

Blackstar HT-DUAL

Blackstar社が誇るロングセラーのディストーション。真空管らしく、自然で太い歪みの音が持ち味で、ハイゲインながらもしっかり抜けてくるアンプ的なサウンドは素晴らしいの一言。

デュアル・チャンネルを採用し、クリーンとクランチ~ディストーションの音が切り替えられます。クリーントーンでもしっかりとチューブらしい雰囲気を味わえるのが嬉しいところで、常時付けっぱなしでのプリアンプ的使用法も良いでしょう。

同社特有のISFコントロールではマーシャル的~フェンダー的なサウンドを操ることができ、スピーカーエミュレイトアウトを利用してのライン録音なども可能。

欠点は大きく重いことと、16Vの専用アダプターが必要なこと。その巨大さ故にボードへの組み込みはかなり頭を悩ませてしまいそうですが、プリアンプとして考えるならば許容できる範囲でしょう。

Blackstar HT-DUAL – Supernice!エフェクター

Hughes & Kettner / TUBE FACTOR

TUBE FACTOR

ドイツのアンプブランドヒュース&ケトナーの真空管入りオーバードライブ。同社のロングセラー商品「Tubeman」のサウンドをやや小型にして詰め込んだような印象の製品です。

サウンドは同ブランドのアンプと同じように中高域にピークを持つ、やや固めの歪みで、クリーンとドライブを分けて2チャンネルで使用可能。サウンド幅は非常に広く、美しいクリーントーンのアルペジオ用トーンから、激しいリードサウンドまで多彩。ドンシャリ系のメタルサウンドまでは難しいですが、かなり幅広く使える音が得られます。

Blackstarの「HT-DUAL」と同じく、デュアルチャンネルでサウンド幅も広いので、プリアンプ的に使用するにも良く、また真空管入りの上質なブースターとしても良い仕事をしてくれます。筐体が大きく、専用アダプターでしか使えないのもこのカテゴリの製品にはよくある特徴です。

Hughes & Kettner TUBE FACTOR2 – Supernice!エフェクター

Maxon / TOD9 True Tube Overdrive

MAXON TOD9

RODシリーズなど、かねてより真空管内蔵のエフェクターには積極的に取り組んできたMaxon。これは大きくなりがちな真空管内蔵エフェクターを、従来通りの小型で完成させてあります。

原型はMaxonのスタンダードオーバードライブ「OD9」であり、プリ部分にチューブを載せた構造になっています。ブレンドというつまみでチューブを通す割合を制御できますが、つまみを回していくと、真空管アンプをボリュームアップした時のキリキリとした雰囲気、暖かく奥行きのあるサウンドが見事に立ち現れます。

筐体は小さなものの、9Vを内部で30Vに昇圧しており、使用する電力も大きいため電池使用は不可。簡易なパワーサプライでは供給さえ出来ない可能性があります。とは言え、この大きさでチューブライクなサウンドがたやすく得られるのはこれ以外には中々ない魅力。ブースターとしてもメインの歪みとしても活躍できるでしょう。

Maxon TOD9 – Supernice!エフェクター

VOX / V8 Distortion

V8 Distortion

VOXの誇る真空管入りのエフェクターTone Garageシリーズには様々な製品がありますが、これはハイゲインディストーションに当たります。

つまみが4つに加え、Mid Shiftというスイッチを装備し、音作りの幅は広いです。サウンドは真空管らしい太さを持った強力ディストーションで、エッジの効いた切り裂くような高域、タイトに締まりつつも十分に再生される低域はマーシャルアンプを彷彿させるもの。

単三乾電池が6本という珍しい電池ボックスに、通常のDC9Vアダプターも接続可能。前述したMaxonのものと同じく、使用電力が大きいので、パワーサプライなど使う際には注意しなければなりませんが、このシリーズは全て試したくなる魅力に溢れています。

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Ibanez / Nu Tube Screamer

Nu Tube Screamer

Ibanezが銘機チューブスクリーマーに最新鋭のコルグ製Nutubeを載せた新しいオーバードライブ。

通常のエフェクターと同じ作りであった従来のチューブスクリーマーに、極小真空管のNutubeを使用することで、オーバードライブを真空管で生み出すことが出来るようになりました。このドライブサウンドをMixというノブを使い、クリーントーンと任意に合成していくことで、さまざまな場所で必要なサウンドが幅広く得られるようになっています。

9Vから18Vまで、駆動させる電圧は自由に選べます。Nutubeをフルで発揮したいなら18Vが望ましいでしょう。またNutubeは従来の真空管の2%のパワーで動作するため、9V電池での駆動も可能。使い勝手も他のエフェクターに比べ飛躍的に良くなっています。

Ibanez Nu Tube Screamer – Supernice!エフェクター

まとめ

最近は真空管入りのエフェクターも歪み以外の分野でも見られるようになり、様々な選択肢も出てきました。コルグ社が提供するNutubeのような、現代でこそなし得た新製品も登場しつつあります。

エフェクターはハードルが高いフルチューブのアンプに比べて導入も容易です。一度チューブらしい響きを自分のサウンドの中に取り入れてみてはいかがでしょうか。

ライター:森多 健司

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