アーティストはクラウドファンディングに手を出すな〜クラファンの落とし穴〜[記事公開日]2021年5月7日
[最終更新日]2021年06月17日
[ライター]ソロモンの 猫

クラウドファンディング

クラウドファンディング、通称クラファンは今ではとても馴染みのある言葉になりました。

クラウドファンディングとは、簡単に言うと、ある目標を達成する為に必要な資金を、ファンに呼びかけて調達するというものです。

コロナ禍において経営危機に陥ったライブハウスの多くが、このクラウドファンディングを行うことによってピンチを脱してきました。

 

クラウドファンディングの全てが悪いものだとは決して思っていませんし、寧ろ、使い方によっては色んな可能性を秘めていると思っています。

 

しかし、最近ではクラウドファンディングを斡旋する会社も増え、安易にクラファンに手を出してしまうアーティストがとても多いような気がします。

今回の記事では、クラファンの何がアーティストにとってデメリットなのかを具体的に書いていきたいと思います。

アーティストがクラファンを使う事例

①CDを作る為

クラファンで資金を集めて、CDを制作するというケースは非常に多いです。

クラファンのリターンとして、CDのクレジットに支援してくれた方の名前を入れたりしているようです。

②ワンマンライブを行う為

クラファンで集まったお金で、ワンマンライブを行うという事例もよくあります。中にはクラファンを使って武道館で単独ライブを行ったアーティストもいます。ファンから集めたお金で武道館をやることに果たして意味があるのか、正直疑問に感じました。

③グッズを作る為

クラファンで集めたお金でグッズを作るというアーティストもいます。

ファンから貰ったお金でグッズを作り、それをまたファンに買わせるというのは一体どうなんだろうと感じてしまいます。

④MVを作る為

MVを本格的に撮影するとなると、結構なお金がかかるのでそれをクラファンで賄うというアーティストも増えています。

MVの場合、特典としてファンの方にMVに出演させてあげるといったことも可能なので、ファンを巻き込んでいくクラファンには向いているのかも知れません。

上記以外にも様々な形でクラウドファンディングを行なっているアーティストが見受けられます。

アーティスト活動はとてもお金がかかります。

その資金をファンから頂き、一緒に作品を作り上げて、更にお礼としてリターンもお返しする。

それ自体は、悪い行為だとは思いません。

 

実際、クラファンを通してファンを巻き込むことで幸せに出来ているのならそれは素晴らしいことかも知れません。

しかし、クラファンによって逆に離れていくファンも必ずいるということを声を大にして言わせていただきたいのです。

クラファンのデメリット

基本的に、先程あげた、「CDを作る」「ライブを行う」「グッズを作る」「MVを作る」といった活動はら今まで全てのアーティストが自力で行ってきたものでした。

近年、クラファンは爆発的に浸透し、誰でも気軽に行うことが出来るほど身近なものになりました。

 

まず、このクラファンに対して、

「いやいや、CD作るくらい、自力でやりなさいよ!」

というアンチクラウドファンディング派のファンは必ず一定数いることを理解しておく必要があります。

勿論、「支援するのが生き甲斐!」というファンも一定数いますので、クラファンを快く応援してくれる方もいるでしょう。

しかし、その一方で、アンチクラウドファンディング派がいるのは当然のことで、「CDを作る」「ライブをする」に関しては特に、それはアーティストがお金と時間と労力を注ぎ込んで作り上げた「作品」であるからこそ、ファンはそこにお金を払う価値があるのだと思います。

それをファンからお金を貰って、そのお金でCDを作って、

「みんなと一緒に作ったCDだよ。ほら、クレジットに名前入れてあげたでしょ。」

というのは、「ちょっと違うんじゃない?」と感じる人がいるのは当然です。

 

「支援したくない人はしなければいい」

そんな声が聞こえてきそうですが、その通りです。

クラファンは強制ではないので、参加したい人だけが参加すれば良いのです。

しかし、この参加したい人だけが参加してリターンを得るというシステム上、

クラファンはコアなファンをより深くに引きずり込み、ライトなファンを遠ざける性質を持っています。

つまりクラファンをやるというだけで、ライトファンを遠ざけてしまうという危険があるのです。

 

今では世間的にクラウドファンディングというものは広く認知され、抵抗感を抱く人は少なくなってきました。しかし、それでもクラファンの内容によっては「え?そんなんでクラファンやるの?」と思う人は少なからずいます。

 

コアなファンを増やすことはとても大切ですが、それによってライトなファンを遠ざけてしまうのは非常に勿体ないです。

今一度考えてみて欲しいのです。

 

そのC D本当にクラファンで作る必要があるでしょうか?

そのワンマンライブ、クラファンでやる意味はあるでしょうか?

 

ただお金がなくて逃げているだけではないでしょうか?

そういった浅い考えはファンに見透かされていますよ。

達成出来なかった時のマイナス

また最近ではクラファンが達成出来なかったというケースもしばしば見受けられます。

これは最悪のマイナスプロモーションです。

クラウドファンディングは、ファンの方と一緒に一つのものを作り上げるということに意味があります。

ですので、本当にファンの方を参加させる形で巻き込めれば、ある程度は成功が見込めるのですが、お金がなくて困ってるアーティストがただ楽をしたくてクラファンに手を出しているケースは多々失敗に終わっています。

それは当然の結果で、クラファンも現在はかなり飽和していて、今からやるには何の珍しさも新しさもありません。

「ああ、なんだ今度はあいつがクラファンやるのね。がんばってね。」

くらいにしか思われません。

 

よっぽど内容がインパクトがあるものか、面白いものでなければ、あまり良いリアクションは得られないと思います。

ある一定数のファンを抱えているアーティストであれば、支援してくれるコアなファンたちのお陰でクラファンは成功まで持っていけると思いますが、やり方が下手だとマイナスな印象を与えかねません。

ですので、クラファンを考えている方は本当にクラファンをやる必要があるのかを一度考えてみて下さい。

過剰なリターンによるマイナス

クラウドファンディングは基本的に入れてくれた金額に応じてリターンが変わる仕組みになっています。

これがクセモノで、ポストカードがもらえる¥1000プランから、「あなたの為に1曲作ります10万円プラン」みたいなものまで見られます。

「あなたの為に1曲作ります」を10万円払ってでも買いたいというコアなファンも稀にいるでしょう。

 

しかし、そのアーティストがクラファンで10万円と引き換えに作るその曲に果たして価値はあるのでしょうか。

ファンが本当に聴きたいのはそんな歌じゃないと思うのです。

 

勿論、お金を払って支援している本人は嬉しいでしょう。支援も出来て、自分のために曲も作ってもらえて。

しかし、そのやり取りがあったことを他のファンが見た時に、興醒めする可能性は高いです。

 

「10万円貰って、あの人に曲書いてあげたのね、ホストみたいだね。」

 

そう思う人は少なくないです。

ですので、クラファンで過剰な金額設定や、過剰なリターンの設定は物凄くマイナスです。

 

昔使ってたギターを一本20万円であげるみたいなものも見たことがあります。

確かに、コアなファンが一人いれば20万円入れてくれて一発逆転があり得るわけですから、みんなそういった過剰なプランを設定しがちです。

しかし、やはり、そういった部分を見ている人は必ず見ています。

まとめ

語弊のないように再度書かせていただきますが、クラファン自体は決して「悪」ではないと思います。

ファンの方を楽しませるエンタメとして、巻き込み型の企画として、みんなを楽しませることが出来るなら、それは素晴らしいことだと思います。

例えば、「個人では開催できないような大規模なフェスを開催したい」といった夢に向けてクラファンを使って、ファンを巻き込んで実現させていくとうのは全然問題ないと思います。

 

しかしながら、安易にクラファンに手を出すアーティストが多すぎることに警鐘を鳴らしたいのです。

クラファン自体は「悪」ではないですが、アーティストがお金がなくて、楽をしたくてクラファンに手を出すのは「悪」です。

それはファンの方を楽しませようとしてやっている活動ではなくて、自分たちが楽をしようとして逃げているだけです。

そういったクラファンは大抵失敗に終わり、最悪のマイナスプロモーションになるだけです。

 

しかも、最近のクラウドファンディングは目標を達成出来なくても、集まった分のお金はアーティストが貰うという、「All in方式」を取っているアーティストが多いのです。

これがまたセコい。

目標が集まらなかったら一円も受け取らない

「All or Nothing方式」の方が潔くてまだマシです。

 

最近ではアーティストに「クラウドファンディングやりませんか?」と持ちかけてくる会社もとても多いです。

その会社が悪い会社だとは思いませんが、こういったクラファンにおけるデメリットやリスクをアーティストに説明はしてくれません。

どうか、クラファンに手を出そうとしているアーティストの方は、今一度、本当にそれはクラファンをする必要があるのか、考えてみて欲しいものです。

ライター:ソロモンの 猫

法政大学文学部日本文学科卒業。大学在学中、小説、詩、文章の書き方を学ぶ。2020年よりフリーライターとして音楽をメインに幅広いジャンルの記事を執筆中。 @soromonnoneko