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くよくよするのは一旦やめにして。国境を超えるメロディー、サビに歌詞を持たない曲達。2012年11月3日

くよくよするのは一旦やめにして。国境を超えるメロディー、サビに歌詞を持たない曲達。

ポップミュージックの歌詞は、メロディー自体が呼び起こす感情を一流の翻訳者のように支えます。痛烈なメッセージや皮肉、涙を誘うラブソングなど歌詞は様々な感情の行き先を提示します。しかし時にはそんな言葉の力を借りずとも、心と直結し喉から溢れる、アーやラララといったメロディーとリズムだけで全てを物語ってくれる場合があります。
それは決して手抜きなどではなく、必要なもの以外を削ぎ落としたありのままの形、感情表現に違いありません。

今回はそんな言葉では言い表せない感情を持った曲をいくつか集めてみました。イギリス、アメリカのバンドが中心ですが、まさしく言葉による国境はありませんので是非お楽しみください。

※注意、体調によっては聴いた瞬間から耳について離れなくなる場合があります。

The Small Faces/Sha La La La Lee

The Small Faces

オアシスや先日来日したポール・ウェラー等イギリスのロックシーンに多大な影響を与えたスモールフェイセズのヒットナンバー。挟み込むように叫ばれる「シャラララリー」という言葉にもちろん意味など必要ありません。しかし溢れ出す浮かれた感情は誰の耳にも明らかでしょう。「金曜の夜にあの子を迎えに行ったのさ、シャラララリー!」

Nirvana/Lithium

Nirvana

カート・コバーンにはサビ等で言葉のない叫び声を繰り返す曲がいくつかありますが、この yeah yeah yeah yeah という部分にはきっと個人的な希望が込められているでしょう。でも何より、何も考えずに4小節のコードリフとビッグマフの激流に身を委ねてしまえばそれでいいのです。

The Fratellis/Flathead

The Fratellis

iPod のCMソングにも使われたこの曲もまた、言語化不能の感情の未知なる瞬間がサビに訪れます。それはあらゆるパーティにおける、アルコール漬けになり正体不明となった人間達への応援のように響き渡ります。「Bara Bap bara ra ra ra, と彼女は言った」ってどんな子か分かりませんが、きっといい女に違いないですね。

The Vines/Country Yard

The Vines

オーストラリア産、ニルバーナ meets ビートルズと謳われたサイケデリック少年、クレイグ・ニコルズによるメランコリックナンバー。一人ヴォーカル多重録音によりその孤独がほんの少し強調されますが、アルバムアートワークも手がけた彼の部屋で生まれたサイケデリアがスピーカーから溢れ出してきます。

Blur/Charmless Man

Blur

90年代には共に凌ぎを削ったオアシスのノエル・ギャラガーと、こちらブラーのデーモン・アルバーンも今ではすっかり仲良くなっている様子。
もちろん、興味があれば曲に登場するボージョレやロニー・クレイについて調べてみるのも良いでしょう。けれど8分に刻むピアノやNa Na Na と声に出す爽快感を決して忘れないように。考えるのはひとまずやめておく、という選択肢は常にそこにあるのです。

Jamiroquai/ Stillness In Time

Jamiroquai

初めて目にした時はまずその読み方の分からないアーティスト名と角の生えた影のキャラクターに惹かれ、今では日本でも”Vartual Insantiy” という曲でのカップヌードルのCM、色々な帽子をかぶっている男として有名ですね。彼の動きが奇妙に見えるのは映像の助けを借りているからではなく、むしろ映像は彼を強調しているだけのようです。この曲の最後の部分、ぶっきらぼうに歌うジェイ・ケイにはいつものスマートさとはまた違った魅力があります。

The Zutons/Pressure Point

The Zutons

プレッシャーという言葉は日本でも何気なく使う言葉ですが、目に見えないものであり、気がつくとすでに追い込まれているというギリギリの緊張感が、冒頭から始まる不気味なコーラスと共に辺りを覆い尽くしていきます。
2004年のデビュー以降アメリカのルーツミュージックの影響が徐々に色濃くなっていくのを見ると、このシングルや1stアルバムではダークな印象をあえて利用していたようです。

Van Morrison/Caravan

Van Morrison

The Band の解散ディナーコンサートの記録映画『The Last Waltz』に収められたこの曲の演奏シーンはまさしくハイライトの一つです。出て来るのはジプシーやラジオといった、地理的にも時間的にも遠く古くさい言葉のようですが、サビのLa La La というキメのパートはそんな時間の埃を払い落とし、そこにあるものを明らかにすると共に、現在にいる私たちに十分に語りかけてきます。