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超絶!タッピングの名手ギタリスト達2016年3月21日 , ライター:森多 健司

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右手で指板を叩いて音を出すライトハンド・タッピングは、今やアコースティックギタリストでさえ使う奏法として一般に定着しています。今回はそんなタッピングの名手にスポットを当ててみます。

ちなみに、エディ・ヴァン・ヘイレンがこれを広めた当時、日本ではライトハンド奏法と呼ばれていました。現在ではあまり使われない言葉ですが、昔のギター教本などを中古で入手したりすると、この呼び名で書かれています。

エディ・ヴァン・ヘイレン

この人をやはり外すわけにはいかないですね。この稀代のロックギタリストは、タッピング奏法をメインストリームに押し上げた立役者でもあります。当時タッピングは、ジェネシスのスティーヴ・ハケットやアラン・ホールズワースもすでに行っていたという話があり、エディが発明者というわけではないようですが、それを通常の奏法の延長といえるまでにした功績は紛れもないものです。

エディがこれを発案して大胆に取り入れるに至った動機については、幼い頃にやったピアノのイメージであるとか、尊敬するアラン・ホールズワースのコピーをしたら、指がまるで届かずやむなく右手を使うようになったとか、様々な説があります。

「Eruption」という曲は1stアルバムの2曲目に登場しますが、独特のフェイザーの音も相俟って、まるでどうやっているのか分からず、当時は色んな説が流れたそう。

エディ・ヴァン・ヘイレン – エレキギター博士

ジェフ・ワトソン

ブラッド・ギルスとともに、ナイト・レンジャーにおいて無敵のツインギターを成したジェフ・ワトソン。アーミングを得意とする独特のスタイルを持つブラッドと対照的に、タッピングを含めた速弾きを多用するスタイルで、人気を博しました。右手の指を全て使う「8フィンガー奏法」を最初期にやり始めた人で、ナイト・レンジャーの「(You Can Still) Rock in America」で聴くことができます。タッピングに少し慣れてくると、人差し指以外も全部使ってやろう、というぐらいの発想は誰でも考えつきそうなもの。しかし、実際に形にするには相応の困難があったことと思います。

バンド解散後はマザーズ・アーミーというバンドでアルバムを3枚制作。その後再結成ナイト・レンジャーにも参加しました。ゲストとして他のギタリストと共演していることも多く、筆者の個人的おすすめはスティーヴ・モーズ・バンドでゲストとして弾いている「Cut to the Chase」。得意の8フィンガーも駆使して、スティーヴ・モーズと熱いバトルを繰り広げています。

「Night Ranger – (You Can Still) Rock In America」をYouTubeで見る

レブ・ビーチ

フュージョン系もプレイできるロック・ギタリストとして、渋い位置にいるレブ・ビーチですが、ドッケンにいったり、ホワイトスネイクにいったり、ナイト・レンジャーの再結成に参加してみたりと、活動が常に首尾一貫しません。それゆえ、ロック界の便利屋などと揶揄されることもしばしば。

しかし、そのスタイルは右手のタッピングを左手の延長のように自在に使う、卓越したフィンガリングに裏打ちされた流麗なものです。実際に弾いているところを見てみると、驚くほどに右手がスムーズに指板上を舞っているのがよくわかります。エディ流の基本的なタッピング・スタイルを極めたようなスタイルとも言えるでしょう。メタル系のバンドをサポートしていることが多いですが、ソロアルバムではフュージョン要素の強いインストをやったりもしており、フレージングは純ロックにとどまらない幅広いものです。

「Reb Beach Cuts It Loose [ORIGINAL]」をYouTubeで見る

T.J. ヘルメリッチ

ロック・フュージョン的なスタイルに右手を縦横無尽に絡ませるという、独自のスタイルを貫くTJヘルメリッチ。そのスタイルは、ジェフ・ワトソンがやっていた飛び道具的な8フィンガーを、大幅にグレードアップさせ、奏法の一部として完全に取り込んだもの。スケールからコードアルペジオまで、両手の指を使って凄い速さで連射するその姿は、まさに神業というにふさわしいものです。ルーツをひもとくと、エース・フレイリーからマイケル・シェンカーなどのハードロック的なスタイルを経て、ラリー・カールトンのようなフュージョン的スタイルに移っていくという、ハード・フュージョン系スタイルのギタリストにはよくあるもの。しかし、彼の場合そこに8フィンガーが加わることで、普通のギタリストとはひと味違う個性を放っています。

GITでの講師業を経て、現在の活動は様々なギタリストとの共演が目立ちます。なかでもブレット・ガーズドとはかなり長い間にわたる付き合いのようです。他にもスコット・ヘンダーソンやフランク・ギャンバレなど、ジャンルを超えたギタリスト同士で共演を果たし、アルバムをリリースしています。

「Brett Garsed & T.J. Helmerich M.I.T. 1998」をYouTubeで見る

スタンリー・ジョーダン

ジャズ界の異端児でもあるスタンリー・ジョーダンは全てをタッピングで演奏する「タッチ奏法」で登場当時、話題となりました。黒人がギターを構えて右手を指板上に這わせている写真を最初に見たときは結構な衝撃でしたが、そのスタイルはさらに衝撃的。まさに唯一無二と言って良いでしょう。

上に列挙したロック系に端を発するギタリスト達が、ギターソロを演奏するときのためにタッピングを極めているのに対し、スタンリー・ジョーダンのスタイルは、完全にピアノをそのまま置き換えたもの。左手で伴奏をして、右手でメロディを弾くという分業制であり、いわゆる普通のタッピング奏法とは一線を画するものです。ジョー・パスのソロギターを両手でやっているようなスタイルといえば分かりやすいでしょうか。その独自のスタイルで、純粋なジャズからフュージョン的な音楽まで、幅広いジャンルを演奏しています。

あまりに特殊すぎるそのスタイルにより、メインストリームに躍り出てくることは中々ありませんが、自分の音楽を求道的に突き詰めて、今も着実な活動を続けています。

まとめ

タッピングと一口に言っても、その使い方も人によって様々です。元々はじめはハードロック系でポピュラーになったテクニックですが、アタックが無くなり、レガート感が出るということもあり、フュージョンとの相性が意外に良いのかもしれませんね。タッピングの好きな方は、一度自分のオリジナルなプレイを模索してみても面白いのではないでしょうか。

ライター:森多 健司

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