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ギタリスト・あの人は今 ~ マイケル・リー・ファーキンス2016年7月27日 , ライター:森多 健司

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Michael Lee Firkins(マイケル・リー・ファーキンス)は1967年生まれ、マイク・ヴァーニーの主催するシュラプネル・レコードからデビューを飾った、テクニカル・ギタリスト達の一人と目されています。

衝撃の1stアルバム

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1stアルバム「Michael Lee Firkins」は10万枚のヒットを記録した。

シュラプネル・レコードは、80年代よりポール・ギルバート、トニー・マカパイン、ショーン・レイン、リッチー・コッツェンなどの超テクニックを持つギタリストを多数輩出したレーベル。特に発足当初はネオクラシカル速弾き系をメインに発掘していたため、メタル系速弾きギタリスト専門レーベルのイメージがつきまとっていますが、リッチー・コッツェンやグレッグ・ハウなどのメンツを見ても分かるとおり、意外にもジャンルの幅は広く、メタル系からフュージョン路線まで、多岐に渡るギタリストを発掘してきています。

マイケル・リー・ファーキンスはそんな”非メタル”なギタリストの中でも、特に個性的なスタイルを持った存在としてデビューしました。話題となった1990年発表の1stアルバム「Michael Lee Firkins」では、エレキギターにカポを付けたり、ピック以上に多用される右手のフィンガーピッキング、アームを利用した似非スライド奏法など、カントリー・フォーク系の要素を受け継いだ奏法に注目が集まりました。YAMAHAのギターを使っての、独特の奏法と類い希なテクニックは当時話題を集めるに十分だったようで、日本でも1stアルバムはギター弾きの間では有名なアルバムとなっています。

Michael Lee Firkins – Runaway Train ( 10-24-2014 )
1stアルバム収録の名曲。2014年の演奏。

1stアルバム以降

ところが、1st以降、めっきり名前を聞かなくなります。1995年、盟友ジェイソン・ベッカーの2ndアルバム「Perspective」において、身体の動かないジェイソンに代わり「End of the Beginning」のアルペジオパートを演奏するという話題はありましたが、その後の活動についてはあまり知られていません。

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ジェイソン・ベッカーの「Perspective」。Dave Lee Rothバンド時代の盟友ビゾネット兄弟なども参加する中、マイケルもゲストで参加、身体の動かないジェイソンに代わって「End of the Beginning」の難解なパートを弾いている。

勿論引退したわけではなく、1stの衝撃が強かったが故に話題に上りにくくなったという側面が大きいわけですが、レベルの高いアルバムをシュラプネルで3枚、その後、カバー曲を集めた「Decomposition」を発表、現在までにさらに2枚のアルバムを発表しています。

シュラプネルで残したアルバムについてはおおむね1stの延長上のサウンドですが、4thアルバム「Cactus Cruz」あたりになると、楽曲の質もややドラマティックさが増している印象を受けます。現在の作品ではルーツ回帰の色合いが強くなってきているようです。

MICHAEL LEE FIRKINS, STU HAMM, ATMA ANUR, HAARLEM, 2011.
2011年、ジェイソン・ベッカーの追悼イベントでの一幕。実力派のリズム隊との演奏です。

スタイル

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1st収録「Runaway Train」イントロ。本人はピック+中指+薬指で弾いている。

指とピックを使ったハイブリッドピッキングによる、カントリーやブルーグラス的音使いの高速なフレーズを特徴としながらも、かたやハードロック、ハードフュージョン系の滑らかな歪んだ音で、タッピングやレガートも多用します。一見合いそうもないそれらが融合した独自のスタイルは、唯一無二のもの。アドリブ時はオーソドックスなブルース系ソロに終始している場合が多いですが、たまにジャズを感じさせるところも。

楽曲はやや似通っているきらいはあるものの、完成度は高く、独特のリフとメロディをつなぎ合わせて、高度に構築されているものが多いです。アメリカンなカントリーを軸とした空気が全編を支配しており、特にギタリストに好まれやすい湿った哀愁感を感じないので、日本であまり話題に上らなくなった原因はその辺にもあるのかもしれませんね。

Michael Lee Firkins – No More Angry Man
最新作「Yep」収録、ブルースナンバー。

2000年代に入っても、ロサンゼルスのセッションギタリストGabriel Mosesとともにユニットを結成したり、現在でもアメリカ、ヨーロッパなどをツアーしたりしています。2016年現在、最新作となるアルバム「Yep」は自身でボーカルを取り、スライドギターを多用したブルースアルバムに仕上がっています。興味のある方は一度聴いてみては如何でしょうか。

ライター:森多 健司

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