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これからジャズギターを始めたいなら聞いておきたい:ジャズギタリスト10人2017年8月29日

ジャズギタリスト10人

大半の人がロックから入るエレクトリックギターの世界において、ジャズギターは敷居が高く難しいと思われがちです。ここでは、ジャズをあまり聴いたことがない人にもおすすめできるよう、ビバップ系の正当派ジャズから、フュージョンに近いサウンドを持ったギタリストまで、様々なジャンルにまたがって紹介しています。

ジャンゴ・ラインハルト

1910年ベルギー生まれ。ロマの出自で、ロマ音楽とジャズを融合した「ジプシージャズ」の始祖として知られます。主にフランスやイギリスで活動し、ヨーロッパで最初の偉大なジャズミュージシャンとも呼ばれています。


Django Reinhardt – The Best Of Django Reinhardt

来歴

ロマの旅芸人の一座であった両親の元で、ベルギー滞在中に生まれ、幼少の頃から楽器の演奏を身につけながら、ヨーロッパ各地を放浪します。たがてジャズに傾倒するようになり、フランスのレーベルでレコーディングも行うようになったジャンゴは、1928年、火事による大火傷を負い、左手の薬指と小指が動かなくなる障害を負います。しかし、独特の奏法を確立し、練習によりこれを克服。数年後、長年の盟友となるヴァイオリニスト、ステファン・グラッペリと出会います。

その後、第二次世界大戦の影響などもあり、様々な地域で幅広く活動したジャンゴは「Nuages」「Djangology」などの名曲、名作を次々に制作。デューク・エリントン、ディジー・ガレスピーなどとも共演。名実共に世界的なジャズギタリストとして認知されるに至ります。

演奏スタイル

彼のスタイルは「ジプシー・ジャズ」と呼ばれ、ロマ音楽の土臭い雰囲気が色濃く表れた即興演奏が特徴で、ジャズの世界ではほぼ伴奏楽器として認知されていたギターを、ソロ楽器として使用し始めた先駆者でもあります。弦楽器の使用頻度が高いジプシー音楽とジャズとの融合は、ギターという楽器を効果的にジャズに取り込むには最適だったと思われ、バンジョーやフィドルなども嗜んだジャンゴであるからこそ、自然にたどり着けたのでしょう。

薬指と小指が動かないという状態での独特な演奏法は、彼のスタイルの独自性を高めるひとつの要因にもなっており、優れたテクニック以外に、表現力にも極めて高い評価を得ています。

おすすめアルバム

Djangology

Djangology

1949年にレコーディングされた、ステファン・グラッペリとの共作にして、ジャンゴ・ラインハルトの最も有名な作品。ジャズ・ギタリストはほぼ聴くべきとされる名盤であり、ジプシージャズの教科書的な一枚です。

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ウェス・モンゴメリー

1923年アメリカ生まれ。数多いジャズ・ギタリストの中でも、オクターブ奏法を産み出したとして有名な一人。

来歴

1923年、アメリカ・インディアナ州にて生誕。音楽一家のもとに生まれた彼は20歳の時にギターを持ち、練習を始めます。ジャズギターの始祖の一人と位置づけられるチャーリー・クリスチャンのプレイを集中的に研究し、テクニックと音楽性を磨き上げ、ライブハウスや楽団などで演奏経験を積み上げていきます。この頃、「モンゴメリー・ブラザーズ」として、兄弟達とともにアルバムも制作しています。

1960年「The Incredible Jazz Guitar」の爆発的な成功によって、ジャズ界にその名を知られるようになります。この時期がジャズギタリスト、ウェス・モンゴメリーとしての評価が最も高い時期でしょう。その後、ビートルズのカバーである「A Day In The Life」によってイージー・リスニングの路線に転向。コアなジャズファンからは敬遠されたものの、セールス的な成功を収め、広く認知されるに至りますが、1968年に40代の若さで死去。死因は心臓発作とされています。

演奏スタイル

親指1本でピッキングをこなし、レガートが多いのが特徴。独特のタイム感や粘っこいフレージングは、このテクニック的な部分に依拠していることが多く、それゆえ、ワンフレーズ聴き取るだけでウェスと感じさせるオリジナリティを創出しています。チャーリー・クリスチャンによる単音弾きソロのスタイルに加えて、素早く複雑なコード奏法、オクターブ奏法を随所に織り込み、現代ジャズギターの礎ともなるスタイルを構築しました。

特にオクターブ奏法については彼の代名詞となっており、アクセントの欲しい場面やソロ終盤の盛り上がってきた部分ではほぼこれだけで弾かれていることも珍しくなく、完全にいち奏法として確立しています。そのような理由からか、一般的にオクターブ奏法を産み出したギタリストとして認知されるに至っています。

使用ギター

Gibson L5-CES

Gibson Custom Wes Montgomery L-5 CES Gibson Custom Wes Montgomery L-5 CES

ギブソン製フルアコの銘機として知られ、ウェスはこれをこよなく愛したと言われています。また、「Incredible Jazz Guitar」のジャケットではGibson ES-175(後述)を持って写った写真が使われています。

おすすめアルバム

The Incredible Jazz Guitar

The Incredible Jazz Guitar

1曲目の「Airegin」から走りに走っており、脂の乗った若かりしウェスのプレイを堪能するに最適の一枚。上記のジャンゴと違い現在手に入るアルバムも多いため何を選ぶか迷いやすいですが、はじめにこれをおすすめします。

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ジムホール

1930年アメリカ生まれ。ソニー・ロリンズ、アート・ファーマー、ロン・カーターなど歴史に残るジャズミュージシャンとの共演が名高い、ジャズギタリストの大御所にして代表的存在。


Jim Hall Trio feat. Kenny Barron & Dave Holland – Live in Concert 2009

来歴

ニューヨーク州バッファローに生まれ、母親の弾くピアノ、祖父の弾くヴァイオリンを聴きながら、やがて10歳にギターの演奏を始めます。チャーリー・クリスチャン、ジャンゴ・ラインハルトなどに影響を受け少年時代を過ごし、高校卒業後はオハイオのクリーブランド音楽学校で音楽を学びますが、ここは現在でもクラシックの専門学校として知られる学校であり、ジャズのみならずクラシックの授業が多かったようです。そのあとロサンゼルスで活動し、チコ・ハミルトンの楽団に所属、1957年にはファーストリーダーアルバム「Jazz Guitar」を発表。

1960年までにはニューヨークに戻り、ソニー・ロリンズ、アート・ファーマー、ビル・エヴァンズなど、様々なアーティストと共演。特に1972年、ベーシストのロン・カーターとデュオで発表した「アンダーカレント」はジャズギタリスト必携の名盤として知られています。

その後も90年代にはゲイリー・バートン、パット・メセニーなどとともにアルバムを作り、2013年に逝去するまで、精力的な活動を続けました。

演奏スタイル

休符や音数をコントロールし、空気感のようなものをジャズギターというスタイルで表現した最初の存在。美しいメロディを軸としながら、時に無音さえも使いソロを彩ったスタイルは後進にも影響を与え、パット・メセニーなどが強い影響を受けたとされています。ビバップのようなコーダルな旋律以外に、モード奏法を軸とした、横に流れていくようなソロも積極的に使い、ジャズギターという世界での新しいスタイルを確立していたことも見逃せないポイントです。

使用ギター

D’Aquisto Archtop

メンテナンスを担当していたジミー・ダキストによって製作された、ジム・ホール専用の1本。2000年代まで使われ、ジムのお気に入りの1本であったことが想像できます。ダキストは紆余曲折を経て現在は国内販売終了していますが、中古での入手は可能。今後どのメーカーから復活するのか、見逃せないブランドです。

おすすめアルバム

Alone Together

Alone Together

ベーシスト、ロン・カーターとのデュオにして、ジャズギタリスト必携の名盤。二人の解釈で縦横無尽に料理したスタンダードの数々は、ジム・ホールのプレイスタイルを味わうに打って付けです。

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ジョー・パス

1929年、アメリカ生まれ。ジャズ・ギタリストの幅を広げた存在として、ウェス・モンゴメリーと並び、はじめに名が挙がる存在です。


Joe Pass: “An Evening With Joe Pass” (1994)

来歴

ニュージャージー州に生まれ、9歳からギターを弾き始めます。17歳ごろになると、ジャズに傾倒し始め、特にチャーリー・パーカーに代表されるビバップに強い影響を受けました。高校卒業前にはすでにいくつかのジャズバンドでの演奏をこなしていましたが、卒業後は麻薬中毒に苦しみ、10年を刑務所や更正施設で過ごすことになります。施設の名をもじって「サウンド・オブ・シナノン」と名付けられたアルバムが評論家の目にとまると、出所した後はロサンゼルスでスタジオワークなどをこなしながら、1964年名盤「For Django」を製作。

その後、ジャズギターの可能性を押し広げたとして名高い「Virtuoso」を1973年発表すると、その名声も不動のものとなり、エラ・フィッツジェラルド、カウント・ベイシー、デューク・エリントンなど、ジャズの巨匠たちと数多く共演。1994年肝臓がんで死去するまで、活動を続けました。

演奏スタイル

ビバップに傾倒し、その語彙を全て取り込んだ、ある意味非常にオーソドックスなジャズギターのスタイルが特徴。ジャズギターに初めて触れる人にもわかりやすいものであり、あらゆるジャズギターの出発点と言って差し支えないプレイスタイルです。このオーソドックスなスタイルを極めた頂点がVirtuosoであり、このアルバムでは基本形を極めた凄さというものを堪能できます。

使用ギター

Gibson ES-175

現在でもジャズギターの定番として知られるフルアコの銘機です。元々はL5の廉価版として作られましたが、ジム・ホールをはじめ超一流が何人も使用していることからも、このギターの完成度の高さが分かります。また、ジョー・パスについては、ダキストの使用も有名。こちらもジムと時と同じく、ジョー・パスのために製作されたオリジナルの一本でした。

おすすめアルバム

For Django

代表作「Virtuoso」は複雑なハーモニーと崩されたテーマで、ジャズ初心者には難しく感じることも多く、あえてこの一枚をおすすめ。ジャンゴ・ラインハルトに捧げたとされるアルバムで、完成度が高く、ビバップのお手本とも言える、スリリングなジョー・パスの単音弾きが堪能できます。ジャズ入門者にも最適な一枚です。

ケニー・バレル

1931年、アメリカはミシガン州デトロイト生まれ。ブルースのフレーズをジャズの世界で積極的に使用したギタリストとして知られています。


Kenny Burrell – Kenny Burrell (1957) – [Guitar Jazz Masterpieces]

来歴

1931年、デトロイトに音楽一家の子として生誕。彼の母はピアノの演奏の他、教会でコーラス隊に所属しており、父はウクレレやバンジョーを弾く、カントリー系のプレイヤーであったようです。12歳のころ、ギターを持ったケニーはジャンゴ・ラインハルト、チャーリー・クリスチャンといったジャズプレイヤーの他、マディ・ウォーターズ、Tボーン・ウォーカーなどのブルースギタリストからの影響も受けたとされ、これが後々の彼のスタイルに繋がっていきます。地元のデトロイトで友人のトミー・フラナガン等と共にジャズやブルースなどを演奏しながら演奏技術を身につけ、1951年にはディジー・ガレスピーの楽団へ所属。レコーディングデビューを果たします。この頃の楽団はジョン・コルトレーンやミルト・ジャクソンなどがフィーチャーされていたこともあったようです。

その後、音楽大学へ入学し、知識を広範に身につけた後、1956年にはニューヨークへ拠点を移し、ジョン・コルトレーンやジミー・スミス等、様々なジャズのプレイヤーとアルバムを製作。1963年に発表された「Midnight Blue」はケニー・バレルの代表作として、今日でもジャズギターの定番アルバムとして数えられます。

様々なミュージシャンと多数の作品を作り続け、音楽学校で教鞭も執るなど、後進の育成にも携わり、2017年80歳を越えた現在でもなお活動を続けています。

演奏スタイル

ブルースのフィーリングをジャズのフォーマットの中に大胆に取り込んだことで有名。故郷のデトロイトでブルースが盛んだったことが一因ですが、本人が語るとおり、感覚を研ぎ澄ませて心の趣くままにメロディを奏でていくというスタイルこそ、非常にブルースマン的な発想でもあります。内容的にはペンタトニック的な音使いがやはり多く、ロックブルースのファンからも例外的に人気の高いジャズギタリストです。

使用ギター

Gibson Super 400

Gibson Super 400 CES Gibson Super 400 CES

キング・オブ・ジャズギターと呼ばれる、ジャズ系フルアコースティックギターの最高峰。ケニー・バレルの他、ラリー・コリエルなどの使用でもしられ、全ジャズギタリストの憧れの逸品です。

おすすめアルバム

Midnight Blue

Midnight Blue

ジャケットも有名なケニー・バレル代表作。スタンリー・タレンタインのテナーサックスと絶妙に絡むブルースギターが絶品で、ジャズの持つハーモニー感覚と、泥臭くもどこか親しみやすいケニーのギターが絡み合って、豊かな音世界を作り出しています。

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グラント・グリーン

1935年アメリカのミズーリ州生まれ。ジャズのみならず、ファンク系の路線での演奏も名高く、幅広いジャンルのファンを持つギタリスト。

来歴

アメリカはミズーリ州セントルイス生まれ。ギター弾きでもあった父親より手ほどきを受け、13歳のころには地元のゴスペルグループのバックで演奏をしていました。彼が影響を受けたのはまずチャーリー・クリスチャンであり、R&B系の音楽であったといいます。1960年にはニューヨークに拠点を移し、1961年には、グラント・グリーンを看板に押し出したブルーノートレーベルからファースト、セカンドアルバムを発表。このアルバムでは流麗なビバップのフレーズを聴くことが出来ます。そして、60年代後半にもなると、ファンク系の影響を強く受けたスタイルに変質していき、演奏する音楽自体も現在でいうジャズファンクに近いものになっていきました。

70年代に入るとヘロイン中毒の影響によりたびたび病院の厄介となります。医師の静止も振り切ってそのまま音楽活動を続けようとした矢先、1979年、車の中で突如心臓発作で倒れ他界。80年代の幕開けを見ることなく、40代の若さでの夭折となりましたが、彼の息子のグラント・グリーンJr.は父と同じくギタリストであり、父のスタイルを継いでいます。

60年代を通じて、オルガンを含めたトリオで活動することが多く、オルガンと絡んだスタイルそのものがグラント・グリーンを連想させるものになっています。

演奏スタイル

ビバップのスタイルと、ファンクブルース系を押し出したスタイルの二種を使い分けるところが特徴です。ビバップに代表される、コードの流れを繋いでいく流麗な部分と、ペンタトニックを軸とした粘っこいブルース調の部分が共存したという点でケニー・バレルに近いものを持っていますが、両者を混ぜ合わせたようなケニー・バレルのスタイルに比べるとより明確に分かれており、ファンク系を弾いているときにはほぼジャズ色は感じられません。この部分がロック系のリスナーにも共感を得やすく、また高速な16ビートはダンス系音楽やサンプリング系音楽との相性が良く、そちらの世界でも評価が高いなど、通常のジャズギタリストとは少し違った人気を獲得しています。

使用ギター

Gibson ES-330

Gibson ES-330 Gibson ES-330(本人使用モデルとは異なります)

ファンク期に入ってから使われ出したモデル。センターブロックのないフルアコ仕様であり、ピックアップはP-90。独特の設計はギブソンの中でも異色を感じさせ、後期グラント・グリーンのサウンドの要を担っています。

おすすめアルバム

Live at the Lighthouse

Live at the Lighthouse

ファンク路線に舵を切ってからのグラント・グリーンのサウンドがこれでもかというほど体感できるアルバム。ジャズで培った正確なタイム感はそのまま残したまま、ブルースロックに近いパッセージを弾き倒しています。場を盛り上げていく様はまさにライブならではの熱量を感じる好盤ですが、ビバップ系ジャズのグラント・グリーンについては「Idle Moments」もおすすめです。

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ラリー・カールトン

1948年、カリフォルニア州生まれ。フュージョンギターの先駆的位置づけとして、日本でも幅広い人気を誇ります。


Larry Carlton – Minute By Minute, Smiles And Smiles To Go, Gracias, Room 335 – LIVE HD

来歴

6歳よりギターを演奏し始め、学生の頃にはBBキング、ジョン・コルトレーンなどに影響を受け、ジャズの演奏を中心に活動します。20歳ごろのころ、南カリフォルニア・ビッグバンドコンテストで最優秀ソロイスト賞を受賞。1968年ファーストとなる「With a Little Help from My Friends」を発表し、1971年にはザ・クルセイダーズに参加。ジョー・サンプルなどの凄腕プレイヤーとの共演を経て、その後ロサンゼルスの凄腕セッションミュージシャンとして活動します。スティーリー・ダン、ジョニ・ミッチェル、マリーナ・ショウなどのアルバムに参加し、ソロアルバムも定期的に発表。

80年代以降もリー・リトナーとのアルバム制作や、スムースジャズグループ、フォープレイへの参加、スティーブ・ルカサーとのツアーなど、幅広く活動し、現在もなお圧倒的な人気を誇る大御所ギタリストとして、来日も多いギタリストです。

演奏スタイル

ジャズとブルースをベースとしたメロディックなスタイルが特徴。最近ではコードソロやボリュームペダルを使い空気感を操るなど、熟練した技を見せることもあります。ハーモニー感覚に優れ、歪んだギターでのチョーキングの多用はロックブルースの感覚を色濃く含み、同列で語られやすいリー・リトナー以上に泥臭さを感じさせます。その部分ゆえにロック系、あるいはブルース系のプレイヤーからも広く愛されています。

使用ギター

Gibson ES-335

Gibson Memphis Larry Carlton ES-335 Gibson Memphis Larry Carlton ES-335

「Mr.335」ラリー・カールトンの代名詞となったセミアコの銘機ES-335。箱物らしいホロウ感と歪ませても使えるソリッド感の同居で、最も人気のあるセミアコのひとつとして幅広いギタリストに人気があります。

おすすめアルバム

Larry Carlton(夜の彷徨)

Larry Carlton(夜の彷徨)

代表作「Room 335」を含むサードアルバム。日本では「夜の彷徨」として知られ、発売当時、爆発的にヒットしたフュージョンギターの代表作です。ブルースの語法をベースにしながら、ジャズでしかあり得ない複雑なハーモニー感が組み合わされ、完成度の高いギターが一枚通して貫かれています。

Larry Carlton 夜の彷徨を…
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ジョン・マクラフリン

1942年、イギリス生まれ。ジャズのみならず、クラシックやインド音楽などを混ぜ合わせた唯一無二のスタイルを持ちます。70年代、黎明期のジャズロックの分野において、欠かせない影響力を持ちました。


John McLaughlin – ‘My Favorite Things’ – Live at Berklee Valencia Campus

来歴

イギリスはヨークシャー州生まれ。11歳のころにギターを演奏し始め、ブルースやジャズなどから影響を受けます。ジンジャー・ベイカー、ブライアン・オーガーなど、イギリスのミュージシャンとの共演を経て、1968年自らのバンドを結成し、アルバムを一枚発表。その後、ニューヨークに拠点を移し、トニー・ウイリアムスのバンド、ライフタイムに加入することで、世界的な脚光を浴びることとなります。その後、トニーの紹介でマイルス・デイヴィスのバンドに参加。ここにおける経験は、彼の音楽性に大きな影響を与えます。1971年、マイルス・バンドを抜けた彼はマハヴィシュヌ・オーケストラを結成。ヴァイオリンを大胆にフィーチュアした前衛的で攻撃的なジャズロックは、当時他に類を見ない個性的なもので、音楽シーンに絶大な影響を与えました。

その後、マハヴィシュヌ・オーケストラは解散、インド音楽を演奏するシャクティを結成し、アコースティックな編成でインド音楽を志向します。1979年にはパコ・デ・ルシア、ラリー・コリエルとともにトリオを結成。後々にラリー・コリエルはアル・ディメオラと入れ替わりましたが、このトリオは超絶ギター3人組によるアコースティックギターのインストとして、今でも高い人気を誇ります。

80年代以降もオーケストラとの共演、ジェフ・ベックやチック・コリアなどとも共に演奏し、今もなお現役。歴史的に偉大なギタリストとして音楽界にその名を残しています。

演奏スタイル

非常に優れたピッキングの能力で、一風変わったスケールやコードトーンをフルピッキングで速弾いていくスタイルが目立ちます。その速さはアル・ディメオラにも劣らず、つかみ所の難しい音のつなぎ方は一種独特で、真似の出来ないものとなっています。下に述べるとおり、変わった構造を持つギターを多用したり、スキャロップド・フィンガーボードをいち早く採用したり、ギターという楽器の可能性を押し広げるような使い方をしていたことも特筆に値するポイントです。

使用ギター

Paul Reed Smithカスタム

マハヴィシュヌ時代はダブルネック、シャクティの時代には共鳴弦を張った独特の設計を持つギター、シンセサイザーを内蔵したガットギターなど、様々な変わり種ギターも使ってきたジョン・マクラフリンの晩年の愛器。ポール・リード・スミス氏とは親交があるということで、これは特別に設計されたオリジナルモデル。ギターシンセサイザー用のアウトプットを本体に併設しているところもポイントです。

おすすめアルバム

Birds of Fire / Mahavishunu Orchestra

Birds of Fire / Mahavishunu Orchestra

70年代フュージョンに決定的なインパクトを与えた名盤。リターン・トゥ・フォーエバーなどとともに、新時代のジャズを提示した重要な一枚です。複雑な変拍子の中をもの凄いインタープレイが駆け巡る楽曲の数々は、マイルス・バンドで得た経験を自分流に昇華させた部分も感じられます。

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パット・メセニー

1954年、アメリカ生まれ。民族音楽やスムースジャズの要素を取り入れたパット・メセニー・グループのリーダーであり、現代最高峰のテクニックの持ち主。


Pat Metheny – Kin (The Unity Sessions)

来歴

1954年、アメリカはミズーリ州の生まれ。8歳でトランペット、13歳の頃にギターを弾き始め、1972年、ゲイリー・バートンのバンドに加入。18歳の頃にはバークリー音楽大学の講師を務めます。1975年、ジャコ・パストリアスらとファーストアルバム「Bright Size Life」を発表。その後、セカンドアルバム発表後、キーボーディストのライル・メイズらとともにパット・メセニー・グループを結成します。メセニー・グループは初期は分かりやすいフュージョン系音楽であったのが、後になるとブラジル音楽の影響を強く感じさせるエキゾチックな音楽性を内包したものに変わって行き、それにつれて売り上げも伸ばしていきます。

1999年には尊敬してやまないジム・ホールとの共演作を発表。2000年にはスタンダードなジャズを演奏するためのトリオを結成、2005年にはピアニストのブラッド・メルドーとアルバムを制作、2010年からはオーケストリオンという、自動演奏の機械を用いてソロツアーを企画するなど、常に違うところに目を向けながら、幅広い活動をし続けています。

演奏スタイル

ピックの丸い方を弦に当てた、アタック感の少ないサウンドで、クロマチックなどを多用したスリリングなプレイを信条とします。クロマチックや複雑なアルペジオを含み、時にスケールアウトしながら流麗に繋いでいくスタイルは一聴してわかるほど個性的。多くのフォロワーを生み、現代のコンテンポラリー・ジャズの礎を築いた一人に数えられます。

使用ギター

Ibanez Pat Metheny Model

Ibanez Pat Metheny Model

アイバニーズがパット・メセニーの要望を全面的に取り入れ、彼のために作られたシグネイチャーモデル。メセニーは90年代に入る辺りからアイバニーズを使っていますが、かれこれ20年以上のアイバニーズユーザーであり、ギターの完成度の高さが窺えます。廉価なモデルは手に取りやすいのも、ファンからすると魅力。

おすすめアルバム

Bright Size Life

Bright Size Life

様々な音楽性のアルバムを何枚も出しているパット・メセニーですが、ギターを分かりやすく堪能できるという点で、このファーストをチョイス。20歳とも思えない完成度の高いギターはまさに天才のそれです。ジャコ・パストリアスのベースも楽曲にうまくマッチしています。

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ラルフ・タウナー

1940年、アメリカ生まれのギタリスト、ピアニスト、作曲家。ピアノの奏法を活かした独特の作曲法で紡ぐ独奏スタイルのギターは、孤高の境地に達しており、唯一無二の音楽を創造しています。


Ralph Towner – Sand (from Solstice – Reissued on 180g Vinyl)

来歴

1940年、音楽一家のもとで生まれます。彼の母親はピアノの教師で、父親はトランペットのプレイヤーでした。幼い頃から様々な楽器を手にし、ピアノでの即興やトランペットの演奏など、幼少期にすでに行っていたといいます。18歳になるとオレゴン大学に入学し、後にクラシックの作曲を専攻。クラシックのみならずビル・エヴァンスのピアノに影響を受け、彼自身ピアノにも習熟していきます。大学卒業目前にしてクラシックギターの魅力にとりつかれ、ウィーンに留学しクラシックギターを数年学んでいますが、このころの練習が現在の彼のスタイルの土台となっていることは間違いないところでしょう。

その後、ニューヨークに戻り、ジャズを中心とした活動を行い、それに並行してギターの独奏のための曲をたくさん書き始めました。ポール・ウィンター・コンソートというグループに所属し、12弦ギターの奏法を習得した後、1970年、そこから派生したオレゴンというグループが発足します。これはメンバー各々が様々な楽器を演奏し、ジャズ、クラシック、民族音楽などがない交ぜになった楽曲を即興を含んだ形態で演奏するという、唯一無二の音楽を志向した集団で、そのままラルフ・タウナーの音楽哲学に通じるものがあります。

オレゴンは2000年代に入ってなお、新しい音楽を創造し続け、ラルフ・タウナー自身も最も有名な独奏スタイルのみならず、ヴィブラフォンのゲイリー・バートン、ギタリストのジョン・アバンクロンビー、ドラマーのビル・ブルーフォードなど、様々な演奏家とも共演しながら、現在でも精力的に活動を続けています。

演奏スタイル

70年代は通常のナイロンとともに、12弦ギターを多く使用し、独特のハーモニーを作り上げています。最近ではクラシックギターをメインとし、ピアノの演奏からもヒントを得た和音の作り方やコード進行などを用いて、美しい曲を独奏するというスタイルが多く、楽曲の美しさや叙情性などは唯一無二の高みにあります。ジャズ・スタンダードなどを取り上げることも多く、そこでのソロギターはジョー・パスとはまた違った、暖かみと空間を生かしたサウンドが堪能できます。

使用ギター

Jeffrey Elliott クラシックギター

アメリカ、オレゴン州のギタールシアー、ジェフリー・エリオット氏により、ハンドメイドで製作されるクラシックギター。通常、日本の店頭で手に入れることは難しく、直接のオーダーしか手に入れる方法はありません。

おすすめアルバム

Crossing / Oregon

Crossing / Oregon

オレゴンの1984年に発表されたアルバム。パーカッション担当のコリン・ウォルコットが死去する直前にレコーディングされた作品。ギターという楽器が前に出てくる作品ではありませんが、ラルフ・タウナーが志向した音楽のエッセンスが色濃く詰まった作品。あくまでもギターにこだわりたいなら97年作のソロ作「ANA」もお勧め。

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ひとくちにジャズと言っても、その範囲は計り知れない広さを持っており、今では4ビートのスウィングした典型的なジャズサウンドも、ジャズという音楽のあくまで一面といった趣があります。特にギターは他ジャンルとのコラボレーションが激しい楽器で、そこにジャズギターの魅力があるとも言えるでしょう。気になったギタリストがいたなら、是非とも真剣に耳を傾けてみて下さい。